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ミュージカルが好き


きっかけ

ミュージカルってそもそも好きでなかった。初めて行った作品が、ジャニーズの『DREAM BOYS』だったから、いきなり語り始めたときに、どういうこと?ってプチパニックを起こしていたのが今でも思い出す(笑)。不思議だったんだよなー、まだ幕空いてすぐなのに、なんで中盤みたいな感じで始まるのかが謎だった。終始、どういうこと?ってなりながら見てたけど、あの時いいなって思ったところが、圧倒的なリアリティーや熱量だった。

あの場所にいる人が、まぎれもなく、その役になりきって、その日々、その出来事を感じていて、その一部始終を第三者として見ている。でも、それは分断されているのではなく、陸続きで、見えないヴェールはあるものの、一体感を感じていた。確かに、本人が役の中から見え隠れしてしまうけども、それすらも、リアルの一部として愛せてしまうような気がした。同じ生身の人間が、演技することはこんなにもテレビとは違うことを知った瞬間でもあった。そこから、ちょっとずつ、舞台を見に行くようになった。

次に見た作品は、『幸福王子』。これが奇跡的に、まあまあな数を連続してみることができたから、余計にお!となる瞬間が多かった。当たり前ではあるけども、その日によってコンディションは変わるし、歌声、声のトーンがやっぱり微妙に変わって、それを連日見たが故に、ものすごく感じて、こんな小さな変化がたくさんあって、それを発見できる喜びに溢れていた。終わってからも、ずっとその余韻に浸ってた。めっちゃ、ロッキーなところまた推せるところでして、最高だったな。また再演するなら見たい。きっと、あの時とは違う発見がある。そこから、ストレートな舞台、ミュージカルといろいろ見に行って、早4年。

どこが好きだろう?

圧倒的なリアリティーもあるんだけど、たぶん、舞台に出ている人が、誰よりも、作品の中の時代に生きようとしている、それは、違う時代を生きるからなのかもしれないが、そこのエネルギーの強さがものすごく感じる。誰よりも、あの場のいる人たちは、懸命に生き、感情を出している。喜怒哀楽、もっと細かい感情すら全部吐き出している。それが肌で感じるからこそ楽しいし、その小さな変化を見つけられた時、そこで見えてくる感情が自分の中でうわーってなる。

キャストさんごとのアプローチの違い。その役に対して、どんな風で行くのか、本人がいればその人、想像なら作った人、演出家、それを演じる俳優さん。たくさんの人は、その役について、考え、表現していく。それは正解がないし、一つの動作をとっても、どう感じるのか人によって違う。何なら、それを受け取る私たち一人ひとりも違う。正解がない、どんな考えであっても、それはすべて特別なことで大事なことになる。特にダブルキャストの時は、その感じがよくわかって、その違いを楽しむことが好きなのかもしれない。いろいろな考えを、ただ肯定して受け入れるということが当たり前にある気がする。もちろん、一番伝えたいことを伝えることが大事になるし、それがぶれないように、たくさんの稽古をして形にして、伝えていくと思うけど…。

感情を出すということって、難しいことじゃないはずなのに、生きていく上で、どこか我慢をして、押し殺して、ぐちゃぐちゃになったものをほどいてということがある。でも、ミュージカルも舞台も、ぐちゃぐちゃとなった感情を、あえて出す。その単純なことが羨ましいと思うのと同時、美しいとすら思える。やっている方は、死に物狂いなところはあるけども、感情を素直に吐き出すこと、それを表現することって大事なことだし、その人の琴線に触れるような特別なことなのかもしれないって思えた。

まだまだ好きなところってたくさんあるし、見つけられてないけども、非日常で、日常の延長線上にあるこの世界観がとてつもなく、いとおしいのだ。

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