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詩集や詩作品の紹介、鑑賞。
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2017年8月の記事一覧

ポーランドから帰ってくると、海が。



金曜日の夜ワルシャワから帰ってくると、郵便受けに大小二つの封筒が。大きな封筒からは、高橋順子さんの詩集『海へ』が出てきた。ブルーのグラデーションがとても美しい装丁だ。

その前に贈っていただいた御本は『海へびのぬけがら』だった。こちらは子供でも読める平易な言葉で書かれた短編集。

高橋さんの最初の詩集は『海まで』。海のほとりで生まれ育ったひとだから、海への思いも人一倍深い。それだけに、3.11

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佐藤弓生の「近・現代詩おぼえがき」第9回:岡井隆詩集『限られた時のための四十四の機会詩 他』評

佐藤弓生の「近・現代詩おぼえがき」第9回:岡井隆詩集『限られた時のための四十四の機会詩 他』評

第一詩集『月の光』における「定域詩」に続き、第二詩集に当たる本書では、ソネット(原義とは厳密には異なるが、一篇十四行を条件とする)が主たるスタイルとして選ばれ、枠組みを設定したうえで枠組みにアレンジをほどこしてゆく手業を見せる。なお『岡井隆の現代詩入門』(思潮社)に、「立原道造の詩と初めて出会った時に、一四行詩の構造的な美しさ、読み終った時の完結のよろこびを知った」とある。

収載作「四十四の機会

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