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責任ある旅を考える〜消費者から当事者へ〜

旅への葛藤

私は旅は好きですし、いつもワクワクさせられます。
新しい出会い。新しい景色。新しい体験。

たぶん人生を豊かにするためにも、旅が必要なんだと思います。

反面、旅をすると葛藤を感じる時があります。心苦しくなります。

「私の行動は正しいのか?」

飛行機に乗りながら、電車で揺られながら、歩きながら次の行き先へ向かうとき、私の頭によぎります。

その根本に旅の環境負荷や格差への課題意識があります。

環境問題について

現在、地球温暖化や生物多様性の減少などの環境問題の話が取り上げられるようになりました。

例えば、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書(2013~2014年)によれば、陸域と海上を合わせた世界平均地上気温は、1880年から2012年の期間に0.85℃上昇しています。

最近30年の各10年間は、1850年以降のどの10年間よりも高温を記録しています。

気温上昇に伴う海面水位の上昇も、深刻な問題です。気象庁の「日本の気候変動2020」によると、21世紀末(2081年~2100年)の世界の平均海面水位は、20世紀末と比べて、約71cm上昇する可能性もあると予測されています。

海面水位が上がると陸地が減り、食料や飲料水・安全に暮らせる土地の確保が難しくなるほか、水害が発生しやすくなるなどの影響もあります。

ちなみに、世界各国の科学者が集う国連機関のIPCCで、人間の活動が地球温暖化に影響を与えたことは「疑う余地がない」と断定がされています。
温暖化は人間・私たちのせいなんでしょう。

そして、環境問題は貧困や格差の問題でもあります。
例えば、温暖化の深刻な被害をすでに受けている人々の多くは、温暖化にほとんど責任のない、貧しい途上国に住む人たちです。

一方で、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を多く排出しているのも、環境資源を多く利用しているのも先進国です。

砂漠・干ばつ

旅の環境負荷

私たちが旅行をすることが少なからず環境に影響を与えていることも事実です。自分の好きな場所に行って、好きなものを食べられるのは、その背後で支える人がいるからこそなのです。

具体的な環境負荷の原因について、移動によるCO2排出や、宿泊先での食品ロス、宿泊先の客室で使うタオルやシーツなどの洗濯による水の消費や汚染、宿泊先でのアメニティの使用によるプラスチックの廃棄量増加など、枚挙に暇がありません。

ここ数年では、「飛び恥」と言うような鉄道などに比べ、二酸化炭素の排出量が多い航空機に乗るのは恥ずかしい、という意味の言葉さえ登場しました。

私自身は、飛行機を乗ることを恥ずかしいと思うほど、この世界を小さな視点で見て欲しくないとは思っています。ただ、そのような問題意識が注目されていることも十分理解すべきだと思います。

責任ある旅を目指して

具体的に環境負荷に配慮した旅をする方法はいくつもあります。

・移動は公共交通機関を優先し、飛行機以外の手段を検討する
・旅行ではなく出張の場合は、オンライン会議への切り替えを検討する
・宿泊先での食事の量を事前に減らしてもらう
・マイアメニティ、マイボトル、マイバッグを持参する
・地域のものを購入する

これらのことを全ての人が意識し、実行をするようになれば、環境に配慮した旅行になると思います。

ただ、安い飛行機を乗りたいですし、アメニティは宿泊先のを利用した方が便利だなと思っています。
何より、私の感じるもどかしさは、おそらく環境に配慮した旅行をしても消えないと思います。

恵まれた環境だからこそ思う、ある種の罪悪感や、口では立派なことを言いながら実践できていない自分自身への後ろめたさがあるんだと思います。

だからこそ、私は「責任を持って旅をしたい」と思っています。
そして、自分が得たものを誰かにギブできるような旅をしたいなと思います。

「責任ある旅」とは、自分の行動が社会に影響を与えているということを自覚しながら、豊かな社会の実現に向けて歩んでいくような旅だと考えています。

ちょうど、国際連合の世界観光機関(UN Tourism)にも責任ある旅行者という内容が記載されていました。

そして、旅行によって、単純な「消費者」になるというだけでなく、「当事者」になるという視点も必要だと考えています。

ただ、何かを消費するというのではなく、当事者としてお互いの目指す豊かな社会の実現に向け、行動するための視点を持つことで行動が変わると思うからです。

私は、旅の経験は人生の豊かにすると信じていますし、旅に負の側面があるからと言って、旅は控えるべきだとも思いません。
むしろ若い人であれば、旅をできる余裕があるなら、いろんなところへ積極的に行くべきだと思っています。

その理由の1つは外に出ることで、自分と社会の繋がりに気づけるからです。足を運ぶからこそ、その土地や人に強く思いを馳せることができます。

ただ、自由には責任が伴うのと同じように、地球の未来を考え、行動することは、1つの行動が何かの影響を与えることが分かり始めた現代だからこそ、心に留めるべきテーマだと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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