閑話休題 好きな食べ物はなんですか?

 はい、みなさんなんでもいいので、先生への質問を書いてみましょう。
 この問い方をする教員へのいちゃもんを聞いたことがあります。そんなマニュアル本があるから、教員の成り手がいなくなるんでしょ。書くことなくなったからといってどーでもいいことにまで噛みつくなよ、みっともない。

 基本年度当初、教員はいろいろやります。正解はありません。黄金の三週間はこういう正解をやって学習集団をつくりましょうみたいなクソみたいな本がありますが、詐欺です。
 きちんといろいろ試して観察して多面的に、そして他の誰にもない主観で子どもをつかむことが大事です。
 なんにでも勝てるじゃんけんの手がないように相手によっては正攻法が負けることだってありえます。
 大事なのはまずはそのことを理解して、事に臨むことです。

 それますが、出版しがちな教員は読者が正解を欲しがっていることを知っています。優秀なnoterさんがスキをつける人の特徴をつかんでいるのと一緒です。
 
 そして出版という業界は製造、小売業の中では元来かなり利幅のデカイ業種なんです。今、本を書く人は出版社が20数年前に出版不況がくることを予見してさまざまな締め付けを始める前のことを知りません。このときまでは出版に関わる人間は軒並み、かなり実入りがありました。あんま売れてない町の本屋が乱立してもきちんと成り立っていたように本に携わる人がみな潤っていたんです。
 これに気がついて参入したのがAmazonであり、ブックオフだったんですよね。そして昔ほどの高額な印税も本屋の高めの利益や定期収入も根こそぎかっさらっていきました。
 しかし悪者はAmazonやブックオフだけではないんです。私は出版業界がダメになったのにはそれとは別にマズいことが起こったからだと思っています。 
 最も大きいのは本に権威がなくなり、貴重品ではなくなったという事実です。昔は本が大事につくられていました。今のような単なるマニュアル本はなく、マニュアルを名乗る本であっても大事に扱われていました。大きな問題になった完全自殺マニュアルなどだいぶ長く売れ続けたのではないでしょうか?中身も秀逸なので私も買いました。自殺には使わなかったけど。

 現在の教育、子育てマニュアル本のようにどうでもいいことが書いてある本が流通し、害悪がまきちらされ、周りが迷惑する様は前にもnoteしましたが、このことはもう少し先を見れば本の未来を危うくします。
 今すぐ出版社はこの小銭稼ぎから撤退すべきです。本づくりに掛かるコストを必要以上に削減することや千ミツに賭けることは本の価値を下げることにつながります。
 良い本を作ってその良さをきちんと読者に自信を持って勧め続け届ける。出版社の仕事はこういう制作、流通形態だと思います。フォロワーの多い人、インフルエンスが高い人が芯喰っているとは限らない。むしろ逆の方が多い。なぜなら人は自分が聞きたい言葉にしか耳を傾けないからです。結果、テレビが視聴者から見捨てられたように、インスタ、YouTube、TikTokなどはテレビより短期間で廃れていくはずです。

 本題に戻って・・・
 好きな食べ物は?好きな色は?好きなゲームは?
 確かにいい質問とは言えません。
 他者をおもんばかるという対話の本質にも到達していません。しかし、子どもは一生懸命、できる限りのことを真正面に真摯に問うてきます。
 相手の答えに興味はないけれど。
 対話の本質ではないけれど、大事な問いの入り口です。たくさん問うて、たくさん間違える人間にこそ次の問いのチャンスがやってくるのです。問いのアップデートの可能性がついてくるのです。

 より高度なことを解答として用意することは素晴らしいことなのでしょう。その解答を待ち望んでいる読者がいるのでしょう。

 しかし、どの子どもにとっても一つの解答そのものより、何回も間違えらえられて何度も答え直せる回答が保証されるクラスルームの方が幸せなんだということをマニュアル本に解答を求める大人の側にも理解して欲しいと思います。同時に教育・子育ての書籍のためにほんまもんを作ってしっかり普及させ続ける泥臭い努力をすることも併せて願いたいと思います。

教室はまちがうところだ。
本は心の旅路。 

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