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【作家ロス】個人的に今年一番の出来事は、大江ロスでした?

今年1年で 
いちばん印象深かったのは
どんな本だっだろうか?

改めて、部屋の本棚を見ながら、 
決めようとするのですが、
どれもが魅力一杯で、 
一冊を決めるのは難しい。

それでは、 
作家でいちばん印象深いのは
誰だったか?
それはすぐに決まります。
それは長年太宰治派だった私が、 
急に、にわかに、なぜだか、
三島由紀夫が好きになったこと。 
『葉隠入門』と『金閣寺』
それから『太陽と鉄』でした。  
なぜ50過ぎたあたりから
急に三島由紀夫ファンになったのか
自分でも不思議な1年でした。 

それ以前は、  
三島由紀夫は通俗作家で、
実験小説はたいてい失敗してるし、
惜しい作家だと思い込んでました。

齢を経ると、やはり好みも
変わって行くんですかね。
齢を取ると、
春の山菜が急に食べられ、
しかもうまいと感じるようになる!
今年は三島の味が、
ようやく分かるようになった
不思議な1年でした。

ところで、
よく本によって人は人生を
変えられる、と言いますね。 
では、私の人生を変えてくれたのは
どんな本だろう?
 
今年2023年でいえば、
復刻が相次いだ有吉佐和子、
ショートショートの純文学・
山川方夫さんの本とか、 
平野啓一郎が書いた
『三島由紀夫論』とか。
人生を変えたと言うのは
オーバーかもしれないですが、
それなりに深い付き合いに
なってくれたのは確かです。

それから、今年はやはり
大江健三郎さんでしたね。
『万延元年のフットボール』
『飼育』『さようなら私の本よ』 
どれも彼の代表作品でした。

中でも、やはり、
読み応えがあり、かつ、
どうにか読み通せる
『万延元年のフットボール』は
大江文学の頂きの1つです。
学生時代にこれを読んだ時は、
何ヶ月も、魂を吸い取られたように
なってしまいました。

でも、社会人になり、
人生、毎日生きていくうちに
大江健三郎の爪痕も、
どんどんカサブタのように
取れていきました。
それからしばらくは、
もう大江健三郎のことは
心の中でどんどん小さくなりました。

それが、今年3月に、
大江さんが亡くなったことで、
大江ロスになってしまった。
自分でも驚きでした。
何ヶ月も、大江健三郎のことを思い、
大江さんの本を読み、
大江さんの記事を書きました。

それくらい、知らず知らず、
影響を受けていたんですね。
若い時に、誰を読むか?は
大事なんですね。

若い時の読書は、
私自身を秘密裏に「プログラミング」
しているらしい。
ある意味、人格操作にも
なっているかもしれないですね。

 

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