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恒星の視等級、絶対等級の話

    僕はよく、近所の大きい公園で1人で天体観測をしているんです。先日もいつものように天体観測をしていたら、親子で天体観測をしに来た小さな男の子が1人の僕を哀れんだのか、話しかけに来てくれました笑。どうやら星が好きな子のようで、話がとても弾みました。そして、冬と言ったらオリオン座。ちょうどオリオン座が見えたので、「星座では、明るい星順にバイエル符号と言って、ギリシャ文字α、β、γ…というふうにつけるんだよ!そしてオリオン座のαはベテルギウス、βはリゲルなんだ。」と教えました。すると、「でも、ベテルギウスよりもリゲルの方が明るいんでしょ?なんでリゲルがαじゃないの?」と聞き返されました。僕は関心しながら質問に答えました笑。これは鋭い…どうやらリゲルの方が明るいことを知っていたらしい…。では、今回はこの質問の答えの鍵となる、恒星の視等級と絶対等級について軽くお話して行こうと思います。

恒星の明るさ

まず、視等級とはなにか。それは、地球から見た恒星のそのままの明るさのことです。恒星によって、地球からの距離は異なります。それらの距離を考慮しないで決めた明るさが視等級です。1番視等級が明るい恒星は、おおいぬ座のシリウスですね。
次に絶対等級について。これは、「恒星を地球から10パーセク離れた位置に置いたときの明るさ」です。おや、なにか聞いた事のないような単位が出てきましたね…。まず、パーセクについて説明します。地球、太陽、恒星の3点を結んだら三角形ができますよね。この三角形で、恒星の1点の角度を、「年周視差」と言います。つまり、恒星を地球と太陽から見た時の方向の差のことですね!
そして、この年周視差が1秒角(=1/3600度)となる長さがあります。この長さを天文学では、「1パーセク(1pc)」と定義しています。1パーセクは、おおよそ3.26光年に相当します。遠い!!
(雑ではありますが図を書いてみました)

図で書くと分かりやすいですね

つまり、絶対等級は地球からおよそ32.6光年離れた位置に恒星を配置した時の明るさのことです!
これだと、恒星の明るさを相対的に表せますね。
冒頭でのバイエル符号の明るさ順とは、視等級での明るさの事だったわけです!なので、絶対等級ではリゲルの方が明るくても、視等級でリゲルより明るいベテルギウスをαとするわけです。

余談

冒頭ではオリオン座を例に話しました。実は、オリオン座には、リゲルよりも絶対等級が明るい星があります。その名も、アルニラムです!オリオン座の三ツ星の真ん中の星ですね。
アルニラムは、オリオン座ε星です。バイエル符号がεなので、視等級はそこまで明るくありません。ですが、アルニラムは地球から1300光年以上も離れています。そこまで離れていてもなお2等星として見えているわけです!

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