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日記というもの - インへイル / エクスヘイル

うろんがいなくなった。

川のどこを見回しても、澄んでいて穏やかなものである。頭上でヒヨドリが鳴く。
もうこの辺り一帯の小エビも虫も食べ尽くして、どこかへ行ってしまったのだろうか。

うろんとは、ある日突然、通勤路にある小川に現れた白鷺の名前である。
本来人が通るべき路の真ん中にこつぜんと立っていて、私をたいそうギョッとさせた。
その立ち姿が、エドワード・ゴーリーの『うろんな客』に似ていたことから、私はあいつをうろんと呼ぶことにした。

あいつはどこへ行ったのだろう。今日も白い影を探しながら出勤する。

道中、自転車のおばあさんが大衆居酒屋の店主に「おそうざいあるかい!」と声をかけていてグッときた。これこそが生活。おばあさんの生活の中に、大衆居酒屋の店主がつくるおそうざいがある。そしてそれはおばあさんの夫や、子供にふるまわれるのかもしれない。


Uron has gone somewhere.

I looked around the stream, but there's nothing besides clear and calm water. A bulbul is singing overhead.
I wonder if he has eaten up all the shrimps and insects here then gone somewhere new.

Uron is the white egret, suddenly appeared at the stream on my commuting road.
He was standing idly in the middle of a sidewalk where humans should be, that gave me a start.

It looked like "The Doubtful Guest" by Edward Gorey, so I decided to call him Uron (doubtful).

Where did he go? Day after day, I walk to the office while finding the white shadow.

Along the way, I saw an old woman speaking to the owner of an eating house.
"Do you have dishes for takeout ?" It made an impression on me. This is the living. In her life, there are dishes made by the owner of an eating house. And she may treat them to her husband or children.


インヘイル / エクスヘイルと題して、日記をはじめることにした。
日本語で書いた短い記録を、英語で書き直す形式で。

日記といっても、わたしのことだから毎日は続かないだろう。週末に1週間分をまとめて出すくらいのペースがちょうどいい。

言語を変えると、自分の考えを別な角度からつついて分解して、また組み立て直す作業が必要になる。文法が思考をつくるという話はあながち間違ってない。
ふだん練習の場がない英語と、自分の視点を変える訓練……と書くとまあまあそれらしいが、単に日記が書いてみたかっただけなのである。英語もひよこレベルだしピヨピヨいってやろう。
まだ文法書の半分あたりをさまよっているイタリア語と、発声練習ばかりで文法を何一つ覚えていない中国語も、そのうち加えられたらいいな。


吸って / 吐く。
自分の中に風を通すこと。小さな流れをつくること。

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