見出し画像

老犬ホーム事業を始めた理由

会社概要

JPB株式会社 代表取締役の張本和貴です。
このJPB Readers Boardでは、社内の新しい取り組みやペット業界の問題点、社内戦略などを公開することでJPB社内だけではなく、これから獣医さん、看護師を目指す学生さんや今悩みがある方の成長のヒントになればと思い投稿しております。


老犬ホームを始めたわけ

現在犬の飼育頭数が減少傾向ということは、皆さんどこかで聞いたことがあるかもしれません。
2013年は871万頭いたワンちゃんも、2022年には705万頭と減少傾向をたどっております。

日本獣医師会(犬の飼育頭数推移)

今回の老犬ホーム事業は、元々13年老犬ホームを運営していたところで、運営継続が難しくなったとの事でした。
市場規模が縮小している業態に新規事業投資をするのは経営者として正しい判断なのか。非常に悩みました。私が舵を間違える事で50名を超える社員やその家族たちを迷わせてしまうかも知れないと。
その迷った日数なんと、、1日!!
元々その老犬ホームとはご縁があり10年ほど前から、提携動物病院先として老犬達の治療に当たっていました。
治療した子たちの総数なんと500頭越え!!
私が手術を執刀した子たちも沢山います。
迷いなく、老犬ホーム事業を行うと決断できた理由は3つあります。

①『老犬ホームが運営できなくなったら既にいた老犬達はどうなるのか』

老犬ホームに預けているワンちゃん達は、飼い主様の様々な理由から飼育困難な状況でも責任を持ち、お金を預けてお預かりしているワンちゃん達です。
私が入った2024年5月の時点でも70頭弱のわんちゃん達が自分のおうちのように健やかに暮らしていました。
運営継続をやめるということになれば、この子達は飼い主様の元へ返させる、別の施設を探して入所するという選択肢をとることになります。
施設を探すことのできないご高齢の飼い主さん、今まで慣れている環境からまた新しい環境に移動しなくてはいけない超高齢犬。運営を終了するという選択肢は誰も幸せにならないどころか、不幸さえも生まれるそんな感情を抱きました。


②潜在市場規模の可能性を考えた。

少し話は、経営の方に移ります。
既存の老犬ホームのターゲット(WHO:誰に向けて届けるのか)は、何かしらの理由で飼育困難になり、預けるという苦渋の選択をした方々に向けて広大な大地で健やかに暮らせる施設を提供する(WHAT:何を価値としているのか)というものでした。
そもそもマーケティング領域では、LTV(life total value)という考え方があり、新規顧客獲得のエネルギーよりも、沢山リピートしてもらって、売上を上げようね!という考え方になり、老犬ホームのようなそもそも終生飼育で預かっている場合、適応にならないと考えました。
追加のオプションを連絡しまくるという方法もありますが、飼い主様(消費者)が本当に必要と感じていないものを販売してもサスティナブル(持続可能かどうか)でないですし、そういう商売は嫌いです。
私が考えたのは、WHO(ターゲット)を変更するという事でした。
そもそも犬とかかわりを持ちたい人をターゲットにすることにより、現在の飼育頭数以上の市場規模を創造することができると考えたのです。
そしてWHAT(何を価値提供していくか)はまた次回に話しましょう。
現時点では、動物病院2店舗と救急夜間診療の経験が付加価値になる事は間違いありませんが、これだけでは自走できる組織体制にすることはできないと考えています。

③JPB株式会社が今後展開していきたい事業展開に取組めるから

JPB株式会社として、今後ペットにまつわる多くの課題を解決していきたいと考えています。
野犬の社会科トレーニング後譲渡、保護犬・猫問題、トレーニングの習慣化、さらには今後起こりうる自然災害に備えた防災等々。
このすべてが属人化されず、持続可能な仕組みとして回すことができないと、本当の意味での安心安全な『ペットとの共生』を語ることはできないと考えております。

最後に

これは経営とは全く関係のない所ですが、1日で決めた最大の理由として、そこで働いている方々が好きだったから。
これはとても大きい決定打となりました。お話をいただきすぐに現場見学を行ったところ、老犬ホームで働く人たちがとても熱意をもって、犬に向き合いどうすれば犬たちに健やかに、痛み無く生活してもらえるのか創意工夫をしながら取り組まれている姿勢を見た瞬間、可能性を無限に感じました。
様々な社会問題がある中で獣医師が広い視野を持ち、世の中を変える仕組みづくりを率先して行っていく必要があると思います。
今後も老犬ホームで行うイベントや新規事業についてお話しできればと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?