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土木学会選奨土木遺産

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土木学会選奨土木遺産の認定制度は、土木遺産の顕彰を通じて、歴史的土木構造物の保存に資することを目的として平成12年度に創設されました。 このマガジンでは「土木遺産」に触れた記事(… もっと読む
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令和5年度土木学会選奨土木遺産

土木学会事務局です。 土木学会では2000(平成12)年度から、顕彰を通じて歴史的土木構造物の保存に資することを目的として、選奨土木遺産を認定しています。 本日、2023年9月25日に令和5年度選奨土木遺産21件を公表し、23年間の累計で認定した土木遺産は517件となりました。 選奨土木遺産には、大規模なものから小規模なものまで、また誰もが知っているような有名なものから、日常生活の中に溶け込んでいて気がつきにくいものまで、さまざまなものがあります。そこにある土木施設にどの

筑波山の奇岩・巨石 ジオ探訪記

奇岩・巨石コースを歩く2024年5月12日 筑波山の奇岩・巨石が楽しめるコースを歩いてきました。 今回のルートは、常陸野Cジオトレッキングの九廻りにあたります。 つつじヶ丘駐車場に車を停めて、階段が続くおたつ石コースを登ります。弁慶茶屋跡までがおたつ石コースです。 弁慶茶屋跡から女体山頂までは白雲橋コースとなりますが、ここは奇岩・巨石が続く人気のコースで、山頂付近では混雑が発生します。 当日(GW連休明けの5月第2土曜日)も山頂付近で200mほど渋滞しました。 できれば平

17.雨水を防ぐ屋根付き橋ー愛媛の田丸橋ー

木造橋の耐久性対策について  過って、日本で多用された木造橋の大きな課題は、その耐久性の向上であった。現存する国内の木造橋の維持・管理に関して、土木学会木材工学特別委員会による調査結果(2011年11月)が報告されている。  報告書には、木造橋の耐久性能に関する1~7の項目が記されており、優れた耐久性を実現する筆頭に「屋根付き橋」があげられている。 屋根付き橋と上路橋の健全性は、他の構造形式と比較すると極めて高い 樹種の耐久性のみに依存した設計では劣化が顕著 同じ樹

◎山梨へのプチ旅◎:①中央本線に乗って勝沼へ旅する(前編:笹子峠の越え方)

今年のGWは、特に遠出もせず、近場で過ごしました。といいつつ、中日の平日に、山梨までプチ旅に出かけましたので、その模様をご紹介したいと思います。 ■中央本線で、勝沼ぶどう郷駅へ 今回は、我が家である八王子からだと、実はそんなに遠くない、山梨県へ。大月駅を越えてしばらく走ると、笹子トンネルを抜け、甲府盆地に入っていきます。盆地が開け始めた坂の上にあるのが、勝沼ぶどう郷駅です。 ■中央本線の線形を考察する さて、駅前の探索に入る前に、笹子トンネルを越えて乗車してきた、中央

春は進む~十日町の棚田などを巡る~

棚田日没までの時間は、十日町を楽しむ時間。 ある日は、星峠、儀明、蒲生、田野倉で棚田のある風景を楽しみました。 桜が咲き始めた頃。 陽が傾き、光の変化が強く感じられる時間帯です。 雪も消えてなくなり、遠くの山は黄砂に霞んでいました。 人 再び自然に入る写真を撮り、持ち帰ってみるたびにふふふと笑みがあふれ出る好きな作品です。 雪のあった頃には葉っぱがなかった蔦が、緑色に変わっていました。 背面に見える斜面も、いかにも妻有って感じです。 背の低い送電塔もいいアクセントにな

【よもやま話】File44 🚃撮り鉄の旅#余部鉄橋①

余部鉄橋JR西日本・山陰本線の  兵庫県浜坂駅と鎧駅の間にある鉄橋です。 「東洋一の鉄橋」といわれていました。 今は、コンクリートの橋にかわりましたが、「空の駅」として有名です。 列車転落事故 1986年(昭和61年)12月28日午後1時25分頃 国鉄山陰線余部鉄橋で、回送列車の客車7両が強風で 約40m下に落下。 直下の蟹工場や民家を直撃した。 従業員の女性5人と男性車掌が亡くなり、6人が負傷した。                        引用:Google

翔べ 薩摩土手04 薩摩土手の歴史的背景とその重要性 ④土木遺産認定

歴史的堤防 江戸時代初期に築かれた駿府御囲堤は、徳川家康が安倍川の氾濫から駿府市街を守るために設けた重要な防災構造物でした。 この堤防は、1606年頃に駿府城拡張の一環として造られ、その形状が飛ぶ雁を模していることから「雁行性堰堤」としても知られています。 地元では、薩摩藩主・島津忠恒が大量に運び込まれた石材・木材を用いて築堤されたと伝わっていますが、薩摩藩が関与したという確かな証拠は見つかっていません。 この堤防は、高さ約5.4メートル、全長約4キロメートルに及び、

2024三浦半島周遊ウルトラウォーキング(3)

2024三浦半島周遊ウルトラウォーキング(3) 指定コンビニで、炭酸水、おにぎり、菓子パンを購入。 座り込んで、靴下を脱いで、保護剤を塗りなおしながら、炭酸水を飲む。 昨年、リタイアした場所になる。疲労感はもちろんあるが、どうしようもないような状態ではない。ちょっと思い出すと、肉刺ができて、脱水症状のような感じで、吐気も止まらず、海岸側でしばらく横になったが、動悸も収まらず、危険を感じた。 まあ、緩やかに歩けば何とかなったのかもしれないと今では思うが、判断できないくらいの状態

2024三浦半島周遊ウルトラウォーキング(1)

2024三浦半島周遊ウルトラウォーキング(1) 高島水際線公園出発 左歩道を道なりに歩き、高島中央公園北交差点を直進して、建物を過ぎたら左折でキングモール橋を渡る。 公園を道なりに進み、海岸線を歩き、女神橋を渡る。橋の竣工年月を確認して、第1回大会ころに設置された新しいものと気づく。赤レンガパークまで海岸線道なりだが、途中で「横浜港ハンマーヘッドクレーン」と「横浜港新港埠頭関東大震災復興岸壁群」を撮影。クレーンは、死角で見えないと信じていたので、確認できて驚き。船ではなく岸壁

16.人は何からでも学べるー京都木津川の流れ橋ー

学びの本質は観察にある  知識を得ることは大切なことである。知識を得るために、人は何からでも学ぶことが出来る。先人から学ぶことは当たり前であるが、堺屋太一の「歴史から学ぶ」、畑村洋太郎の「失敗から学ぶ」、安岡正篤の「論語に学ぶ」など、学びは人からとは限らない。  佐道健の「木を学ぶ 木に学ぶ」を読んで木の素晴らしさを実感することができる。重田康成の「アンモナイト学 絶滅生物の知・形・美/国立科学博物館」など形態学に関するものは興味深く、また奥が深い。  良く考えると「

美濃市にある重要文化財 美濃橋

美濃市中心部の少し北側には赤色が特徴の吊り橋がかかっています。 その正体は国指定重要文化財である美濃橋です。 今回はそんな美濃橋が主軸の記事です。 前回投稿した小倉隧道からかなり近い場所にあるため、ぜひ前回の記事もご覧ください。 この記事はあくまでも直感を記事にしたものなのであまり深掘りしていません。もし詳細を知りたいなら「参考になるサイト」からそれぞれのページから飛んでみてください。 最後まで見てくれると嬉しいです。 周辺図はこちら 前回の記事はこちら↓ 本編左岸寄りの

【中央区、江東区】清洲橋

隅田川釣り歩き。今回は清洲橋です。 清州という言葉で想起されるものは清州城。 本能寺の変後に行われた織田信長の後継を決める清洲会議。 その名を冠する清洲橋もさぞかし歴史が深いんだろうなとおもっていましたが、関東大震災後に作られた橋です。 関東大震災復興工事において永代橋と清洲橋はセットでつくられたようです。 筋骨隆々の男性的なイメージである永代橋 優美な下垂曲線を描く女性的なイメージである清洲橋 この二つの橋は近代橋梁技術の粋をあつめた震災復興橋梁群の中心的存在であ

都心水辺散策12:隅田川の橋。橋は地域の玄関口。

はじめに 前回、隅田川散策の備忘録を書きましたが、隅田川には数多くの橋梁が鎮座しています。今回は、隅田川に掛かる橋梁をピックアップして写真集を作りました。隅田川の上流から下流に向かって、橋梁の写真を撮影しました。 お気に入りの橋梁写真 新神谷橋 →早速、写真を撮り忘れていました。 新田橋 新豊橋 隅田川のすぐ横に遊歩道が整備されており、また堤防(土手)の近くの建物が少なく空間が開けた場所です。この開放的な景観・空間ができるだけ維持されるようにか新豊橋は比較的フラ

残雪の残る棚田に吸い寄せられて~24年4月_新潟県・十日町市~

はじめに雪解けの新潟・十日町を巡りました。 少雪の冬とはいえ、3月にも降ったそうで、まだ通行できない道路も多くて、棚田への道には若干ですが苦労を伴いました。 浅河原調整池まずはわたしの定番、浅河原調整池を訪れます。 こちらは #土木学会選奨土木遺産 です。 昨年の秋には池に水を抜いて浚渫を行っていたのですが、今回訪れたところ越後三山をバックに、水面に移る土木構造物を見ることが出来ました。 宮中取水ダム宮中取水ダムでは、いつもとは少し違う角度からダムを見てみました。 も