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沖縄のそこらへんの木でも紹介しておけ! 10種(1位~3位)オキナワキョウチクトウ、フクギ、アダン

はじめに

南国の美しい花々は、観光の目玉の一つです。
一方、花の目立たない樹木となると・・・。

しかし、気になりませんか?
本土の街路樹とは種類が違うようです。
細かいことはわからなくても、独特の樹形が目を引きます。

沖縄版「この木、何の木、気になる木」
上位10種をまとめました。

1位 Cerbera manghas オキナワキョウチクトウ(キョウチクトウ科)

2位 Garcinia subelliptica フクギ(フクギ科)
3位 Pandanus odoratissimus アダン(タコノキ科)
4位 Ficus microcarpa ガジュマル(クワ科)
5位 Terminalia catappa モモタマナ(シクンシ科)
6位 Bischofia javanica アカギ(コミカンソウ科)
7位 Heliotropium arboreum モンパノキ(ムラサキ科)
8位 Scaevola taccada(S.frutescens) クサトベラ(クサトベラ科)
9位 Araucaria heterophylla コバノナンヨウスギ(ナンヨウスギ科)
10位 Archontophoenix alexandrae ユスラヤシ(ヤシ科)
ランク外の樹種

1位 Cerbera manghas オキナワキョウチクトウ(キョウチクトウ科)

沖縄に自生する植物は、和名のあたまに
  ・オキナワ(沖縄)~
  ・リュウキュウ(琉球)~
  ・シマ(島)~
という語が付いていることが多いです。
一つだけ覚えて帰るなら、オキナワキョウチクトウがよいでしょう。

オキナワキョウチクトウは県道114号線に街路樹として植えられています。
美ら海水族館に向かうバスの窓から見ることができます。

車を降りて観察する際はご注意を。本種は有毒植物です。
毒の成分は、その属名から「ケルベリン」と呼ばれます。
 
別名で「ミフクラギ」だそうです。
乳液に触れた手で目をこすると目が腫れるので「目膨ら木」。
おお、恐怖。

県道114号線には、有毒注意の説明版も立っていました。
幼児が触れることを警戒してか、海洋博公園内の植栽はありませんでした。
 
僕が訪れた2月はあまり咲いていませんでしたが、
夏になればたくさん咲いて、香りも漂うそうです。
香りを楽しむだけなら、触らないので安心です。
 
果実はたくさん落ちていました。
種小名のmanghasは、マンゴーに似た、という意味です。
赤くてツヤがある果皮は美しく、一見、おいしそうですが、
有毒と思うと、毒々しく見えてくるような?

かつて本種の実を取り寄せたことがあるのですが、発芽しませんでした。
毒性を考えると、発芽率は低いほうがよいかもしれません。

基本的に樹液に触れなければ大丈夫です。
植物を傷つけないようにして観察しましょう。

県道114号線のオキナワキョウチクトウ並木。
遠方の高架は水族館と駐車場を結ぶ歩道橋。中央の赤はタコライスのノボリ。
オキナワキョウチクトウの実成り  撮影地:県道114号線
オキナワキョウチクトウの落果
オキナワキョウチクトウの果実 (クリックで拡大)

2位 Garcinia subelliptica フクギ(フクギ科)

水族館から少し北に行ったところに、備瀬のフクギ並木があります。
フクギは陽ざしを和らげ、風を穏やかにする、生活のための樹です。

僕は真昼の海岸で観察を続けていて、半ば熱中症になり、
日が傾くまでフクギ並木で過ごして復活しました。
遮光の効果はばっちりでした。

並木といっても、通常、思い浮かべる大通りの並木とは様子が違います。

格子状に通路ができるようにフクギを密植します。
木の密度は、しばしば隣の木が接触するほどです。

隙間のある場所に順次、苗木を植え足していくので、
樹齢が揃わない状態で並んでいます。

植え付けた苗は成長し、堅固な縦のフェンスを形作ります。
住居は親鳥にかくまわれるヒナのごとく樹に守られます。
木々に挟まれた細い道を歩くと、全身でフクギを感じられます。
 
海洋博公園にもフクギの列植があります。
こちらは、ほぼ片側植栽で、文化的背景はありませんが、
フクギが作る木陰のよさはわかります。

属名は、ガルシニアです。
ダイエットサプリで知られるGarcinia gummi-guttaと同属です。
種小名は、sub+楕円形の意です。
成木の葉は小判の形をしています。幼木の葉は成木と異なり細いです。

本州に自生のフクギ科はありません。
一般の人が見る機会は、マンゴスチンを取り寄せたときぐらいでしょう。
現地でフクギに花や実がついていたらフクギ科を観察するチャンスです。

備瀬のフクギ並木
フェンスのように並んでいます
隣と接触した木
ウィリアム・ブグローの『アモルとプシュケ』を想起しました。
上へ上へ。日向と日陰では、葉がつく角度が異なります。
左:成木の葉は小判型  右:樹下の自然実生(葉の元部に丸みがない、細い)
空いている場所に植え足します
海洋博公園に植栽されたフクギ

3位 Pandanus odoratissimus アダン(タコノキ科)

パイナップルみたいな実が成っている木があったらアダンです。
海岸でふつうに見られます。

種小名odoratissimusは、よく香る、という意味です。
花や熟した実にトロピカルな甘い香りがあるそうです。
嗅いでみたいですね。

残念なことに、僕は香りを嗅ぐ機会に恵まれませんでした。
樹上にはたくさん成っていたのですが、落果がなかったという(涙)

機会があれば、是非、嗅いでください。
「odorata」の種小名を持つ種は珍しくないのですが、
「odoratissima」と命名された種は、ごくわずかです。
インターネットでいくらでも画像が手に入る時代になっても、
香りは現物でないとわかりません。

近縁種にPandanus boninensis(タコノキ)があります。
タコノキは、エメラルドビーチとその近傍で観察できます。

タコノキはアダンほど樹形が暴れないので、街路樹に使えます。
この足があれば、どんな台風がきても耐えられそうです。
タコノキの実にも甘い香りがあるそうです。

東京において、アダンは板橋区立熱帯環境植物館、
タコノキは夢の島熱帯植物館で見ることができます。
嗅げる状態になったときは、是非、広報をお願いします>担当者殿

海岸に生えるアダン
岩の外周部をクサトベラが、中央部をアダンが覆っています
外周のトゲは伸長方向ですが、葉脈のトゲは向きが不定です
公園管理者が遊歩道をふさいだ木々を伐採し、開けた箇所。
中央の芽吹きは推定アコウ、左下はシマグワ、そして背後はアダンの根。
近縁種タコノキ  撮影地:エメラルドビーチ
タコノキの根本(植えつけたときの支柱が残っています) 周囲の草はチガヤです。
美ら海水族館ゲート前。上部の写真がなく判別不能。支柱で立たせたアダンに見える。
自生株はしばしば横に伸び、幹の上部からも気根を出して木を安定させている。
Googleストリートビューで水族館ゲート前の木を確認しました。
手前の2本はタコノキ(二つ上の画像)、中央後方はアダン(一つ上の画像)です。
          左:アダンの実  右:タコノキの実 (クリックで拡大)


4位以下は、次号以降の予定です。

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