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軽率に技術同人誌の執筆デビューしてみた話:『LT秘伝の書』編

この記事は DevRel Advent Calendar 2023 の6日目の記事です。
技術書同人誌博覧会 Advent Calendar 2023の前半に書こうと思ったらめでたく埋まってしまったのでこちらに載せます。

こんにちは、じゅんです。
Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN)というHoloLens・VR技術好きの技術者コミュニティの勉強会を運営していて、開発者の知見の交流を促進しています。また、元・物性研究者として、研究機関に所属する若手研究者でxRに興味を持つ人を見つけてはHoloLensを被せに行き、開発者コミュニティへの橋渡しを行う事を続けています。これらを適切に表現する職名が無いので、勝手にScientist/Developer Relations と名乗っています。

 11月25日に開催された技術書同人誌博覧会(#技書博) 9 のイベントになんとなく巻き込まれて、「エンジニアの登壇を応援する会」サークルの合同執筆に加わり、『LT秘伝の書』という登壇TIPS本に寄稿しました。ライトニングトーク(LT)のコツを初心者の人が見る事で、初心者の発信のハードルを下げる試みとの事でしたので、ぜひともと思い参加しました。
 いろいろな人が買っておられるらしいので、感想なども出てくると嬉しいですね。オンラインでも購入できます。
 今回、『技術書同人誌ってなあに?』レベルの私が体験したことを備忘録として置いておいて、技術誌をまだ書いたことのない人の参考になればと思い書いてみることにしました。


本について

発端

 9/27に開催された 「LTのコツ」大披露会 (#Engineers_LT)のネタがたくさん集まったことが企画の発端のようです。この会はオフライン開催でしたので、私は参加できていないのですが、#Engineers_LTのハッシュタグで楽しそうなポストが流れてきていたのを楽しく眺めておりました。togetterにもまとまっているので、これを見るだけでも勉強になります。

 勉強会主催の @ariaki4dev さんが以下のツイートをして執筆者を募集して、記事を書ける人がわさわさと集まったことでプロジェクトがスタートしました。

中身の紹介

 本書では、オムニバス形式でLTに関するエピソードがそれぞれの筆者の視点で語られていますが、内容によってざっくり領域が分かれています。
LT会への関与度合いによって4ステップあり、それらに対応しています。

①LT会に参加する 1,2章
 LT会の見つけ方や、参加してツイッターなどでの発信のガイドが載っています。

②LT会で登壇する 3-13章くらい
 LTで発表することの効能、怖さをなくすための心の持ち方、準備、コミュニケーションなどが書かれています。

③LT会で運営参加する 14,15章
 登壇ハードルが下がる効能、自主イベントの新規設置について書かれています。

④LT作成のTIPS 16‐22章
 スライド作成のコツ、禁忌、ネタ探し、伝え方、ストーリー、練習などが
並んでいます。 

 初心者向けということで、まず最初に障壁となるであろう初登壇を助ける内容になっているように感じます。自分が読むと、自分が初登壇したときに緊張でブルブルしてた時を思い出します(汗)
 前半くらいをさっと読んで根拠のない自信が沸いたらそこで適当なLT会でデビューしてしまって、しゃべり終わったら本書を再び見て改善に充てればよいのじゃないかと思います(適当)

執筆の体制

 執筆はプロジェクト用のSlackチャンネルで行われました。参加表明をしたメンバーが執筆用チャンネルに招待され、9/28から作業が行われています。GitHubのリポジトリで書籍の材料が管理され、各筆者が提出した原稿データを随時そこにまとめていく形式で進んでいました。
 組版はたぶんTeXで、本文の指定形式はMarkdown形式・Re:VIEWフォーマットを推奨されました。『GithubとかMarkdownとか何のことかさっぱりわからない!』という人(おもに私)もテキストを渡せば編集執筆スタッフが変換して加えてくれるという親切仕様でした。
 執筆参加者のスケジュール的には、10月頭に本格開始・執筆者が合流開始、10/20までに各自何かをアウトプット、10/30に原稿完成、という流れでした。そのあと5日くらいの相互レビュー期間が設けられ、そうこうしているうちに11/11に入稿日が決まったことに伴い、10日まで修正・追加の期間がありました。
 タイトルは複数の案から選ぶ形式で、10日に投票が始まり11日に決まりました。表紙のイラストもそのあたりで固まって(タイトルとかもいれなきゃいけないから大変だよね)、14日に製本の発注が完了したようです。
 22日くらいにサークルから書籍頒布のアナウンスが出て執筆者各自で宣伝ツイートをやり始めて、27日の本番に臨んだという流れでした。

 下のtogetterまとめにて、各執筆者のアピールなどをまとめてくださっているメンバーがいました。参考になります。

 ところで、私は蒲田の会場には行けないので、札幌からヒッソリと #技書博 ハッシュタグを眺めて盛り上がりを観察していたのでした。

私の関わり

 9/27の夜はVision Proの勉強会を観ていました。時間被りだった『LTのコツ』イベントのツイートがおすすめTLに流れてきていたのでそちらも見ていました。

 10/8の23時くらいにariakiさんが出した合同執筆者募集のツイートにその2時間後くらいに気づいて、3年前の10月に発表したLT資料を引っ張り出して反応してみたところ、Slackへの招待がもらえました。それが午前1:30くらい。

 フォーマットを確認したあと寝るはずが、たまたま寝れなかったので、当時の発表資料をテキストに書き直してnoteで公開しました。午前4時。

 これを編集者用Slackに共有して、18時過ぎにariakiさんの内容チェックOKがでたあと、18:43におやかたさん (@oyakata2438)がテキストを本体に合流してくれて実質終了しました。プロジェクトに巻き込まれてから担当分が終わるまでに24時間かからないという省エネ執筆でした。すごい。作業時間は3時間でした。

 XR方面からも執筆者が増えるといいなと思ってXRミーティングで宣伝したりしました。ちょっとタイミング面で合わずにこちらの成果は得られなかったですが、私がこの活動を通じてLT登壇者を増やしたい気持ちは参加者に伝わったようです。

 12/2に見本誌が届き、その広告ページに『ブログを書くまでが技書博』と書いてあったので、素直にブログ書いてるというのが今です(笑)

#技書博 10 は5/12開催らしい

出してみての感想・まとめ

 書籍として本を編集するのは自分の博論以来だったので、若干恐怖だったりもしたのですが、たまたま加わったサークルが歴戦のベテランみたいな人達だらけのサークルだったおかげで苦も無く出版に至りました。原稿をいい感じに変換してくれた @oyakata2438 さん、締め切り前原稿チェックしてくれた @ditflame さんありがとうございました('ω')

 ライトニングトークって難しいですよね。私も未だに内容を伝えきれるLT発表をできたことがありません。私としては運営を味方につけることをおススメしていて、この作戦によって自分のLTの難度を下げています。これは発表者→運営者でできるアプローチのハードル下げです。
 一方で運営者→発表者でできるアプローチとして、自分が毎月運営しているXRミーティング(#XRMTG)でも初LT参加者のケアをずーっと続けていて、発表の構成・スライドの情報量チェック、内容が刺さりそうな他会場の参加者の共有、デモアプリの見せ方、本番前チェック、本番後フォローなどを登壇者の希望に応じて実際に行っています。少しでも安心して自分のネタをお話ししてもらえるよう頑張りますので、ぜひ活用してください。

 技術者の界隈では、アウトプットを始めると得られる情報の質に変化が起きることはもっと知られてもいいと思っていて、そのために登壇者を増やせそうな取り組みをしています。今回のLT本についてもその一環で気軽にやってみました。LTをするとテキスト化へのハードルもたぶん下がると思いますし、その逆でブログ→LTの人もいると思います。各自得意な方向からやってみるといいと思います。

 ところで技術書の寄稿部分の内容をわたし公開してしまってるんだけどいいのだろうか…?LTが苦手な気持ちが突き抜けて一周して運営サイドをやってるとかいう共感の得られなさそうな内容なのでいいのだろうと勝手に納得しています。他のパートを見てみたい方は、書籍を購入していただくか、オフラインで私に会ったときに言ってくれれば見本誌をお見せします。

以上です。
(2023/12/6 初稿 3720字 240 min)

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---技術書同人誌博覧会 Advent Calendar 2023---

おまけ


12/19 エンジニアの登壇を応援する会 忘年LT大会 開催