2019年4月の記事一覧
小池昌代の〈詩と小説〉: 『赤牛と質量』を読む その1
小池さんの最新詩集『赤牛と質量』の特徴は、自由自在な重層性だ。
冒頭に置かれた「とぎ汁」を見てみよう。
死ぬときも
こぎれいにしておかなくちゃいけない なんて言って
ハサミ、シャキシャキ
せっせと他人の
髪の毛を切ったり 顔を剃ったり
(中国では みみたぶにも剃刀をあてるの)
そして百二歳まで生きた
胡同(ふーとん)の床屋さん
出だしの部分だが、いわゆる口語自由詩の典型的なスタイルだ。カッコ
小池さんの最新詩集『赤牛と質量』の特徴は、自由自在な重層性だ。
冒頭に置かれた「とぎ汁」を見てみよう。
死ぬときも
こぎれいにしておかなくちゃいけない なんて言って
ハサミ、シャキシャキ
せっせと他人の
髪の毛を切ったり 顔を剃ったり
(中国では みみたぶにも剃刀をあてるの)
そして百二歳まで生きた
胡同(ふーとん)の床屋さん
出だしの部分だが、いわゆる口語自由詩の典型的なスタイルだ。カッコ