コミュニケーションに難がある人と居場所のことなど

 先日、フォロワーさんのスペースを聴いていて、コミュ力が低くトラブルメーカーになりがち、あるいはそこまで行かなくても他人に避けられてしまう人を如何せん、という話が出てきたのだが、これはかなり以前から随所で持ち上がっている話であり、僕も長年、いや長年ではないか、まあ折にふれ考え続けてきたことではあった。
 その方はなんでも、リアルで居場所的な空間を運営していたのだが、やはり困った人が居着いてしまい、それだけならいいのだが徐々に他の人の足が遠のいて、いつの間にかその人とマンツーマンみたいな状況になってしまったという。
 あげくにその問題人物が主催者に「最近ここ閑古鳥ですねw」みたいなことを云ったのでブチギレて「そりゃお前のせいだろうが!」という一幕があったとか。

 まさに「悪貨は良貨を駆逐する」。あるいは「悪縁は良縁の妨げ」ともいう。
 でも実際あるんですよね。そういうケースは他でも目にしていて、往々にして主催者が「他で無理だった人でもわたしのところでは極力受け入れたい」みたいな慈愛精神の持ち主だったりするので、だいたい問題児ばかり流れ着くことになり、問題児同士でトラブル頻発、そのなかでも最大の問題児が最後まで残るという蠱毒(ネットミーム)みたいな状況になり、やがて主催者の心は折れ、その場じたいがクローズしてしまうのです。そういうことが全国津々浦々で繰り返されている。

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 以前、誰かが呟いた「どんな互助会的な集まりでも最低限の足切りラインはあり、それに満たない人は極端に冷淡にされる」といった感じのツイートがバズってコミュ障界に激震が走ったことがあった(そういえば最近読んだトイアンナさんの本でも、「引きこもりの互助会でも若くて無職歴数年みたいな人はすぐ溶け込めるけど、何十年も引きこもりだったおじさんはそういう場でも浮く」みたいなことが書いてあった。怖い)。
 そうなんです。上のような状況を避けるためには、主催者としてはどうしてもトラブルメーカー、あるいは毎回座を白けさせてしまう人物は切らざるを得なくなるわけです。
 け・れ・ど、じゃあ覚悟を決めて足切りすればいいのかというと、それはそれで様々な困難が待ち構えている。というのも、ぱっと思いつくだけでも

 ・出禁にすると逆恨みされる問題

 ・それとなく冷淡にしてもそういう人に限って全く察してもらえない問題

 ・やむなく冷淡度を上げていくとスペ主にきつい印象がつく問題

 ・不特定多数に注意喚起すると居てほしい人に限って刺さる問題

 ・かといって許容してるとこれまた居てほしい人の足が遠のく問題

 ……などのさまざまな問題があり、ひじょうに神経を遣う舵取りを要求されるわけです。この三番目などは「誰でもウェルカムじゃないけど誰でもウェルカムな雰囲気は出したい」ジレンマとしてセンター試験頻出問題になってるやつです。又、四番目は「自分のことかなと思う人は大丈夫の法則」として知られているやつですね。
 そんなこんなでオンラインでもオフラインでも、コミュ障或いはトラブルメーカー(これ、ほんとはきっちり分けて述べたほうがいいんだろうけど、まあ重なる場合も少なくないですわな)によってどれだけの場が潰れてきたことやら、想像もつかないのであった。

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 コミュ障は、もちろん悪ではない。それもひとつの「弱者性」であり、場の維持のために参加を制限することはあっても、必要以上に責めたり攻撃的になってはいけない、というような反省もちらほら聴く。そりゃ人の心があればみんな思うところだろう。
 僕も実際のところどうしたらいいのか、あまりわかっていない(ところで、そんなこと書いてるお前こそコミュ障という可能性はないのか、と問われるとそれは「わからない」と答えるしかない。実際誰かにとっては僕もコミュ障なのだろうし、過去にあちゃー、そういう印象を与えてしまったなというケースは何度もある。結局それは他人が判断することで、僕自身としては〝コミュ障について語れる〟と仮定して書かなければ、しゃーないのである)。
 やはりここまで書いていて、最大の問題としては「居てほしい人の足が遠のく」ということに尽きる。問題人物を放置しても遠のくし、あまりに厳しく排除するとそれはそれで険しい空気を醸してしまい足が遠のく。ジレンマってやつですね。

 まあ僕自身がやっているのはXのスペースくらいの他愛ないもので、ガチもんの何らかの会を運営しているわけではないので好きにすりゃいいんですが、しかしガチもんの会にしてもスペースくらいの「なんちゃってコミュニティ」にしても、だいたい共通して以上のようなことが言えるとは思うので、今回はとくに僕の独自見解というわけではなく、だいたい誰でも同じような景色を見てきてるんじゃないかなと思って素描してみました。

 そういう、ビリヤード台みたいな相互作用があって一概に狙った通りに事が運ばない感じが、人間関係のある種の奥深さとして楽しめるようになったらいいんですけど、疲れるし、まあ休み休み気長に場数を踏んでいくことでしょうか。まあなんかそんな感じです。

 さてだいたい書きたいことは書いたので、それではまた(・ω・)ノ

 


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