メディアの方へ:「物流2024年問題」の難しさ
多くのトラックドライバーが現場で行っている「待機」や「荷役」を解消することが社会的な課題になっています。JPR広報部では、より多くの方にこの問題を知っていただきたいと考え、メディアへの情報提供にも努めています。
BtoBの輸配送の深刻さ
ECや宅配の需要とセットで語られることの多かった「2024年問題」ですが、最近はBtoBの輸配送の深刻さも報じられることが多くなってきました。そもそも物量が多く、走行距離も長いBtoBの輸配送はドライバーの労働時間が長くなりがち。BtoBの輸送の直面する危機は、私たちの普段の生活に欠かせない製品の供給に影響を及ぼす実は身近な問題です。
そもそも「待機」「荷役」とは?
届け先に到着したドライバーが、前の車両の積み下ろしが完了するまで順番を待つのが「待機」。そして積み下ろしのための作業が「荷役」です。10t車1台の荷物を手作業で積み下ろしする場合、1.5時間から2時間以上かかるケースも珍しくありません。前の順番の車両が手作業を行っていると待機も長くなってしまいます。
中小企業が多い物流業界の構造もあいまって、こうした作業や待ち時間がサービス化していたことが問題の背景があります。
政策の動向:荷待ちや荷役についても対価の水準を提示
国の政策は、これらを規制する方向に向かっています。国土交通省に設置された「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」は、昨年12月に提言を示しました。公開された資料によれば、30 分ごとの待機時間料は、中型車は 1,760 円、大型車は 1,890 円への改定が提言されています。また、積込料・取卸料は手積みの場合30分あたり2,100円(中型車)。2時間を超えた場合割増率5割(同)です。今後のスケジュールは、24年1月以降、「標準的な運賃」については運輸審議会への諮問、「標準運送約款」についてはパブリックコメントを経て改正される予定とのことです。
「標準的な運賃」については、『実勢運賃と乖離している(実際の運賃相場よりも高い)』との指摘や、『国のタリフがなければもっと酷いことになったかもしれない』などの意見がみられるようですが、いずれにしても、待機や荷役にもコストが発生しているということをはっきりさせることには意味があるように思えます。
個々の企業の物流は高度に管理されているのに
では、待機や手荷役は荷主(発荷主・着荷主)の意識だけで解消するかというと、それほど簡単ではありません。現代ではほとんどの企業が自社の物流を高度に管理しています。それでも企業と企業のつなぎ目では、手作業での荷役や待機が起きているのです。高度にシステム化された個々の企業の物流と物流の結節点で、トラックドライバーが手作業で荷物の積み下ろしを行い、長時間の待機をしています。
標準化によって物流のつなぎ目をスムーズに
物流に馴染みのない方も、パソコンやスマホを介して文書やデータを様々な相手とやり取りをする機会があるのではないでしょうか?この便利さは、相手のつかっているデバイスやアプリケーションとの互換性や、インターネットという共通のしくみによって成り立っています。
今物流が直面している待機や荷役の問題は、企業と企業の間でこうした共通のしくみが足りないことが一因となっていると私たちは考えています。JPRはパレットと運用の標準化によって、物流のつなぎ目で起きる非効率を解消する仕事に取り組んでいます。
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