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ラノベ感想「りゅうおうのおしごと!17」

現実では先日藤井聡太竜王が史上最年少二人目の六冠を達成し将棋界の歴史が塗り替えられたところですが、本作も現実に負けず劣らず面白かったです。

百年後の将棋を追求する八一とプロ編入試験の実施を目指すあい、今まで現実に寄せていた物語からよりファンタジーの強い展開へと動き出したようで、タイトルを獲って終わりという物語の結末ではない感じがしてきたのがどうなっていくのか先が読めず楽しみです。

将棋の結末を見てしまい絶望する八一。編入試験を公言しプロ棋士や周囲の反感を勝うあい。
終盤まで重く苦しい展開が続きましたが目をそらしていた釈迦堂や生石から聞いた言葉の意味に向き合いただ勝つためではなく、人間が将棋を指すことの意味を求め全身全霊で碓氷に挑むあいの姿がとても熱かったです。

「トレーディングカードゲームは一人では遊べない不完全なゲームです。
 そんなゲームを愛してくれてありがとう」
トレーディングカードゲームの伝道師が言った僕の好きな言葉です。
相手がいるからこそ楽しめるゲーム。
そこにもう一つの意味を感じました。
きっと“不完全な人間同士”だからこそ そこに熱い気持ちやドラマが生まれるのだと思いました。

八一が見た全てが相入玉か千日手の結末。
完璧なもの同士がやれば全ての結末が決まっているというのはなんとつまらないものなのかがよく分かりました。
色々な物語でヒーロー達が唱える「明日」。
明日は分からないからこそ面白い。不完全な人間同士だからこそ明日なにが起こるか分からない。決まっていないから変わっていける、進んでいける。
決まった未来を否定する気持ちがよく分かりました。
まさに「運命よ、そこをどけ」。

将棋盤を挟んで人間同士が戦うことの意味。
人と人が関わることの意味。
そんな熱い物語をもっと見せて欲しいと思います。

最近はAIが小説を書くなんて時代になりましたがこの熱さはきっとAIには表現できないものだと思うから。

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