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短歌(五七五七七)は何故しっくりくるのか?

おはこんばんちわ
日本芸能の能と短歌は似ている部分が多々あると感じます。今回は、能と短歌を照らし合わせて考えていきたいと思います。

【能と短歌はいつできたか?】
どちらも1300年程前だと言われています。能は室町時代に観阿弥・世阿弥の親子によって完成したと言われていますが、奈良時代まで遡ります。
中国では、「三分損益法」により、基音から順次、上5度、下4度の音を生み、それを音高順に並べて一二律へと発展。その音律がのちに五声・七声という調整理論を生みました。
それが後に奈良時代の日本に伝わりました。
※音律の話ですが、「五」と「七」が出てきましたね

ここから少し音楽的な話をしていきたいと思います。

【調子とは】
前項で五声・七声の話が出てきました。
宮調の五声・七声は「呂」、徴調の五声・七声は「律」と呼ばれ、「調」とは調子のことです。
※「呂」と「律」、合わせて呂律

↓マークは五声の部分



三味線や箏の世界では「本調子」「雲井調子」「中空調子」などの調弦法が存在します。
※体の調子を表す「本調子」や、自然の「雲」「空」などを言葉を使って音を表現するなんて素敵ですね。

三味線の「本調子」の音律


次は拍の話をしていきます。

【拍節リズム】
2拍子系と3拍子系があります。民族固有の基礎文化に由来するとも言われています。
2拍子系は水田農耕民族の拍節と言われています。このリズムは日本、中国、東南アジアに分布しています。安定した水平動に基づくもので、拍の感覚は「強弱」ではなく、「裏表」「前後」という表現の方が合います。日本音楽の場合は「表間」「裏間」と呼ばれ、裏間はリズムの緊張感が支配し、表間で緩和します。



さて、本題にもどります。

【能について】
能は謡(うたい)という声楽に合わせてストーリーが進行していきます。
謡の音楽的な面白さは、リズムが非常に複雑なことにもあります。様式的な抑揚をつけたコトバと、より音楽的なフシに大別できます。
フシには拍の間隔を明確に出さない拍子不合(ひょうしあわず)と、基本的に8拍単位からなる拍子合(ひょうしあい)があります。拍子合の「平ノリ」に焦点を当てて話していきます。


【平ノリとは?】
1句8個の拍子を、謡の七五調1句12音節に分配してうたいます。
字余り、字足らずの場合も一定の規則に則りリズムを統一します。
※「五」「七」というワードがどんどん出てきますね!日本語は五や七で区切りやすいのでしょう。ノリが重要視されていることもわかりますね。
※復習⇨平ノリとは拍子合の分類。

下の動画を見てみましょう。能の謡、拍に関して詳しい説明がされています。


次は、百人一首(短歌)の読み上げを聞いてみましょう。


能の謡と短歌は似ているところがあるように感じませんか?



【まとめ】
①能や短歌ができた時代はほぼ同じ。
②日本は2拍子系の文化で、能の謡(平ノリ)は8拍である。字足らず、字余りでも8拍のノリに合わせてうたう。これは短歌にも通じる。
③能や短歌には「七五」や「表裏」等の規則性(リズム)があり、これは日本特有の拍節・リズム周期でもある。

このように能と短歌は切っても切れない関係にあり、どちらも「音楽性」があるように感じます。そして、この音楽は日本古来からのものであり、日本人に染み付いている「ノリ」であると思います。

短歌の五七五七七は日本人にとってしっくりくる理由はこの「ノリ」にあると私は考えます。

みなさんはどう感じましたか?

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