内本順一

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内本順一

音楽ライターを始めて四半世紀ちょい。 主にシンガー・ソングライター系のライナーノーツを書いたり、ウェブや雑誌でインタビュー記事やレビューやコラムを書いたりしております。

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    観てきた映画の感想を書いてます。

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    観てきたライブの感想を書いてます。

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    音楽ライター・内本順一による国内外のミュージシャンのインタビュー。ここでしか読めないもの、または音楽ウェブサイトや雑誌で公開しなかったものを公開します。

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    インタビュー、コラム、ライナーノーツなど、執筆したものについての情報をお知らせします。

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    イベントや美術展についての感想を書いてます。

最近の記事

『関心領域』(感想)

2024年5月26日(日) 立川シネマシティ シネマ・ワンで『関心領域』(極音上映)。 思っていた以上にアート的な作り。感情誘導を一切しない。説明的な描写を削ぎ落しまくって、観る者の想像力に委ねる映画だと感じながら観た。「見せるだけです。あなたが感じるままに受けとめなさい」というような。だが、あとでいろんな論考を読んだりポッドキャストで聴いたりして次第に監督の熱いメッセージが実はあちこちから見てとれる映画であることがわかってきた(その例はここでは挙げないが)。 音が重要

    • JUNGLE@渋谷・Spotify O-EAST

      2024年5月27日(月) 渋谷・Spotify O-EASTで、JUNGLE。 土曜日のグリーンルームフェスだけでなく、単独公演も早々にチケットをとって観に行った。野外と屋内、両方でしっかり観ておきたかったのだ。 オープニングアクトは、最近独立したどんぐりず。一昨年あたりは最も多くフェスで観たのが彼らだったが、今年になって観るのは初めて。JUNGLE目当ての人たちの前で、しかし彼らは気負うことなくいつもの調子でやり、次第に熱が入って、観客たちも徐々に開放されていったの

      • GREENROOM FESTIVAL '24@横浜赤レンガ倉庫

        2024年5月25日(土) 横浜赤レンガ倉庫で、「GREENROOM FESTIVAL '24」。 以前は毎年のように、しかも大抵2日間とも観に行っていたグリーンルームフェスに、1日だけだが久しぶりに足を運んだ。 空間があって、ゆったりした音楽を聴かせるアーティストが多く出演していて、座って聴くのも全然ありで(会場外ステージでは芝生に寝転んで聴けたりもして)、いい意味でのユルさがあったかつてのグリーンルームフェス。今のこのフェスは、もうそういうものではなくなってしまって

        • 『バティモン5 望まれざる者』感想

          2025年5月24日(金) 吉祥寺アップリンクで、『バティモン5 望まれざる者』。 前作『レ・ミゼラブル』(2019)を観て”やられ”、この監督は追っていきたいと思っていたフランスはモンフェルメイル出身のラジ・リが監督・脚本を手掛けた新作。 『レ・ミゼラブル』と繋がったテーマを持ち、同じ製作スタッフが再集結して作られたものだが、『レ・ミゼラブル』以上にドキュメンタリー的なタッチで描かれた「もうひとつのパリ」。今作もラジ・リ監督の実体験がベースになっているそうだ。 パリ

        『関心領域』(感想)

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        記事

          FUJI&SUN '24

          2024年5月11日(土)~12日(日) 静岡県富士市「こどもの国」で、「FUJI&SUN'24」。 このキャンプフェスに参加するのは、2年振り、2回目。 自然が豊かで、環境としていい。なのにそこまで人が多くなく、一定のリラックス感(いい意味での“ユルさ”)が保たれている。子供連れも多く、親も子もみんな生き生きと楽しんでいる。同じ時間帯にライブがそんなに重ならない。メインステージでのヘッドライナーのあと、キャンプサイトではDJがまわして野外クラブ的に盛り上がる時間もある

          FUJI&SUN '24

          『ジョン・レノン 失われた週末』(感想)

          2024年5月21日(火) 吉祥寺アップリンクで『ジョン・レノン 失われた週末』。 自分はビートルズの熱心なファンというわけではないので、8~9割が初めて知ることであり、驚きの連続。なので、めちゃめちゃ面白かった。 これを観るまで、ジョンの「失われた週末」とは即ち酒に溺れた非生産的な期間だったとばかり思っていた。が、そういえば『Walls And Bridges』と『Rock 'N' Roll』を作ったのはこの期間だったわけで。映画を観ればわかるのでここでは書かないが、

          『ジョン・レノン 失われた週末』(感想)

          『猿の惑星 キングダム』(感想)

          2024年5月18日(土) 新宿ピカデリーで『猿の惑星 キングダム』。 視覚効果は見事なものだ。エイプの動きも表情も、草木の揺れやその音も恐いくらいにリアル。技術の進歩を実感する。その意味では、2024年の映画、2024年の”猿の惑星”を観ているという気にさせられた。 戦いのシーンにはハラハラドキドキもそれなりにあったし、引き付けられるシーンもそれなりにあった。面白くないというわけではない。辻褄が合わないということもない。出来の悪い映画かと言えば決してそうではないのだ。

          『猿の惑星 キングダム』(感想)

          仲井戸"CHABO"麗市 SOLO Stage[Walking By Myself]@ 南青山MANDALA

          2024年5月10日(金) 南青山MANDALAで、仲井戸"CHABO"麗市 SOLO Stage[Walking By Myself]。 10日・11日の2日間の、自分は初日を観た(2日間とも申し込み、初日のみ当選した故)。 チャボにとってキャリア初の「全曲リクエストでかためた」ライブだ。リクエストに応えるようなタイプではなく、これまではそういうのを無視して自分の好きなようにやってきたが、初めてやってみようと思った……というようなことをMCで言っていた。 ライブに行

          仲井戸"CHABO"麗市 SOLO Stage[Walking By Myself]@ 南青山MANDALA

          『ミュージカル この世界の片隅に』@日生劇場

          2024年5月16日(木) 日生劇場で『ミュージカル この世界の片隅に』。 原作と映画版は傑作、TVドラマ版もなかなかよかった。でもミュージカルにするのはどうなのだろう…。そもそも歌にして盛り上がる種類の題材ではないし、繊細な部分が失われてしまうのではないか。そんな不安も初めはあったのだが、ミュージカル音楽作家に転身したアンジェラ・アキさんに去年今年と2度話を聞き、アルバム『アンジェラ・アキ sings 「この世界の片隅に」』を聴いて、彼女の音楽がどのように活かされている

          『ミュージカル この世界の片隅に』@日生劇場

          『マウリポリの20日間』(感想)

          2024年5月8日(水) 吉祥寺アップリンクで『マウリポリの20日間』。 惨劇。 絶望。 容赦なし。 まるで地獄絵図。 「戦争は爆発ではなく静寂から始まる」。 冒頭でジャーナリスト(AP通信のウクライナ人記者)でありこの作品の監督・撮影・製作を務めるミスティスラフ・チェルノフが静かにそう話すが、まさしくその怖さを見ている間中ずっと感じていた。爆撃や砲弾を予感させる音はなく、まさに静寂の次にいきなりそれがくる。そのリアル。戦争の本を読んでもニュースを見てもそういうものだと

          『マウリポリの20日間』(感想)

          『オッペンハイマー』(感想)

          2024年5月5日(日) 宇都宮TOHOシネマズで、『オッペンハイマー』。 公開からけっこう経っていて既にいろんな考察が出ているが、一切それらを見ずに観に行った。以下、考察ではなく、あくまでも初観のざっくりした感想。 連休中は栃木にいたため、都内と違ってさほど大きくないシアターで観たのだが、基本、会話劇だし、ノーランがすすめるIMAXじゃなくても十分だと感じた。そりゃあIMAXならIMAXの音響による没入感もあるだろうが、今回が初観でもあったし、没入感が凄すぎるとかえっ

          『オッペンハイマー』(感想)

          石橋凌@下北沢・CLUB251

          2024年4月27日(土) 下北沢・CLUB251で石橋凌。 45th Anniversary Tourの初日。 あまりに貴重なライブハウス公演。速攻獲ったチケットの整理番号が84番だったので、早めに入れてかなり前のほうの真正面で観ることができた。 ライブハウスで凌さんを観るのは一体いつ以来か。ソロになって以降は(少なくとも東京は)ホールでしかやっていなかったはずだし、ARB時代にしたってある時期以降はホール展開になっていったので、恐らくARBの中期以来だと思う。という

          石橋凌@下北沢・CLUB251

          ミュージカル音楽作家としての初のアルバム『アンジェラ・アキ sings「この世界の片隅に」』を4/24にリリースしたアンジェラ・アキさんにインタビューしました。ぜひご一読を。https://realsound.jp/2024/04/post-1641389.html

          ミュージカル音楽作家としての初のアルバム『アンジェラ・アキ sings「この世界の片隅に」』を4/24にリリースしたアンジェラ・アキさんにインタビューしました。ぜひご一読を。https://realsound.jp/2024/04/post-1641389.html

          AJICO@Zepp Shinjuku

          2024年4月24日(水) Zepp Shinjukuで、AJICO。 Zepp Shinjukuには初めて行った。新宿なので、Zepp系列のなかでは家から近くてありがたい。けっこうなキャパだし、この日はあいてなかったけどバーも充実しているようだし、長めのイベントとかでもこのハコは悪くなさそうだ。 ってなことはさておき。「アジコの元型」ツアー・ファイナル。7月に追加公演も決まったが、とりあえずの区切り公演である。 3月30日の日比谷野音公演も観たが、あの日は初夏のよう

          AJICO@Zepp Shinjuku

          The Street Sliders@NHKホール

          2024年4月21日(日) NHKホールで、The Street Sliders。 LAST LIVEから22年と7ヵ月ぶりに再集結したスライダーズの武道館公演を観ることができたのが昨年5月3日。約1年前のこと。それから秋のツアーもあったり、今ツアーではスペシャルで野音があったりと、ファンには嬉しい動きをしてきたスライダーズ。ではあったが、とにかくチケットがとれない。1年前の武道館はどうにかとれたが、秋のツアーは名古屋や三郷や大阪やらの地方も含めて結局ひとつも当選せず。今

          The Street Sliders@NHKホール

          『辰巳』(短めの感想)

          2024年4月20日(土) 渋谷のユーロスペースで「辰巳」を観た。おもいっきりくらった故にじっくり感想書きたいところだが、仕事が詰まり気味で余裕がないので、とりあえず昨晩したツイートをまとめておきます。2度目を観たあとまたちゃんと感想書きたい。 「2010年代の邦画で僕のベスト1は『ケンとカズ』。そこから8年、待ちに待った小路紘史監督の新作『辰巳』を初日の今日観た。始まった瞬間から最後まで息をした記憶がない。それくらいの緊迫感と暴力性と圧倒的熱量。いやぁ、凄い。小路監督は

          『辰巳』(短めの感想)