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明け方の人工衛星

高校生の時に新聞配達のバイトをしていた。
当時は野球部に所属し、朝練の前にお金を稼ごうという安易な気持ちから
朝活はスタート。
後に野球部は辞め、新聞配達は続いた。
秋が過ぎて冬の匂いがする頃から、驚くほど早朝は星が綺麗に見えます。
何度も声を上げたくなるほど長く強く光を放つ流れ星を見かけた。
ちょっとだけ新聞配達に慣れてきた頃、
星と同じようにひかり、流れ星よりも超ゆっくりと移動する物体を発見
した。
えっ?! UFO??
じっとその物体の行き先を目で追った。
ゆっくりとまるで意志があるかのような直線的な動き。
UFOでも流れ星でもない事をすぐに悟った。
それから毎朝その動く光の物体を見つけては何なのか疑問に思っていた。

同じような話がもう一つ。
パリのシャンゼリゼ通りを凱旋門からルーブル美術館に向かって歩いて
いたら、前方に激しくひかる球体が何度も打ち上げられていた。
えぇ!! 
ほんの一瞬だけ流れ星かなと思ったけどさすがにそれは無い。
少しずつそのひかる球体に近づいていくと
それは観光客目当てに実演販売されているおもちゃだった。
がっかりした気持ちと一瞬でも流れ星と思った自分が恥ずかしかった。


早朝に見かける動く光の物体は人工衛星だったと知ったのは
もう随分と時間が経ってからだった。
自ら光を放たない人工衛星は太陽の光がかろうじて届く夕暮れ時と、
太陽の光が真っ先に届く明け方に見る事ができるらしい。
そう思うとちょっとだけ貴重な物を見ていた気持ちになる。



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