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ラノベ感想「古き掟の魔法騎士 5」

古き伝説と新しき伝説の物語、堂々の完結!

明かされていなかった伝説時代、シドとアルスルの最後の場面も明らかになり、フロレンスに心の間隙を突かれたアルスルが魔王に堕ちたという過去は驚きでした。
どうして今の時代にシドが裏切り者の汚名を着せられているのか、《野蛮人
》などと呼ばれているのか明らかになったのが面白かったです。

自らに残された時間が残り少ないと悟り単身ダクネシアへと乗り込むシド。
蘇ったかつての仲間達との戦いで追い込まれるも、アルヴィン達今の時代の仲間達が駆け付けシドとアルヴィンを魔王の元へと向かわせる展開は王道で熱かったです。

魔王を倒しアルヴィンとの約束を守りエルマを救ったシドが懐かしく果てしなき緑の草原でアルスルやエクレール達と再会した場面は泣けました。
ここで終わっても良かったと思いましたが騎士は真実のみを語る。アルヴィンのラスト・オーダーに従い再び現世へと舞い戻ったエンディングもまた良いものでした。

永遠に続く冬の時代を望んだオープス=フローラ。
彼女に心の隙間を突かれた騎士達も永劫の戦いが続く世界こそ騎士の存在できる世界と言っていましたが、そもそもシドが言うように皆戦乱の時代を戦い続け疲れてしまったがゆえに心に“闇”が生まれてしまった。
誰もが疲れ果て“闇”が生まれるような世界を正そうと魔王に挑むシドの姿が熱かったです。

エクレールが語った『次元樹』という世界観はロクアカの読者ならあっと思ったのではないでしょうか。
世界は無数に枝分かれしており『次元樹』の元に平行世界が存在するというのは同じ羊太郎先生の「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」でも登場した世界観。エクレールがこぼした《意識の帳》が崩れ神秘が蘇った世界というのも「ラストラウンド・アーサーズ」の世界だと思われます。
そう考えると羊先生の作品は『次元樹』で繋がった同一世界観、いわば「羊ユニバース」と想像するとワクワクします。

僕の好きな作品で主人公のライバルキャラで美形の黒騎士とその小姓が登場する作品がありました。人気がありながら悪役なので最後は主人公に倒されてしまうのですが、同じ作家さんの別作品に同じような雰囲気、容姿を持つキャラクターが登場しました。
本編では一切触れられていませんがあとがきで「彼等はあのキャラクターの生まれ変わりである」と作者さんが書いておられました(結果あのような最期にせざるをえなかったことに対するキャラクターへの償いであるとも)。
羊先生の作品でもこんなサプライズがあったらなと期待してやみません。

最後にすばらしい物語を紡いでくださった羊先生、ありがとうございました!

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