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#創作大賞2024

霧の夜に響く足音

 東京の夜は深い。霧が街を覆い、ネオンの光がぼんやりと霞む。俺の名前は剣崎鉄也。探偵だ。この街の裏通りを知り尽くしている。今夜も、依頼人からの電話を受け、ある場所へと向かっている。

 俺の手には、信頼のおける相棒がある。コルト・ガバメント。45口径の重みが、この手にしっくりと馴染む。銃身には微かな傷が刻まれ、無数の夜を共に過ごした証だ。

 俺は足早に歩く。革靴がアスファルトに響く音が、静かな夜に響き渡る。目的地は、新宿歌舞伎町の裏通りにあるバー「ブラックドラゴン」。ここは情報が集まる場所であり、私のような者にとっては貴重な水源のようなものだ。

 バーに入ると、ハイライトの紫炎が目を刺激する。カウンターには、無口なバーテンダーが立っている。彼は俺を見ると、何も言わずにウイスキーを一杯注ぐ。俺はそれを一息に飲み干し、依頼人の情報を聞き出す。

「黒川の動きについて何か知っているか?」

 バーテンダーはゆっくりと首を横に振る。黒川はこの街の裏社会を牛耳る男だ。彼に関する情報は、簡単には手に入らない。

 俺はバーを出ると、再び霧の中を歩き始める。俺のコートの内側には、いつものようにコルト・ガバメントが隠されている。この街で生きるためには、いつでも準備をしておかなければならない。

 俺の探偵業は、ただの仕事ではない。これは、正義と悪が交錯する闇の中で、真実を探し求める戦いだ。そして今夜も、その戦いは続いていく。


 この物語は、昭和のハードボイルドな雰囲気を持ちながら、現代の東京を舞台にした探偵のリアルな描写を試みた。探偵、剣崎鉄也が持つコルト・ガバメントは、彼の信頼できる相棒であり、この不確かな世界での唯一の確信だ。

This picture  was   drawn digitally  Jun  Tachibana

霧の街の四つの影

 昭和四十年代、東京の裏社会は新たな噂で持ちきりだった。破壊者四人集の出現だ。黒龍、銀蝦、赤百足、青鰐。彼らは、それぞれが独自の力を持ち、暗闇の中から街を牛耳ろうとしていた。

 俺の名前は剣崎鉄也。かつては英雄と呼ばれたが、今はこの霧の街で探偵をやっている。俺のオフィスは、新宿の裏通りにある。ここは、光と影が交錯する場所だ。

 今夜の依頼人は、一見すると普通の女性だが、目には恐怖が宿っている。彼女の名前は高嶺ジュン。彼女の弟が、破壊者四人集によって誘拐拉致されたという。

「剣崎さん、お願いします。弟を...」

 ジュンの声は震えていた。彼女の弟は、科学者であり、ある重要な研究データを持っていた。そして、そのデータを狙う者たちがいた。黒龍、銀蝦、赤百足、青鰐だ。

 俺はジュンに頷いた。この街で生きるということは、闇に立ち向かうということだ。俺はコートの内側から、拳銃を取り出し、ジュンに見せた。

「これがあれば、どんな敵も倒せる。」

 ジュンは目を見開き、俺の言葉に希望を見出したようだった。俺たちは、霧に包まれた街へと足を踏み出した。目指すは、破壊者四人集が潜むとされる秘密のアジトだ。

 街は、昭和の残像を色濃く残していた。ネオンの光が霧を照らし、人々の顔を不気味に浮かび上がらせる。俺たちは、その中を進んだ。目的地は、ある廃工場。またの名は、「闇破壊部隊基地」。ここは、四人集の拠点だ。

 赤褐色の廃工場の扉を開けると、機械の音と油の匂いが迎えた。そして、そこには四つの影があった。銀に光る銃を握る黒龍、槍をかざす銀蝦、鞭を振るう青鰐、ボウガンを構える赤百足。彼らは、ジュンの弟を一斉に囲んでいた。

「彼女の弟に手を出すな。」

 俺の言葉に、四人集は静かに立ち上がった。そして、彼らは戦いを挑んできた。だが、俺は一人ではない。俺の手には「コルトガバメント」がある。そして、俺の背後には、昭和の正義がある。

 戦いは激しく、工場は爆音と火花で満たされた。だが、最後に立っていたのは俺たちだった。ジュンの弟を救い出し、俺たちは再び霧の中へと消えていった。この街の闇を暴き、正義を守るために。


 破壊者四人集は、昭和のハードボイルドに新たな色を加える存在。彼らは、その時代の空気感を色濃く反映した文化の一部として、今も語り継がれている。
 この物語が、その時代の雰囲気を少しでも感じていただけたら幸いである。

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