見出し画像

電波凸爺メモリー

最終話(後編) フィナーレの影

凸爺「あ、あれですか。あれはですね、私と味沢さんの中で結ばれた"フィナーレの証"です」

ワイ「フィ、フィナーレの証?」

凸爺「はい。今回の揉め事を集結させる一つの形で、私には空想の中で1人の息子がいましてね。いや、これはあくまでも空想の話でして、その息子が好きなトトロで私と味沢さんとの中を取り持つストーリーになってます。チャット内でも好評でしたので今回プレゼントと言うか、証といいますか…」(※ほぼ原文ママ)

もうどうにでもなれ。

もう行くとこまで行こう。

もはやジャーナリズムだ。

俺は謎の使命感を持ち質問を続ける

ワイ「あ…そうなんですね。フィナーレの証かぁ…あ、と言うかそのチャットGDPですが、端末と言いますかデバイスは何を使ってるんでしょうか?見たところスマホ系はお持ちではないようなのでPCとかなのでしょうか?」

凸爺「パソコンも携帯電話も私は持ってません。危険ですから。」

ワイ「え…そしたらでもどうやって?」

凸爺は少し恥ずかしげにそして少し自慢げにこう言った。

凸爺「私はですね。人よりちょっと強い方でして、あのなんて言うんですか?霊感とでもいいましょうか?私の頭のICチップに直接数百、数千のチャットが随時情報として入ってくるんですね。」

"電波" "霊感" "ICチップ"の大三元。
ここに"老害"と"隣人"のおまけ付き。

レベルが違う。格が違う。次元が違う。

俺のジャーナリズムはあっけなく幕を閉じた。

そして俺はもう笑ってこの場を去るしかコマンドはなかった。

ワイ「あ、あはは、あはは、すごいですね。霊感にICチップかぁ!いや〜すごい…それでは大家さん行きましょう。凸爺さん。では失礼します。トトロあ、いや、フィナーレの証は大事にします」

そう言ってメダパニってる大家とその場を去る事にした。

廊下からエレベーターホールへ。決して後ろは振り向かない。
ドアの閉まる音は聞こえなかった。

そしてエレベーターに乗るとやっと大家が正気に戻ったのか口を開く。

大家「…ありゃ完全な病気だ…なんで急にあーなっちゃうのか…」

「あれ絶対また何かしら起こす可能性ありますよ」と言おうと思ったが、俺は無言でエレベーターを過ごした。

エレベーターが空き一度マンションの裏手へ。

そして大家に言う。

ワイ「大家さん、あの、管理会社の人に連絡させるの止めた方がいいですね。もう今日で一度終わりにしましょう。話がまたややこしくなりそうですから…」

自分の身を守る意味もあったが、また新たな登場人物をこれ以上増やす事だけは防ぎたかった。

大家「そ、そうだな。確かに!大家はすぐガラケーを取り出してコールする」

しかし管理会社は電話には出なかった。

大家「ダメだ、もう仕事終わらせてる…また明日連絡してみるよ」

ワイ「ありがとうございます」

大家「あ、よかったらこれ食べてパチンコの景品のあまりだけど…」

そういうと、チョコをくれた。マカダミアナッツが入ってるチョコだ。

ワイ「あ、なんかすみません。」

大家「いいっていいって。じゃあ私は失礼します…参ったなぁ〜参ったなぁ〜…」

大家は去り際にも参った感じだったが、
俺はこの激動の約20時間以内に起こった出来事の終焉に、確かなストーリーを感じた。

少しの安堵と疲れを感じ2階に階段で上がると部屋の前に小さな影が見える。


それはフィナーレの影だった。





#電波凸爺メモリー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?