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ペライチ小説~バスの運転手~

好きな光景がある。
見ると良い気分で一日を過ごせる光景と言ってもいい。
例えば「手を繋ぐおじいちゃんとおばあちゃん」
例えば「お天気雨の中の虹」
例えば「犬と戯れる猫」
 
そんないくつかある好きな光景の1つを久しぶりに目撃できた。
それは「バスがすれ違う時の運転手同士の挨拶」
この光景はバスで通勤や通学している人は頻繁に見掛ける光景だからそこまで嬉しい光景ではないのかもしれない。
 
私の様に自宅で仕事をしていて趣味もなく外を出歩かない人にとっては見られると嬉しい気持ちになれる光景の1つである。
 
きょうは仕事で使う本を買うために駅前まで出掛けた。
いつものようにトボトボと何の気なしに歩いていると、目の前からバスがやって来た。
広い道ではなくすれ違う乗用車も車を細くしてすれ違っている様な道である。
 
その時、目の前から同じ会社のバスがやってきた。
すれ違うことはできるのかとドキドキしながら運転手の表情を見ると、表情が変わることなくなんてことない顔ですれ違おうとしている。
40代ぐらいと思われる運転手は平然とスピードを緩めず突っ込んで行く。
一方のバスの運転手も40代ぐらい。こちらも平然とした顔で寧ろスピードを上げて突っ込んできているようにも見える。
すれ違う直前2人の運転手は右手を上げた。
おっ、これは好きな光景の1つが見える。
そう思ったのも束の間、そこにあったのは驚きの光景だった。
すれ違う2人の運転手は右腕を上げると同時に中指を立て、相手を睨みつけるようにしてすれ違っていた。
この光景のお陰できょうは一日気分が悪かった。
 
 

ひとり~の小さな手~♬なにもできないけど~♬それでもみんなの手と手を合わせれば♬何かできる♪何かできる♪