授業で ワークシート! やめませんか

 ワークシートいらないよね。という話。
 私は他人に押し付けはしない。よくわからないのは使用を薦める人。使用が前提の教科書会社。ICTとワークシートと板書計画があれば働き方改革になってると思う教員。
 再現性が高い授業は質の高い授業とイコールではない。再現性の高い学習成果と質の高い授業はイコールだけど。

 それでもなぜ皆さんがワークシートを使い続けるのかの意味がよくわからない。
 紙の無駄だよ。ワークシートづくりは授業準備ではないし。
 だからICTというわけでもない。マテリアルフットプリントから考えれば紙より電気作ることやタッチ式の液晶作る方が環境に悪いことぐらい考えなくても分かるし。
 そういうことではない。
 積極的な使用回避の話。なぜならワークシートを使うと授業の質は必然的に低下するから。


ワークシートのメリット

たくさんのメリットがあります。これは間違いない。
どこに何を書けば良いかわかる。全員にわかる。
使わないより使った方が活動量が増える。何もやらない子が減るから全体的な学習定着率が上がる。
どの子もできた気になる。やった気になる。教員もやった気になる。
後から集めて、すぐに返却しなくていい。ナンなら永久に返却しなくていい。
授業が順番通りに進みます。ワークシートを授業の設計図代わりに使えます。
時間調整がしやすい。ナンなら端折っても問題ない。設計段階で端折るところは決まっているから。
続きがしやすい。時間配分をしくじっても、続きは時間的に遠く離れていてもやることができる。目の前にやった形がそのまま現れるから思い出した気になれる。
関わって同じルールや枠組みの決まりで学習が進捗していく。
学習の展望とルーティンのおかげで子どものやる気が見える。
学習成果を明示的に示すことができるアイテムである。

みてくれ重視の教育実践

 これらのメリットを見ていただければいいことしかない。
 しかし単純に言ってメリットはデメリットを他方から見た側面でしかない。その裏側は良くないことで埋め尽くされているからメリットなのであって、多分エビングハウスの忘却曲線なんかを持ち出すまでもなく、ワークシートに対する反論の余地が大きくあるんだろうと思われます。
 もちろん低レベルな反復活動が活動量として重要であるという主張にいささかも変わりはありません。しかしワークシートには同じ低レベルでも良くない低レベルととも質へのコミットが意図的に隠されています。

 重箱の隅をつつく気はありません。至極単純、単純明快です。
 ワークシートの欠点は見栄えが良いこと、出来がよく見えることに全振りしているんですよね。それはもう使い方の話ではない。
 それと子どもの学ぶ力をワークシートが補完している点です。これらをメリットと見ているから使うんでしょうけど、これは私からすれば明確なデメリットです。これを初任者にメリットと感じさせるセンパイもどうかと思います。後輩に正しいことを正しいと言えない奴が教師やるなよ、厳しいこと言えばそういうことです。もちろん良かれと思って助言していることはよくわかるんですが・・・。

 見てくれの悪さに対してクレームを入れる人間をよく見ます。特に管理する側の人間に。無能ななりたて教頭は特にそうですね。際立って学校では目立てないから、それを指摘するぐらいにしか自分の存在意義がないことをよくご存知です。日本人は見栄えの悪さを気にしますからね。
 しかしクラスルームは機能上お互いの見栄えの悪さを修正していくことができます。その意図を指して教育的行為とするわけです。
 4月月中、私は授業に時間を費やすことができません。なぜなら授業内容より見えくれより、学習のやり方、学習への構え、学習のルールなどを覿面注意の形で押し込んでいくからです。これはかなり時間がかかります。しかし今時間がかかってもいくら労力がかかってもやっておく必要があります。見てくれより重要なことがあるからです。いずれ実を結んでくるという格好いい言い方になるかもしれませんが、実際はうまくいくかどうかは五分五分です。ジタバタしているのことに対してご批判もよくありますが気にもしません。意味もわからず批判する奴はその程度の人間だからです。評価される時点で私は非常に簡単に精度高く、その人間を評価することができるということでメリット満載です。それは自分を批判する人間を低評価して同意する人間を高評価するという単純なものではありません。実は逆のことが多くなってしまいます。さすがに意味の分かってないのにフェミニズム振り回したり、明らかに取り違えた不適切振りかざすオバはんは最低評価ですが・・・だから私は積極的に年上の人間を批判します。その方が自分を評価していただける機会が増えると思うからです。多分このご批判に耐えられないからワークシートを使うんだろうなあ。そう思います。内田樹さんが先生を全面的に信用しましょう、そうすれば最大限能力を発揮できますというのはそういうことなんだろうと思います。

ワークシートが担う子どもの学習能力

 多分学習における補助輪のような役割なのでしょう。しかし補助輪をつけ続けていることに、実は何の意味もありません。安全のためというなら自転車に乗らなければ良いだけの話です。補助輪は自転車の良さをスポイルしますし、つけている限りはつけていない走行の感覚を養うことはできません。

 学習において学び方を学ぶというのはそういうことに非常に近いと思います。ただ学校において学ばないというわけにはいかないので、補助輪のようになんとかすることになります。
 しかし先に述べたように見てくれの結果を取り繕う補助輪には意味がありません。そもそも自転車に乗れていないからです。
 ここでは学習活動を補完する方の補助輪になると思います。やってることは同じなんですが・・・学び方が身についていない子どもを授業に参加できるようにして活動量に誘うこと、最低限の学び方へ誘導するツールということになります。
 できれば全員が今日の授業で学ぶために使う技能を身につけておいてくれればこんな必要はありません。昔なら厳しい指導や罰を使ってそこのレベルに持っていくことをしていたのでしょうが、このご時世現実的ではありません。というかそのやり方を直接受けた側としてはそのことが学び方の取得につながった実感が全くないので、多分手抜きの手法なんでしょう。実はワークシートを使っても、鞭を使っても、飴を使っても現実的な学び方の獲得にはつながらないという道筋は変わらないのだと考えられます。ただどれも見た目は整うというか、教員の側のイメージに合うという効能はあるのかもしれません。ただ本質的な学び方の獲得につながらないということは学びから逃走する可能性を残していく禍根を受け継いでいくことであると言って良いと思います。
であるならば、ワークシートを使ってその場を凌いでしまうより、少し余分な時間をかけて学び方を獲得する指導をしていくことが少なくとも無駄にはならないということです。
教員が安易な形であるワークシートに頼らざるを得ないのは教育行政の縛りの責任であることは耳タコぐらい書いてますし、授業改善の意味や授業づくりの方法もわからずにテキトーなことを言っている大学教員やマニュアル本の責任であることも言わずもがなです。よければ過去の私のnoteを読んでください。
もし自分勝手に授業内容を法令の範囲内で調整できる技を身につけられれば、そしてアホな教員の良かれと思う助言や陰口を無視できれば、学び方を植え付ける学級指導はそんなに技術的に難しいことでも準備時間がかかることでもないんですが・・・
目の前の子どもを思い浮かべながらワークシートを工夫して作るくらいならその工夫に込めた想いと補完するスキルをそのまま必要な子どもにぶつけて、なんとか獲得させる方が教師、子どものどちらにとっても有意義だと思います。

教師にとってのオリジナリティの意味

 実は授業のオリジナリティはそこから生まれると思うし、それが大事だと思うわけです。これを持って授業のドラマ性と言ったりダイナミズムと言ったりAIやオンデマンドにできない仕事と言ったりするんだと思います。何度も言いますが目の前の子どもを思い浮かべて作られた授業以上に優れた型の授業などというものは存在しません。上手い下手はあれど。五感というか八感というか、そうした不可解ながら、説明が難しいモノだけど、確実に存在しているモノが触れ合い重なり合っている時間と場の特定において共有されるモノが授業です。
 教師になった以上、そこを大事にしてほしいし、子どもの一生の中でそこにコミットする可能性と責任を出来合いのワークシートに委ねることの勿体無さをぜひ実感していただきたいと思います。
 もちろん全て授業のワークシートを捨ててしまえなどということは今の教育現場で歯を食いしばっている下のモンを見ている側としては口が裂けても言えません。でも他者を評価を気にしなければ一部でも一箇所でも変えていける隙間はあるのではないかと思います。
こんな文章、結構な時間をかけて、一銭にもならんのに、毎日毎日書いているのは、少なくとも歯を食いしばって頑張っている優秀な若者に対する伝達と厭いと励ましを無償でする人間が一人もいなくなったしまえば、特に私のような人付き合いの苦手な人間にとっては、ただでさえかなり辛い職場になってしまっている教育現場がクソみたいな人間のメシのタネの評論のせいでメチャクチャになってしまうと思っているからです。

 ぜひ他人の目線を気にせず、自由は教育を作ってみましょうよ。という意味を込めてのワークシート批判でした。
 ワークシートさんごめんなさい。別にあなたが悪いわけではないのよ。

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