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神話を忘れた民族は~古典素読会

ミクマリ音読道場では「体験会」を入り口に、じっくり古典を音読を中心として多方面から深める「継続コース」、具体的な指導なしにひたすら古典を音読していく「素読会」、音読と発酵調味料づくりで空気を良くする遊び企画「音読✕発酵」を主に用意しています。

昨日は久しぶりに素読会を予定していました。
公式LINEを開設したので、そのご案内しがてら何名に声掛けしたら、いつもより高確率で「行けます!」「行けるかも!」のお返事が。
当日直前まで検討してくれたけど来れなかった方、遅い時間なら参加できるかもと言っていた方が「早くに行けることになりました」となったりして、14時30分からの会に4名集まりました。

素読会は体験会で母音子音の基礎発声を覚えた方を対象に開催しています。
まずは日本語で一番大事な「あいうえお」の母音を発声、子音の発声と続けます。仕上げに48音が一つずつ入っているカタカムナ5,6首を数通りの読み方で読みウォーミングアップ終了。

次にカタカムナの1~10首を音読しました。
カタカムナウタヒは80首あります。
意味の分からない文字の羅列ですが、ここに日本語の原点を感じます。
カタカムナを一音一音音読していると、古典を読みやすくなったり文章を書きやすくなったりします。カタカムナの音を聞くと遺伝子が反応するのかもしれません。

途中所感を伝えてくれる人もいて、お話しも少ししながらテキストの音読に入りました。
テキストにはカタカムナから始まり、古事記、古今和歌集、土佐日記、枕草子、源氏物語、徒然草、奥の細道などなど、最後は樋口一葉のにごりえまでだんだん時代を新しくして、だれもがタイトルくらいは知っている古典の名文が載っています。
昨日は古事記の冒頭文、スサノオの「八雲立つ」の歌、万葉集の雄略天皇の歌を読んだところでちょうど終わりとなりました。

体験会から時間が経っていて忘れている部分もあり、もう一度体験会の必要性を感じた方、複数で声を合わせることを楽しんだ方、それぞれが素読会を楽しんでくれたようでした。

17時まで会場をとってあったので、そのまま皆さんとフリートーク。
古典音読に響いてきてくれている方の中には、古典に造詣の深い方がいます。おひとりは手作りの古事記紙芝居を披露する活動をしているそうです。
彼女は微笑みながらも確かな目線で「多くの人に愛国心を持ってもらいたいんです」と言いました。神話を忘れた民族は100年以内に滅びる、というイギリスの歴史学者アーノルド・J・トイン氏の言葉を引用して彼女は古事記のお話ひとつひとつに意味がある、さまざま勉強して紙芝居を作って機会を見つけては読みに行っているそうです。
別の参加者の方は絵を描くのがお好きでミュシャなど西洋のアールヌーボーを代表する画家ミュシャの画風で古事記のシーンを描いたりするそうです。地域の公民館などで様々な勉強会を開いたり精力的に活動している彼女、紙芝居に意気投合、おつなぎできたことに喜びを感じました。

他にも薬草についての勉強会を開いている方、継続コースを受講して音読がどんどん上手になり、ご自宅で発酵食品や植物を大切にしてお手本にしたいような美しい生き方をされている方がいて、皆いにしえの日本の良さを残したいと頷き合いました。

素読会なので、素読ができたらいいのですが、時々こういう素晴らしい副産物に出会えます。

四人の方々と、「頭で考えるべきではない、直感を大事にする」そんなことも確かめ合いました。

わたしたちはどこへ行くのだろう。
神話を忘れたら国がなくなる。住むところがなくなる。
わたしたちの遺伝子に組み込まれているはずの膨大な過去データ、圧縮ファイル。これらを解凍するのは神話なのかもしれない。美しい日本語で編まれた神話(古典)を声で振動に変え体に響かせる。

古典を音読することは、わたしたち自身を活かすこと。

よかった、ありがとう。



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