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日本の高校生の職業意識「安定」重視、「挑戦心・起業マインド」4か国最低値

日本経済新聞の記事より

変わる高校生の職業意識 「安定」重視、挑戦心薄く - 日本経済新聞 (nikkei.com)

国立青少年教育振興機構が日米中韓4カ国の高校生の進路と職業意識に関する国際比較調査の結果をまとめた。日本は仕事に安定性を求める傾向が強まっており、転職や起業を重視する最近の経済界の潮流とのズレが目立つ。就業体験の乏しさも浮き彫りになった。

調査は2022年9月〜23年1月に実施。日本約4800人、中国約3800人、米韓は各1800人余りの高校生から有効回答を得た。同様の調査は過去にも実施され、経年変化も分かる。

日本の生徒の特徴をひと言でいうと「安定志向・生活重視」だ。「暮らしていける収入があればのんびりと暮らしていきたい」と思う割合(「とてもそう思う」「まあそう思う」の合計)は84.5%で、10年前の調査に比べ7.3ポイント上昇した。

米中韓は60〜70%台。日本は「仕事よりも、自分の趣味や自由な時間を大切にしたい」と考える割合も84.7%で最も高く、10年前比で27.2ポイントも高まった。一方で「望む仕事につけなくても、がまんして働くべきだ」と考える割合は30.1%で米国(61.1%)、中国(78.0%)、韓国(55.7%)を下回る。

労働の捉え方の差も大きい。仕事や働くことのイメージを聞いたところ日本は「生活のため」を挙げる生徒が圧倒的に多く、「やりがいがある」「社会人としての義務」が続いた。「やりがい」がトップ、「楽しい」が次点だった米国の高校生とは対照的だ。

「労働観が消極的なものにシフトしている」。同機構青少年教育研究センターの青山鉄兵副センター長はこう指摘する。この変化は悪い面ばかりではない。仕事と生活のバランス重視は社会全体の価値観の変化に沿うものだし、同様の傾向は米中韓でもみられる。

気がかりなのは挑戦心の薄さ、起業マインドの弱さだ。「自分の会社や店をつくりたい」に「とてもそう思う」と答えた生徒は8.5%、およそ12人に1人しかいない。米中韓は23〜27%、4人に1人である。

転職や起業を活発にすることが成長のカギの一つとなる今、この差は大きいのではないか。転職や挑戦への意欲を問う質問でも日本は肯定的な答えをした割合が低い。

こうした点は終身雇用的要素が残る労働市場や国民性とも絡み、変えるのは容易ではない。小中高校のキャリア教育や進路指導の課題と捉える必要性がある。

では、どんな手立てを講じるべきか。調査に携わった京免徹雄・筑波大助教は「変革型のキャリア教育」を小学校から積み上げることが大切だと指摘する。「社会は変えられる」「失敗しても再起できる」といった意識を養う教育活動だ。

ヒントの一つはボランティア活動にある。今回の調査で日本は経験のある生徒の割合が16.8%と最も低かった(米中韓は34〜49%)。

米国では、児童生徒のボランティア活動は社会に参加し問題解決に取り組む学習の機会として発展した。対して日本では奉仕活動として推進されてきた。京免氏は「やらされ感」のあるボランティアを「先駆性・創造性を伴うものに変え、生徒の自発性・主体性を高めるべきだ」と提言する。

テクノロジーの変化をチャンスと捉える意識や高い社会的地位への欲求も日本の生徒は弱い。その根底にあるのは自己肯定感の低さだろう。

今回の調査では職場見学や就業体験(インターンシップ)を経験した割合が日本は1割前後で2〜4割の米中韓に比べかなり少ないことも分かった。学校が社会とつながり、生徒が実際の職業に触れる機会を増やしていく必要がある。特に自校の先輩たちの姿に触れることは生徒が「自分でもできる」という意識を持つうえで効果が大きい。

実践している例はある。東京都立東久留米総合高校(東久留米市)は同窓会の協力を得て、卒業生の社会人と1年生が対話する「職業人講話」を毎年行っている。今年は7月に開催予定で参加する卒業生27人の職業は会社員、経営者、公務員、自営業など様々だ。

生徒はグループに分かれ、希望する卒業生2人に35分間ずつインタビューして内容をまとめる。進路担当の藤野明彦教諭は「対話を通じ、どんなことに知的好奇心を覚えるかなど自分の特性を知ることが大事。そのきっかけを提供することで将来の仕事とのミスマッチをなくしたい」と話す。

労働市場の変化は激しく、AI(人工知能)の発達などで消える職種もあろう。生き方も多様化し、ロールモデルの形成は難しくなっている。

だからこそ、多くの大人と出会うことが重要になっている。京免氏は「生徒が色々な人物から得たヒントを組み合わせ、理想とするモデルをつくっていくことが大切だ」と指摘する。

そうしたキャリア教育の実現には学校と社会の連携が欠かせない。一般に教員は外部と連携した経験が乏しい人も多く、学校を社会に開くことに消極的な空気も残る。まずは学校自身が最初の一歩を踏み出し、社会に協力を求めてほしい。

(編集委員 中丸亮夫)

「博士めざす」割合は最低

将来、どの程度の教育を受けたいか。この質問に「大学院博士(課程)まで」と答えた日本の高校生は1.6%。米国は14.6%、中国は18.9%で韓国も6.0%だった。日本は社会の中で活躍する博士号取得者の少なさが影響していることは間違いないだろう。
「性別によって仕事の役割に違いが出るのは、やむをえない」と思う生徒の割合は女子(42.4%)より男子(54.1%)で多かった。ジェンダーギャップ(性別に伴う格差)の解消には男子への働きかけが重要だ。


まとめ

この記事では、日本の高校生の職業意識について取り上げました。

結論として、日本の生徒は安定志向で生活重視の傾向がありますが、労働観が消極的になっていることが課題として浮き彫りになりました。

一方で、仕事と生活のバランスを重視する姿勢は社会全体の価値観の変化に対応しているものであり、他の国でも同様の傾向が見られます。

しかし、気がかりなのは挑戦心や起業マインドが薄いことです。自分の会社や店をつくりたいと思う生徒は少なく、その差は他の国に比べて大きいです。転職や起業が成長のカギとなる現代において、この差は大きな問題です。

日本の学生は転職や挑戦に対する意欲が低く、この点で改善の余地があります。将来のキャリアの可能性を広げるためにも、積極的な姿勢を持つことが重要です。


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