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天神が爆発しきってしまう前に

新天町に行ってきた。

ああ、と思った。

確かに私は信号機のない横断歩道を、信号機がないと認識したうえで、何とはなしに渡ってしまっていたのだろう。

信号機がついていた柱だけはある

毎日天神に通っていたころは、この横断歩道が好きだったのに。

たった3本のストライプしかない横断歩道の信号を守る人は多くはなかった。

「私だけはあんたを無視したりしない」と、青信号で横断歩道を渡るという当たり前の事をしているだけなのに、少し悦に入って渡っていた横断歩道だ。

それなのに、なくなっているのに、信号がないからと「普通」に渡ったのだろう。
多分。
もしかしたら、「あ、なくなってる」と思いはしたかもしれないが、今の私にはその記憶もない。

新天町がなくなる前にと、写真を撮ることにではなく、自分の目で見ることに重点を置けばよかった。

ごめんなさい


今、天神は大きく変わっている最中だ。

あそこもここも再開発で忙しい。

いつかは新天町もその波に飲まれるだろうとは思っていた。

高校生の頃にここでバイトをした時、既に建物は古かった。
客が目にする店舗ではない部分、建物の奥に入れば、外観からは想像もしていなかった古いビルの姿がそこにあった。
今ではなおさら、老朽化の問題は深刻だとは思う。

でも、全く姿形が変わるとは思っていなかった。
今の新天町が、新しいビルに建て替わるという、単純にそれだけのことを想像していたのだ。
しかし発表された計画では、パルコも駅ビルも新天町も、まとめて再開発されるらしい。
パルコは昔、岩田屋だった建物だ。

天神が、まるで新しい形になっていく。

私が今まで生きてきた中で「天神」に「新天町」がなかった時代はない。

新天町の南通りと北通りが、天神から姿を消すなんて、なんだか気持ちがぼんやりしてしまう。

けれど、新しい建物が建ってしまえば、そのうちその風景に慣れてしまうのだろう。

【天神⼆丁⽬南ブロック駅前東⻄街区:建て替わる予定の建物】
パルコ本館・三井住友銀⾏ 築約86年(1936年竣⼯)
 ※三井住友銀⾏部分は1956年竣⼯
パルコ新館 築約46年(1976年竣⼯) ※地上部は2014年竣⼯
新天町ビル 築約54年(1968年竣⼯)
⻄鉄福岡駅ビル 築約61年(1961年竣⼯)
新天町商店街 築約56〜68年(1954年〜1966年竣⼯)

福岡市資料より

天神近辺でだったり、天神でだったりで働いていた期間は、合わせて10年以上になる。
働いていない時でも、気軽に遊びに来られる場所だった。
街が一新されれば、気後れして来られなくなるかも知れないと思ったりもする。

新天町の近くにある『照和』
このビルはいつまで居られるだろう

新天町で、ずっと気になっていたのに、行きださないままだったお店がある。
そこに今日、行ってきた。
新天町の中にある食堂だ。
そこには大芸術家の作品が飾ってある。
今日やっと見てきた。
そこでオムライスを食べてきた。
新天町がなくなる前に、行く事が出来て良かった。
この作品が、この場所がなくなった後、どうなるのかは知らない。
だからまた機会を見つけて行こうとも思っている。
天神が、なくなってしまう前に。

好きな芸術家の作品の前でオムライスを食べる
オムライスを頼むと、料理人の方の華麗なフライパンさばきも見ることができました

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