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【本屋大賞】翻訳部門で目覚ましい韓国小説

本屋大賞。

メインの日本の小説に授与される
大賞は話題になりますね。

でも、翻訳部門は、
1位になっても、
あまりニュースにもならない。
残念な海外文学よ。

でも、調べてみると
傑作が選ばれているんです。

最近では、
2019年『カササギ殺人事件』
    イギリス文学
2020年『アーモンド』韓国文学
2021年『ザリガニの泣くところ』
    アメリカ文学
2022年『三十の反撃』韓国文学
2023年『われら闇より天を見る』
    アメリカ文学
2024年『ようこそ、ヒュナ厶洞書店へ』
    韓国文学

ここ六年で、
三度も韓国文学が受賞されている。
それも、ミステリーではない作品が
選ばれていますね。

日本に翻訳される海外小説なら
イギリスやアメリカの作品が
圧倒的に多いはずなのに、
韓国小説がアメリカ小説を
まさっている点は、
もしやしたら、
近年の日本の翻訳出版事情について
大きな変化が起きていることを
教えてくれているのかもしれない。

それは、また単に、
日本の翻訳事情を語るだけでなく、
韓国文学の事情自体を
物語っているでしょうね。

それはまた、小説界の話では
ないのかもしれない。
韓国の社会でいま、
文学が才能に溢れる構造に
なっているという事情も確かに
ありそうです。

文学が豊かになるということは
社会が、大きな混乱や退廃を
長い時間かけて経て、
新しい段階にいる証拠なんですよね。

日本も、
戦後社会に大きな才能の果実が
たくさん実りました。
戦争や敗戦や経済成長期の
社会の混沌がなかったら、
日本は昭和期や平成期のような
文学的な果実が
生まれていなかったに違いない。

そう言えば、今、日本では、
女性作家の作品が
次々、海外で高い評価を得てますね。
川上未映子、
柳美里、
小川洋子、
村田沙耶香、
多和田葉子、
といった作家たちの作品が
英米の大きな文学賞に
ノミネートされる機会が増えました。

ちなみに、
彼女たちの才能は
どこから来ているのでしょう?

それは彼女たちより
一回り上、いや、2回り上の
女性作家たちが
まだまだ女性にはハンディが多い中、
自らの才能を信じて、
男性優先社会でも屈することなく
作品を書き続けてきた、
そんな先人の健闘があるから
ではないか?と思うんです。

あら。
本屋大賞・翻訳部門の話を
書こうとして、
昨今の日本女性作家の
海外進出の話になってました。

韓国が、
朝鮮戦争や、ベトナム戦争、
また、国内の軍事政権が
ながらく重くのしかかり、
どれだけ、社会全体が
民主化されない、苦しい
時代を経てきたか。
そんなプロセスがあるからこその、
今の韓国文学や韓国ドラマの
活況があるのではないでしょうか。

日本文学で、今、海外に誇れるものは
どうしても、女性作家になるのか。
男性作家はちょっと、
村上春樹を除けば、
海外進出には、不向きなのかしら?

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