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あらくさの

ふと見れば足元に咲くふゆくさの枯れてなお立つきみよ元気か

朝刊の片隅に載る荒波のもまれ揉まれて散ったいのちや

曇り空あなたに届くか愛しみの父のねがいや母の想いよ

  最早 「リストラ」の文字のかなしみは 踏みにじられ当たり前のように世界を歩く。かつて 「饅頭が届いたら 食うな。」と家族に告げた義兄のこころ持ちを今も思う。JRになる頃のリストラの執行役にならされた。辛い仕事だったとそのころも今も家族は思った。あれから何十年もたち いまや珍しくなくなった言葉。だが、ひとのこころは同じ、怯える。。ある朝 私の友人の息子さんは 起きて来なかった。大企業のリストラの嵐吹き荒れるなか。同じ会社にいた父と母を残して 遠く二度と帰らぬ旅に出た。父は一気に歳をとり我をなくし母は胸に大きな水たまりを抱えたまま。
 今日も 黄色い空のした あらくさはひっそりと立っている。

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