#川口晴美
「日本ノ詩」の到達点 川口晴美『Tiger is here』
今年の夏、日本の詩の流れを明治初から戦後まで辿ってみて気付いたのは、近代詩が浪漫主義的な抒情を引き受ける一方で、小説が自然主義的な社会性や思想性を受け持つと云う一種の分業制だった。詩は<私ごと>に専念し、<公のこと>は小説に任すと云う割切りが、プロレタリアート詩や戦争賛美詩、その反動としての戦後の荒地派の詩といった例外はあるものの、今日にいたるまで凡そ認められる。『新体詩抄』で「日本ノ詩ハ日本ノ詩
もっとみる今年の夏、日本の詩の流れを明治初から戦後まで辿ってみて気付いたのは、近代詩が浪漫主義的な抒情を引き受ける一方で、小説が自然主義的な社会性や思想性を受け持つと云う一種の分業制だった。詩は<私ごと>に専念し、<公のこと>は小説に任すと云う割切りが、プロレタリアート詩や戦争賛美詩、その反動としての戦後の荒地派の詩といった例外はあるものの、今日にいたるまで凡そ認められる。『新体詩抄』で「日本ノ詩ハ日本ノ詩
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