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恋い焦がれたkintoneの世界

はじめまして。
11月7日にジョイゾーに入社しました中嶋英行と申します。
ジョイゾー入社前は、埼玉県鶴ヶ島市役所に勤務する地方公務員でした。


1.市役所の職員として

高校卒業した18歳の春、埼玉県鶴ヶ島市役所に入庁したことにより、私の公務員人生がスタートします。
何故、大学進学ではなく就職をすること選択したかというと、当時の私は大学まで行って学びたいこともなく、自分の未来が全くイメージできていませんでした。
同級生のほぼ全てが進学希望という学校でしたので、進路面談や3者面談では担任の先生を困らせていたように記憶しています。

とは言え、何もしないわけにも行きません。
公務員であれば試験に合格さえすれば就職できるという安直な考えのもと、国家公務員試験や生まれ育った鶴ヶ島市の試験など数カ所の公務員試験を受験し、最終的には地元である鶴ヶ島市の職員になることを選びました。

入社二年目

無事に鶴ヶ島市役所に就職することができた私ですが、入庁早々、高校生が抜けきらない見た目ということもあり、市民の皆様からは「子どもを寄こすな!」「まだほっぺが赤いじゃないか!」とよく怒鳴られ、全く相手にしてもらえなかったのは今となっては良い思い出です。

最初の担当業務であった市税の徴収は、法律や実務、窓口対応など、どれもやりがいがあり、成人式を迎える頃には「市役所の仕事が楽しい」と感じるようになっていました。

このような形で私の公務員人生はスタートしましたが『市税徴収→スポーツ振興→母子家庭支援→水道局へ出向→市税徴収介護保険料徴収』と公務員人生の約半分は徴収業務を担当し、市役所の中でも「中嶋=徴収のエキスパート」というイメージを持たれるほどになっていました。

改めて公務員人生を振り返って思うのは、多くの時間、直接市民に関わることが多かったと思います。
窓口に来庁する市民の方の多くは、何かしらの問題(金銭関係や生活困窮など)を抱えた方が多く、そのような方々と向き合い、より良く生活していただけるよう支援・サポートすることにやりがいを感じていました。

2.公務員を退職した理由

定期的な人事異動により2021年4月、私は介護保険課に介護保険料徴収担当として異動してきました。
当時の介護保険課の課題は保険料の徴収…ではなく、毎年増え続ける高齢者からの介護申請でした。
高齢者は増加の一途、このままでは介護保険制度が崩壊する状況でした。
介護保険制度が崩壊すればどうなるのか。
当たり前ですが、住み慣れた街で高齢者とその家族が安心して生活することはできません。

そして、この状況を打開するためにkintoneを導入したのが、kintoneと出会ったきっかけです。

kintoneのその可能性に魅入られ、介護度の決定機関である介護認定審査会向けのシステムや介護事業者向けのシステムなど、高齢者にいつでも安心して介護保険を使っていただけるように、介護保険業務の関係者に使用してもらうシステムをkintoneで作成していました。

■鶴ヶ島市の介護認定業務のDX化への取組が「ジチタイワークス」に掲載されました

また、並行して行っていたのが、公務員のkintoneコミュニティ「ガブキン」への投稿です。

取り組み事例やkintone hiveなどの情報発信やkintoneのサポートなど、kintoneで悩んでいる自治体職員の役に立てればと思いひたすら投稿を続けていました。
それは、自治体職員により良くkintoneを使用してほしい、様々な自治体でkintoneを導入して現場主体の自治体DXを進めてほしいという思いがあったからにほかなりません。

自らkintoneで業務改善することも楽しく好きでしたが、時が経つにつれてガブキンで自治体職員のサポートすることにやりがいを感じるようになっていきました。

経験や実績、専門的な資格があったとしても、やりたい仕事ができない、続けていくことができない。
これはどの市役所でもよく聞く話です。
このまま市役所に勤務するということは、5年先の未来も10年先の未来も何となくイメージができてしまうということになります。
私は、市役所の仕事が好きでやりがいを感じていましたが、今まで以上にkintoneに関わっていくには市役所を退職するしかないのかと悩み、kintoneの導入に最も協力してくれた上司に相談したところ「kintoneが好きならその道に進んだ方がいい。今そう思ったならそれが良いタイミングだと思う。あと、市役所の事例だからkintone hiveの書類審査の通過は難しいと思うが、もし登壇できれば声を掛けてくれる企業も現れるかもしれない。」と後押ししていただき、退職を決意しました。

送り出してくれた仲間たち

3.kintone hive tokyo 2023

スナックジョイゾーで、初めてkintone hiveというサイボウズのイベントを聞いたとき、kintone hiveとはどんなイベントなんだろうと思い、過去の動画を視聴したところ、様々な登壇者がAppleの元CEOであるスティーブ・ジョブズのように華やかなステージでスピーチやプレゼンをしていることに驚きました。
その立ち振舞いは印象的で、登壇者たちの魅力的なスピーチとプレゼンは大いに私を感動させました。
そして、原田マハさんの作品「本日は、お日柄もよく」の主人公のように、私はスピーチとプレゼン、kintone hiveの舞台に魅せられてしまいました。
しかし、人前で話すのは苦手、自分をアピールするのはもっと苦手、そもそもkintoneで何も残せていないという状況の私には縁のない世界と、数日後にはkintone hiveの存在は私の記憶からすっと消え去っていました。

kintone hiveの存在も忘れた頃、kintoneによる介護認定審査会システムが完成し、安定稼働となったタイミングでサイボウズからメールが届きkintone hiveを再び目にします。

華やかすぎて私には縁のない世界と思っていましたが、登壇できれば鶴ヶ島市役所職員、ひいては全国の公務員の意識改革のキッカケになるのではないかと考え、エントリーしたいという気持ちが、日々大きくなっていきました。
また、好きな作品である「本日は、お日柄もよく」のような世界に私も飛び込んでみたいという気持ちも同時に湧いてきたように記憶しています。
とは言え、私が鶴ヶ島市役所の職員である以上、勝手にエントリーするわけにはいきません。
この件を恐る恐る政策部門に相談したところ「仕事で参加すべきでは!」「いや業務としての参加は難しいのでは。」と市役所内部では議論があったそうですが、最終的には「有給休暇にて参加をお願いします。」と連絡が届き、期限間近にエントリーが無事に完了しました。

そして、忘れもしない5月26日、kintone hive事務局より一通のメールが届きます。
その内容は「厳正なる審査の結果、登壇をお願いしたい。(一部抜粋)」とありました。
一瞬では理解できませんでしたが、これでZeppのステージに立てる!と職場でこっそりと喜びました。

kintone hive事務局との打ち合わせを経て、7月6日のkintone hive tokyoまではスライドの作成やリハーサルの毎日、日々、試行錯誤しながら作業を行うのがとても楽しかったです。

2023年7月6日、kintone hive tokyo。
長いようで短かった準備期間を終え、とうとう本番の日。
いつも通り朝6時に起床し、スティーブ・ジョブズも愛用していたNew Balanceのスニーカーを履いて家を出ました。
会場であるZeep DiverCity(Tokyo)に向かう埼京線の車内は混雑しているせいか蒸し暑く、体に纏わりつくような空気で、私の体は少し汗ばむような感覚でしたが、今思えばこの時から私は緊張していたのかもしれません。

kintone hiveの大舞台

Zeep Tokyo Diversityに到着した私は、サイボウズの社員さんに案内され、休む間もなくリハーサルに臨みますが、そこにはお坊さんがいたり、神様がいたりとインパクトが強い登壇者ばかりで、公務員の世界しか知らない私には場違いで、もう早く家に帰りたいと心が折れかけていました。
そんな精神状態ですので、案の定、リハーサルでは全くスピーチできず、ステージの眩しすぎる照明に心が焼かれ、意識もどこかに飛んでいっているような感覚でした。

ランチタイムも終わり、とうとうkintone hiveがスタートします。
ひとり、またひとりと登壇が終わり、私の番まであと少しとなったところでトイレに駆け込みます。
この時、私は極度の緊張で全身全てが気持ち悪く、トイレで昼食の全てを戻していました。
このままでは本当に家に帰ってしまいそうな私は「本日は、お日柄もよく」のフレーズを思い出し、流水で口を拭いながら「もういっそのこと開き直ってやろう!」とステージ前の自席に戻りました。

そして、大きなBGMと共に私の名が呼ばれます。

■【kintone hive 2023】埼玉県鶴ヶ島市役所

内容と当時の様子については、リンクを参照していただけたら幸いです。
登壇終了後、サイボウズの社員さんが「本番は別人のようでした!」と笑顔で話してくれて、私のkintone hiveは無事に終わったんだと実感し安心しました。
その後の登壇者の方には申し訳なかったのですが、ここで私は完全に力尽きました。

エントリーから登壇終了まで、楽しんだり心が折れたりと色々あった約1ヶ月半でしたが、エントリーしたことで様々なことを経験し、それを糧に成長できたように感じています。
今はエントリーして本当によかったと思います。

そして、kintone hiveというイベントを用意してくれたサイボウズの社員さんには感謝しかありません。

4.ジョイゾーを選択した理由

退職も決まり、kintone hiveの余韻が冷めた頃、履歴書を送りたい企業が2社ありました。
採用されるかどうかは別として、その2社の社員の方がいたから、今の私があると思っていたので、日々悩み、心も体も右往左往していました。
そんなある日、2社のうちの1社であるジョイゾーの小渡さんから「熱い想いを持った中嶋さんと一緒に働きたい!!(一部抜粋)」、ジョイゾーの笹川さんからは「弊社も選択肢にありますか?(一部抜粋)」と涙がこぼれ落ちそうなメッセージをいただき、最初にジョイゾーに履歴書を送ると決めました。
最近知ったことではありますが、小渡さんのメッセージを後押ししたジョイゾーメンバーの存在も知り、泣きそうになりました。

hiveにて

言わずもがな小渡さんや笹川さんからのメッセージは嬉しかったのですが、ジョイゾーの取り組みのひとつである自治体DXへの支援(J Campによる自治体職員のDX教育など)があります。
以前よりジチタイワークスを通じて知っていたのですが、これが全国に展開できればkintoneを中心とした自治体DXは加速すると思っていました。
これは、私が重点的に取り組みたいことと一致しており、今まで以上に外部から自治体職員の支援が行えると感じたのが、ジョイゾーを選択した1番の理由になります。

2番目の理由として、ジョイゾーの若い社員たちの熱量やポテンシャル、真摯で直向きな姿を外部から見ていて、いつか一緒に働いてみたいと思っていました。
先日のCybozu Daysでも、入社3年目の田中さんがkintone hack決勝に登壇している姿や入社2年目でジョイゾーブースを切り盛りしていた木野宮さん、その木野宮さんを陰ながらサポートする川岸さん、ジョイゾーの全ての若い社員たちを見ていて、私の判断は正しかったと感じました。

■MOOちゃんカスタマイズはかわいいだけじゃない(ジョイゾー 田中さん)

3番目の理由として、ジョイゾーではテレワークやワーケーションと社員の働き方に対する取り組みを積極的に進めていたので、将来的には京都に移住し生活をしたいという私の夢も実現できると感じたのも選択理由のひとつです。

5.不安と楽しみの間で

恋い焦がれたkintoneの世界に入って5日目。
今、この瞬間は、正直ちゃんとやっていけるのかと不安の方が大きいです。ですが、初日と比べたらその大きさも変化してきました。
今は不安と楽しみが共存していますが、自分を活かしてどんな仕事ができるのか、自分をどう成長させていけるのかと楽しみの部分が増えていくと自分を信じています。

高校3年生の私は未来がイメージできないからと公務員を選び、市役所で様々な経験を積んだ私は未来がイメージできるからと公務員を退職し、ジョイゾーに就職しました。
人生とは皮肉なものです。自分で自分を笑ってしまいます。

これから先、ジョイゾーメンバーと一緒にどんな経験できるのか楽しみです。
そして、まだ見ぬ景色をジョイゾーメンバーと一緒に見てみたいと思っています。


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