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山のふもとのマンモス校に大人も子どもも車で通い一体感ある学校、石川県立小松特別支援学校

 この記事の続きになります。

 4月23日午前中に富山県立となみ総合支援学校に伺い、そのあとまたレンタカーに乗って移動しました。途中で金沢駅近辺を通過して、さらに福井県の方向に向かいます。金沢まではたくさんのトラックとすれ違ったり同じ道を走ったりしていて、道路などの復旧に関わってくださっているのかもと思うと本当に頭が下がるばかりでした。となみ総合支援学校を出て1時間半弱、無事石川県立小松特別支援学校に到着しました。

 NHK Eテレでおなじみ、わたしも大好き(でタイミングを間違えると泣いてしまう)な「ぼよよん行進曲」のイラストを描いている、石川県のアニメ作家・名取祐一郎さんが、復旧作業が続く能登地方と、金沢市などの日常生活を取り戻している加賀地方との被害状況の差をわかりやすく伝えたイラストにある通り、石川県は本当に南北に長く、地形も交通もずいぶん違うと実感しました。

出典:アニメ作家 名取祐一郎さん(@natoriyuichiro

 4月に入っても、この赤の地域に行く大きな道(のと里山海道)がまだ一方通行にしか移動できず、夜になると警察車両や復旧工事の車両、そして現地で暮らしている一般住民のみなさんなどの車で海沿いの国道が毎日渋滞です。余計に疲労が重なります。そんな能登半島から小松市は100Km以上離れているわけで、東京からなら静岡・三島、大阪からなら滋賀・彦根、福岡からなら長崎や熊本は超えるくらいの距離とお伝えしたら、その遠さが感じられるでしょうか。遠いのに、同じ県の同じ特別支援学校同士、こうした非常事態に連携して動いてくださっていることにもありがたいと感じました。

 この図にある「小松空港」は日本海沿いにありますが、小松特別支援学校は山側にあります。小松駅から路線バスで35分というとそれほど遠くないように聞こえるかもしれませんが、時刻表を見ると1日数本しか運行がなく、「地域の公共交通機関を使って」というイメージとはちょっと違うなと感じました。200名以上の児童生徒と、学校の教職員のみなさん、スクールバスや自家用車で通ってらっしゃいました。

 学校のホームページの写真からもわかる通り、山がすぐ近くにあるため、学校の裏手は斜面になっており、まず一番の心配は児童生徒の安全であることを校長先生から伺いました。人数も多いため、玄関から一番遠い教室まではかなり距離があり、これまでは「そうはいっても石川県は地震は少ない」という認識も多少あったため、水害などに加えて地震についても具体的な方策を検討中とのことでした。

 わたくしのような部外者が伺って驚いたのは、市内からの距離と、一本道で途中崖が崩れたら通行止めになるだろうなと思える箇所が何カ所もあったことです。あっという間に陸の孤島となってしまうことが想像つくため、それに対する備えが、物資の面でも、気持ちの面でも、必要だろうと思いました。保護者が迎えに行こうにも、たどりつけない、そんなもどかしさが現実にならないよう、ぜひ少しずつ、考えていっていただきたいと感じました。

 七尾のPTA会長さんには、能登の黒い瓦についてのお話や、ご自身の被災されたあとの世代間での感じ方の違い、家族で移動する大切さと難しさ、春になって戻っていることと戻らないこと、などたくさんのことを教えていただきました。なにかお手伝いできたらと思っても、具体的に技もスキルもないわたしには、本当になにもないなと無力感を感じる一方、声をかけ続け、忘れないでいることの大切さも感じました。

 校内を少し見学させていただきました。七尾特別支援学校の校長先生が、七尾から避難して小松特別支援学校に通っている子にとても親しく笑顔で語りかけていらっしゃったのが印象的でした。本当なら、地元で通うことができたはずなのに、全く知らない土地で学校に通う苦しさを小さな胸に秘めているのかもしれない、ご家族もどんな思いで避難されているのか、本当に胸がつぶれる思いではありましたが、担任の先生方も管理職の先生方も、笑顔を絶やさず、ひとりひとりに向き合ってくださっていることに改めて感謝しました。

 玄関に戻ると、ちょうど下校時刻。スクールバスに乗る子供たち、たくさんの放課後等デイサービス事業所の送迎車にわかれて乗っていく子供たち。ほんとうにたくさんの方々が、この学校の児童生徒を見守り、支えてくださっているのだなととても心が温かくなりました。どの事業所の方も、「○○くん!」「おーいこっちだよー」などというやりとりがとても温かく、また工夫されていて、安心して次の場に移動できている様子を見学することができました。

 七尾までまた戻らなければならない七尾特別支援学校の校長先生とPTA会長さまをお見送りしました。どうぞ、心身ともに守られますようにと祈らずにはいられませんでした。

 全知P連では、児童生徒に被害者も出た東日本大震災、そして熊本地震の際にも、義援金を募集しています。今回も本当に多くの方から、北海道から沖縄まで、個人で送ってくださった方、PTAとして考えてくださったところ、生徒たちが義援金を集めてくださったところなど、さまざまな思いが集まりました。おひとりおひとりにご報告できないのは申し訳ないと思う一方、明日は我が身、ととらえて、ぜひひとりひとりが、防災食を食べてみる、ポリ袋調理をしてみる、ラジオを準備する、子どもの薬についてまとめたメモを作る、毎月2回行われている「災害用伝言ダイヤル(171)体験利用」をしてみる、などなど、できることから取り組んでいただけたら幸いです。

 以前note記事でも紹介しましたが、全知P連で公開している「これだけは準備しておきたい!」もぜひご活用ください。

 令和6年1月1日に発生いたしました令和6年能登半島地震により、被災された皆さま、そのご家族の方々には心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈り申しあげます。


PTA会員校のみなさまはこちらの特設ページから石川・富山・新潟の各校の方々からの動画をみることができます。

全国特別支援学校知的障害教育校PTA連合会 2023年度活動内容、および知的障害に関する情報の発信用noteです。