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電波凸爺メモリー 第八話

第八話 トトロ

右耳に大家に電話のコール音、左耳にはインターホンの音。

電子音に挟まれながらも、電話に集中する。

再び鳴り続ける謎のインターホンはとりあえずシカトした。
5.6回目のコールで大家が出る。

大家「はい、もしもし…」

少しノイズの混じった環境音だったが、構わず今現在起こってるを伝える。

ワイ「あ、すんません、今さっき凸爺さんが急に来まして、いきなり謝罪されて一度帰ったんですが、今またピンポン鳴らされてます。」

大家「え?謝罪?え?またピンポン…!?」

大家は混乱していた。そりゃそうだ。俺でも混乱する内容はこんなわけわかんない話。

大家「…すみません!今運転中なのでとりあえずまたすぐ折り返します」

そう言って電話は慌ただしく切れた。いつの間にかインターホンの音も鳴り止んでいた。

いとも簡単に他人のインターホン鳴らしまくってくんなあのジジイ…

呟きながら静かにドアスコープを見る。
そこには誰もいなかった。

怒りと恐怖と謎と混乱が部屋に充満している気がしたので、一度コンビニにカフェオレでも買いに行く事にした。

俺の近所には気の利いたカフェが無いのが残念だ。

徒歩5分ほどで赤い看板のコンビニに到着。

カフェオレを買ってコンビニの駐車場で啜る。

「はぁ〜…」

白い息とまさに"THE"ため息が出た。
とりあえず頭の中で整理をした。

謝罪という急展開はいい方向に向いていると考えてたが、凸爺の誰にも注意をされて無いのに、他の人から話を聞いてないのですか?のフレーズが謎だった。

しかしこの物語にまだ登場していない第三者がいると仮説を立てた。

そしてその第三者とは…

①凸爺と一緒に住んでいる嫁さんor同居人
によるマジで勘違いだから謝って来なさい説

②3階もしくは5階の住人や他の住人と凸爺が出会し低周波を感知してそっちに移った説

③日頃受けてるカウンセラー?からの注意説

考えられるのはこの3つ。

③は大家からはそんな情報もないし、
②もちょっと無理がある。残るは①。
①なら近い第三者がいるので解決は早そうだ。

そうだ!嫁さんか!嫁さん位いるよな!!
深夜と早朝に突然行動してたから嫁は止められなかったのかも。

そーだな。そーだ!!

俺はいつも前向きに考える。

カフェオレを飲み干し、マンションへ戻ると俺の部屋の前に謎の影が見える。

それはとっても小さい影だった。

あれ?なんかAmazonの置き配なんて頼んだっけな?

近付くとそれは人形が置いてあった。

トトロが座っていた。

(写真はリアルな写真です)

つづく

#電話凸爺メモリー

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