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魔法日記をつける

そういうわけで、君は魔法使いの弟子入りをしたいということだけれど、まず君は魔法という言葉をどんな風に捉えているんだろう。

目に見えない力で何かを叶えることだったり、奇跡を起こすようなことだろうか。この世界のことに正解はないから、どんなものだっていいんだ。

もし僕から一つヒントを出すなら、魔法とは「思うように心を変容させる技術」というように定義される。その心とは、自分のものでも、他人のものでもいい。

例えば、自分のことを好きになれば人に好かれるとか、お金持ちにはお金持ちのマインドがある、というようなことが言われる。いわゆる引き寄せの法則というもので、これは本当にその通りなんだけど、その心というものが自由にならないから皆困っている。自信を持てなんて言われても、その自分を信じることが難しい。

だから、それを変容させる魔法というパズルのピースが必要になる。

そして、魔法とは心を変える技術なのだと考えるとすると、この世界には魔法がまだたくさん実在していることがわかる。例えば、芸術は人の心を動かすから魔法だし、食べ物で気分は簡単に変わるように、料理も魔法だ。

でも、どんなに刺激的なコンテンツや美味しい料理でも、心には全く響かない、というものもある。その方がずっと多いかもしれない。ありとあらゆる紛い物に囲まれた生活をしていて、人生で一度も魔法に触れたことがないという人だっているだろう。

でも、これを読んでいる君なら、今までの人生の中からわかることがきっとあると思う。それは、まるで向こう側の世界からやって来たんじゃないかと思わせるような体験で、もしかしてあれがそうだったんじゃないかって。

そして、今僕が述べたような魔法の定義も、真理に対するたった一つの断面に過ぎないんだ。

どういうことかというと、例えばここに一つのオレンジがあったとする。オレンジという果物は三次元の物体だ。そして、それを切った断面は二次元になる。もし、三次元を直接見ることができない二次元世界の住人が、オレンジという三次元の存在を知りたいとしたらどうすればいいだろう?彼らは様々な方向から切られた二次元の断面をたくさん集めていくことで、オレンジという物体の理解に近づいていくことができる。

だから、もし魔法というものが、世界の秘密が、僕たちの住んでいるこの三次元宇宙よりも高い次元からやって来ているのだとしたら、それを知るためにはどうすればいいのか。そう、たくさんの断片を集めるんだ。

だから、これから色んなピースを提示しながらガイドしていくけれども、魔法を修めるとは、君自身が世界を体験して、その断片を集める作業なのだということを理解して欲しい。全てのピースが揃ったとき、君という存在に特有の、芸術であり、魔法が完成する。

では、最初のピースだ。なるべく毎日、魔法日記をつけること。やり方はこうだ。一冊のノートを用意して、頭に浮かんだ言葉をただそのまま書く。何も書くことがないと思ったら「何も書くことがない」と書く。どんなことでもいいから、一ページをただ文字で埋めるということだけをゴールにする。

この行為は、脳の排水を目的としたものだ。言い換えると、書く瞑想だとも言える。だから、書かれたものが何なのかが問題なんじゃない。このノートに書いてはいけないことは何もない。誰にも見せるものではないし、自分でも見返す必要すらない。

ただ書くという行為によって、自分の人生を阻害しているエネルギーが排出され、それを抱えたままでいるよりもずっと有利な条件で、目の前の現実を迎えられるようになる。つまり、書くことによって人生が変わる。

そして、必ず手書きで行うように。パソコンやスマートフォンでは効果がほとんどない。もしかしたら、このことの意味は今はわからないかもしれないけど、書くことに効果があるのは、ノートに手で書くという身体の動作が、既にもう魔術の所作をしているからなんだ。魔法日記を書くのは「向こう側へ行く」ためだ。このことを、潜在意識が立ち上がるとか、特殊なトランス状態に入る、と表現する人もいる。

魔法とは、心理的な技術であり、体術であり、知性である。とても総合的な科目なのだけれど、その土台となる力を鍛えるのが、この魔法日記をつけるということだと思っておいて欲しい。

それでは魔法日記を楽しんで続けながら、次の手紙を待っていてね。

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