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ラノベ感想「七つの魔剣が支配する 10」

今巻一冊を通じて「魔法使いが子を生すということ」が軸にあったと感じました。

マルコが語る子供を持てば人は変わるというトロールの人生観、リバーシの血を残したいというピート、エルフという稀少な血の漏洩を防ぐため子供の産めない身体にされたキーリギ、互いに殺し合う事ができない代償行為でむつみ合うナナオとオリバー、オリバーを普通の魔法使いとして育てようとしていたクロエ、そしてオリバーに大きなトラウマを植え付けることになったシャーウッド家での出来事。

魔法使いがその血統の先に見ているものが普通人とはまったく違うことが強く感じられました。

グウィンとシャノンが従兄弟であったり家のためとはいってもどうしてここまで死の危険と隣り合わせのオリバーの仇討ちに協力しているのか疑問に思っていたのですが、今回シャーウッド家での出来事が明らかになり共に辛い目に遭いあの環境にあったオリバーを支えようという気持ちが分かりました。

前半で出て来たオリバーが異性との行為にトラウマを抱えた理由は後半で明らかになりましたが、4巻でのシェラとの一件の時にシェラが「オリバーは想いを寄せる相手以外との行為を忌避している」と分析しているのも今思えば伏線だったのかと思います。

なぜ魔人達はクロエを拷問にかけたのか、エスメラルダはなにをしようとしているのか、オリバーの敵討ちが進む一方その原因が一向に知れないのが不気味です。

前半語られたオリバーのトラウマが後半明らかになったように今巻の構成が一冊である程度まとまっているのなら、リヴァーモアが気付かないほど気配が薄くオリバーに激しい思慕を向けるテレサが亡くなったはずのオリバーとシャノンの娘となにか関係あるのではと予想するのは考えすぎでしょうか。
シャノンの「この子はノルのことが大好き」のところでこの子がテレサかと思いました。

魔法使いは妊娠期間が短い。可能性は低いですがこれは宇野先生の前作「天鏡のアルデラミン」で女性の妊娠期間が短くなっていたこととなにか関係あるのでしょうか。
遠い未来オリバーとユーリィのクローンが邂逅するなんてエピローグが……。

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