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星の王子様 読書記録 第18節 見向きもされない花

星の王子様の著作権は2005年に切れました。ここは私のフランス語学習の場であるとともに、文学を学ぶ場です。

  Le petit prince traversa le désert ne rencontra qu'une fleur.
Une fleur à trois pétales, une fleur de rien du tout…
<Bonjour, dit le petit prince.
--Bonjour, dit la fleur.
--Où sont les hommes?> demanda poliment le petit prince.
La fleur, un jour, avait vu passer une caravane :
<Les hommes ? Il en existe, je crois, six ou sept. Je les ai aperçus il y a des années. Mais on ne sais jamais où les trouver.
Le vent les promène. Ils manquent de racines, ça les gêne beaucoup.
--Adieu, fit le petit prince.
--Adieu> dit la fleur.

王子様は砂漠を渡り、たった一本の花としか巡り合いませんでした。
3枚の花びらだけの花。見向きもされないような花・・・。
<こんにちは。>王子様は言った。
<こんにちは。>その花は言った。
<人はどこにいるの?>王子様は丁寧に答えた。
花は、かつて、一群れの隊商を見かけたことがあった。
<ひとですか?6,7人はいると思います。数年前に彼らを見かけました。でも、彼らがどこにいるのかはわかりません。
風が彼らを運んでいきます。彼らには根がありません。それが彼らをとても苦しませるのです。
ーーさようなら 王子様は言った。
ーーさようなら その花は言った。

🌈単語
✅caravane
♢女性名詞
①(砂漠などを越える)隊商、キャラバン
②(旅行者などの)グループ、一行

gêne 
♢gêneの第3人称単数形 他動詞
①(肉体的に)・・・を窮屈にする、不快[不自由]にする、苦しませる、うっとうしくさせる
②・・・を妨げる、の邪魔になる
③・・・に気づまりを感じさせる、嫌な思いをさせる;には有難迷惑である。

racines
♢女性名詞
①(植物の)根、地下部;
②根源、大本、根底

promène
♢promènerの第3人称単数形 他動詞
①・・・を散歩させる、連れ歩く;引っ張りまわす
②・・・を持ち歩く[運ぶ]、移動させる;[ある状態]を持続させる
③<~qc sur  qc>・・・に[視線など]を巡らせる;走らせる

🌈文学

 彼らには根がありません。それが彼らをとても苦しませるのです。

 私たちは、自分達は植物なんかよりずっとすごいと思っているし、心のどっかで、植物よりもずっと幸せだと考えている。

 植物では人間の持っている楽しさは味わえないだろうし、彼らはどちらかというと、踏みつけられたり、刈られたりする立場だし。

 だけど、この花からすれば、人間はとてもかわいそうで、大変な生き物に見えるらしい。

 私たちは、経済活動を行っていて、日々の糧を手に入れるのに右へ左へと駆け回っている。根の無い人間たちは、草花たちにとって当然あるはずの根を求めて、彷徨い続けている。

 この点、私たちは草花にも劣る。根を下ろすこともできていないのだから。

 ひとたび根を下ろすところを見つけると、他の種と争い合い、殺し合う。(草花たちも、目立たないけど生育環境の奪い合いはある。強い種が繁殖する。)
しかし、この花は違う。全くもって無価値な花に見えるけど、雑草魂のモデルになる雑草よりも、圧倒的に過酷な環境の中で生きている。

 快適な環境を探し求めて安住しようと思うよりは、過酷な環境に自身を慣らすことができている。この無価値な花に、人間は弱いなぁと却って下に見られている気がします。

 本当はこの植物のお話について、書きたいことは山ほどあるけど、これくらいにしておきたいと思います。



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