さとし①
早朝に友人からLINEがきた。
いつもは大学の1限目がないのならぐっすり寝ている時間だったが、なぜか目が覚めてしまい、なぜか布団の中でスマホをいじることも無く、布団から出て、ソファに座って実家暮らしの時以来見ることのなかった朝の情報番組を見ていた。
起きてからだいぶ時間は経っていたので眠気は覚めていたと思う。
それでも画面に表示されていた文字を瞬時に理解することはできなかった。
「さとしが死んだって」
-さとし。
中学、高校と一緒で、一緒の部活で、卒業してからも時々会っていた友人だ。
友達の決して多くない僕にとっては、有難い存在だった。当然、そんな貴重な存在だったことには亡くなるまで気付かなかったが。
そして何より僕を驚かせたのは、さとしとはさっきまで一緒にいたこと。
昨日の夜、恒例になっていた2人で呑み会をして別れたばっかりだった。
恒例といっても、日時が決まっている訳ではなく、どちらからともなく、じゃあ明日吞もうかといった流れになり、いつもの場所に待ち合わせをして、いつもの居酒屋に入り、いつもの話しをして次に会う約束をすることもなく別れていた。
-なんで?
その言葉が胸をよぎり、知らせてくれた友人に返信を打とうとして手が止まった。
-さとしと最後にやり取りしたLINEの内容が気になったから。
LINEの画面を1つ戻すと、きのうの呑み会の後も、何通かやり取りをしていたから
さとしとの履歴はすぐに出てきた。
そのページには、過去のさとしとのやり取りが大量に出てきた。特にスタンプや絵文字を使うこともなく、無機質なやり取りが続いているが、それが2人の関係の深さを表していた。
-そして最後のLINEのやり取り
スマホの画面の一番下にさとしからのメッセージが表示されている。
「さとしがメッセージの送信を取り消しました」
さとしは何てメッセージを送っていたのか、そしてなんでメッセージを取り消したのか。
過去に何度もやり取りはしてきたが、この機能をさとしが僕に使ったのは初めてのことだと思う。
その時間は深夜の24時過ぎ。きのうの別れた直後だ。
おそらく僕は歩いていて、スマホの振動に気付かなかったんだと思う。
もしメッセージを見ていたら。
もしメッセージを見ていたら。
もしメッセージを見ていたら。
続く・・・。
ひとり~の小さな手~♬なにもできないけど~♬それでもみんなの手と手を合わせれば♬何かできる♪何かできる♪