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勇者たち一行~免許更新編~

勇者たち一行は大魔王を倒すための冒険を続けているが、きょうは4人揃って免許更新にやってきた。
先を急ぎたい気持ちはもちろんあるが、ここできちんと更新をしておかないと、後々面倒なことになるからだ。
4人ともペーパードライバーで免許証は身分証明書として使っているので、更新手続きは優良ドライバーが受けられる最もスムーズなコースで進んでいる。
 
勇者『よし、最後に写真を新しく撮ったら終わりだな』
戦士『あぁ~、やっと終わりか~、長かった~』
賢者『これで一番時間が短いパターンだから、そんなこと言うなよ』
遊び人『写真撮るなら髪の毛ちゃんとセットしてくればよかったな~』
各々がブツブツ言いながらも証明写真を撮るエリアに移動し、順番に写真を撮っていく。
 
写真係『勇者さんすいません、目つぶっちゃっているのでもう一枚お願いします』
写真係『はい、ナイスです。ありがとうございます』
写真係は勇者の顔が映った写真がきちんと撮られているのか確認すると、順番待ちをしている戦士に写真を撮る席に移るよう促した。
 
写真係『戦士さんすいません、肩に担いだ斧を降ろしてもらえますか』
写真係『はい、ナイスです。ありがとうございます』
写真係『賢者さんすいません、頭に巻いた布を取ってもらうことは可能ですか?』
写真係『はい、ナイスです。ありがとうございます』
写真係『遊び人さんすいません、笑顔はなしで大丈夫です』
写真係『はい、ナイスです。ありがとうござ・・・』
写真係は撮られた遊び人の写真を確認し、OKを出そうとしたのが、その最中に言葉が詰まり、顔色もみるみる青白く変わってきた。
 
勇者たち一行が写真係の手にある写真を真上から覗くと、そこには遊び人の肩口に緑色の物体が写り込んでいた。
 
勇者たち一行の前にバブルスライムが現れた。
 

ひとり~の小さな手~♬なにもできないけど~♬それでもみんなの手と手を合わせれば♬何かできる♪何かできる♪