投資と業務で活きるIT知識【資格紹介(+プチ考察)】

直近2年間の話にはなってしまうが、金融よりもITの勉強をしていた。
この年になってIT業界に転職しようとか(さすがに未経験なので転職は難しい)そのような魂胆ではない。
どちらかと言うと近年の株式市場で主役を占めるのは、日米両方において、半導体やAIを主軸とするテック企業なのだが、如何せんITの知識が無いと彼らがどのようなビジネスを行っていて、何をドライバーとして利益を稼ぎだしているかが分からないので自分自身がそれらの知見を身に着ける必要があると考えたからだ。
皆がGAFAMだのテスラだのNVIDIAだのと祭り上げていても、何がそんなにすごいのかも分からないのでこれではまずいと感じた次第である。
また業務の中でも最近では、DX化が叫ばれており、膨大なデータ量を扱う上では、エクセルとかAccessだけでは不効率であるので、少なくともPythonとRくらいは活用できるようにならないという危機感があった。

体系立った知識を獲得する必要があると考え、筆者はいつも通り資格取得を通じてそれらの知識を獲得しようと考えた。
以下に筆者が取り組んだ資格を紹介していく。

1.ITパスポート
こちらは一番最初に手を付けた資格である。基本情報技術者試験の下位互換との記載もあったので、まずはここから手を付けてみようと考え、早速試験勉強を開始した。
学習を始めた段階では、SaaSもRPAもDevOpsも何も知らなかったので、全然頭に入ってこなかったが、とりあえず試験自体は簡単だったので、合格できた。
きちんと勉強すれば、IT知識の入り口程度のものは獲得できるのでおススメの資格である。
またこれまでは、そこまでITに興味をもっていなかったのだが、IT意外と面白くね?割と頭の使い方としては金融に似てる?って感じたきっかけにもなった。

2.統計検定2級

お次に勉強したのは統計検定2級である。
今流行りの機械学習もデータサイエンスも全て土台にあるのは、統計学である。そのため、まずは統計学の復習をしないといけないと考え、統計検定2級の学習を行った。ただこちらの内容をいずれも学部時代の統計学で殆どカバーできていたので殆ど学習することなく合格した。
とは言え、こちらの知識が無いとどうあがいてもデータサイエンスを根本から理解することは出来ないので、入門としてはおススメの資格である。

3.G検定
こちらはAIや深層学習の知識に加え、機械学習を含むデータサイエンスの知識も問うてくる試験である。
内容自体が膨大でかつ試験自体も問題数が非常に多く時間内で解き切るのは不可能であったが、一通り学習することでAIの世界の触りくらいは学習出来た。それにしても、自然言語処理や画像認識、更には音声認識の世界はここまで進んでいるのかと感心した次第である。
このような内容を扱っていたのは、東大工学部の計数工学科だったと記憶しているので、やはり計数工学科に行きたかったと感じた次第である。。。。

4.Python 3 エンジニア認定データ分析試験
こちらはPythonを用いてデータ分析を行う際に必要な知識を問う資格試験である。
Pythonの基礎知識に加え、統計学、そこからPythonにインストールされている各モジュール(Pandas、Numpy、Matplotlib、scikit-learn)を学習する資格試験である。
業務上でPythonを活用する必要性が急速に出てきていたこともあり、業務上で実践的に活用すると同時に、こちらの資格でベースの知識を身に着けることで、一定レベルまではPythonは習熟出来たのではないか。


5.データサイエンティスト検定
こちらは、データサイエンティストに必要な基本的な資格試験である。基本的な統計学に加え、SQL等のデータハンドリングの知見、更にはデータ分析の現場で実践的に必要となる知識を問う資格試験である。
内容自体は、他の資格と被るところもあり、統計検定2級や基本情報技術者試験を先に学習しておけば、特に躓くところはないと思う。
ただ問題点は合格最低点が高いところで80%程度の得点率が要求され、筆者も一回目はギリギリ届かず不合格になってしまった。

6.基本情報技術者試験
こちらは、ITパスポートの上位互換の資格試験である。
IT業界に勤めていれば、当たり前の知識も多いはずだが、それ以外の業界に勤務していればそうでもない内容も多く出てくるのでなかなか手ごわい。
個人的には上記の中で一番勉強時間が多かった試験である。
ただ内容としては、半導体関連の記事を読んでいてもああこの単語見たことあるなあとか、業務でシステム部門の方と会話してくる際に出てくる専門用語(UATとかSLA等)やシステム開発のプロセスが分かるようになるので、網羅的な知識を獲得する上では非常におススメである。
またプログラミングを問う部分もあるので、プログラミングスキルの向上にも役立つであろう。

上記の資格試験の勉強を通じて、以下の分野の基礎的な知見が身に着いたことで、業務の幅が広がり、世の中で起きている内容が理解できるようになった。

・システム開発
・機械学習、AI
・統計学(復習)
・PythonやRを筆頭としたプログラミング
・データ分析、データ処理
・IT業界の初歩的な知見
・PC等の仕組み
・CPUやGPU等の専門用語

またこれらの学習を通じて以下のような感想を考えに至った。

・金融とITの類似性
金融とITは重複する部分はあるし、どちらかと言うとITのスキルや知見を金融の業務に活かすという側面が強いと思うが、学問として類似性が高いという事である。
どちらも高校で学習した内容で必要なのは数学くらいで、大学以降で開始しても問題なくキャッチアップできる点や、一定の論理的思考力が必要であるという点で似ている。頭の働かせ方も似ていると感じた。

・IT関連の職種は本当に募集が多い
これはOpenWorkなどを見ていると感じることであるが、IT系の職種は本当に募集が多い。新卒では入るのが難しいような大企業であっても、データサイエンティストやシステム開発だけは募集しているというケースが多い。経理や法務更には営業職の募集は殆ど出ていないのに、システムだけは大量に求人が掲載されている。
また他にもシステム監査やサイバーセキュリティ等本当に色んな職種があることが知れた。
これキャリアの序盤でシステム開発とかデータサイエンティストとかSier等やっていれば、その後の転職めっちゃ楽なんじゃないかと思う。ただ筆者は当該領域のキャリアには詳しくないので、詳細は専門家に任せたい。

また以前筆者は、ブログの中で大阪や福岡に転職しようとしたと記載したことがあったが、結局転職出来なかった。それがどうやらITコンサルとかシステム関連であれば、年収をあまり下げることなく、転職することが難しくなさそうだ。例えば「コンサル 福岡」で調べてみると出てくるのは、ITコンサルの求人情報ばかりである。
TSMCも東京エレクトロンも拠点は熊本で、そのお隣の福岡はIT産業が盛んなので、IT系職種に就いている方であれば生活コストの安さという観点からも九州に移住するのはありかもしれない。
恐らく筆者が新卒の段階で金融ではなく、IT系を選択していれば、大阪とか福岡で職を見つけることも出来たのではないかなと思う。
また別の観点にはなってしまうが、IT系の職種はそもそも在宅勤務がしやすく、コンプライアンスの厳しさから出社を強いられがちな金融業界と比較して肉体的な負担も大きくない。(職種によっては純粋な労働時間は長いかもしれないが)このような背景もあり、アメリカではトップタレントの獲得という観点で投資銀行は巨大テックに人材獲得競争で劣後している。

・(予備校の売り文句ではないが)複数職種の掛け合わせが有効
これはUSCPA(米国公認会計士)の予備校がよく宣伝文句で使用しているキラーワードであるが、あながち間違っていないと思う。
特に会計×ITとかは市場価値がかなり高いのではないかと思う。
勿論全て備えていれば最強だとは思うのだが。

・よく分からないものには投資できない
筆者は個別株投資は制限されて出来ず、今はS&P500とナスダックを中心としたインデックスファンドを購入しているが、これらの多くの部分を巨大テック企業が占めている。
勿論インデックスファンド投資では、基本的に何も考えずに一定金額を毎月積み立てていくのが一番有効なのであるが、そもそも自分が何に投資をしていて、なぜそれらの企業が伸びているかくらいは把握できた方が良い。
例えば、足元ではテック銘柄で主に構成されるナスダックのパフォーマンスがS&P500のそれに圧勝しているが、その背景は何かを考えることも今後の投資戦略に結び付く。
また日経平均の大きな割合いを占めるのは、東京エレクトロンやレーザーテック、ソニーなどの半導体関連銘柄であるので、日本株の分析にも役立つ。
最近ソフトバンクの株価は、決算以降絶好調であるが、これも英国のアーム者を買収していたことが要因の一つであるし、直近では半導体大手のルネサスエレクトロニクスがソフトウェアの米企業に対して巨額のM&Aを仕掛けていた。
その意味では、今回資格の勉強を通じてIT業界の初歩的な知見を獲得し、自分の投資対象の理解を深めることが出来ただけでも意義が大きかった。

流行り廃りがあるのは承知だが、ITや半導体業界は足元勝ち組である。