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【SSF】取り調べ

※頭の中でハリウッド映画の吹き替えを想像しながら読んでね♪

捜査官「例えばだ。インターネットやSNSを見ていて、何か似たような情報が表示されたり、どこかで見たことがあるような風景や言葉に出くわすことは?」

主人公「そんなのはしょっちゅうだ。YouTubeを見てれば、俺の好みに合わせておススメが出てくるし、Instagramで一度エロチックな画像や動画に当たれば検索画面なんか占領されちまう。この間なんて便所で踏ん張ってるときにAmazonの広告が便秘薬をススメてきやがったぜ!Shit!!」

捜査官「それはマーケティングの上でよくある仕組みだ。まぁそれらもキーとなる情報の一つではあるが、私が知りたいのはもっと自然な形での露出だよ。例えば君が利用しているSNS。そのフォロワーやポストされる内容に奇妙な共通点が見つかったことはないか?」

主人公「ああ、それはよくあるよ。たまたまだ、偶然だって思ってたけど、今年に入ってからは妙に数珠つなぎにWordが転がっている気がするね。
例えば、とあるニッチな作家や現象、あるいは楽曲、絵画、写真集や雑誌、文献、論文、ギャンブルに至るまで。まぁ不思議だなとは思ったけど、特に気にしてはなかった。犬も歩けば棒に当たるってやつだとくらいにしか思わなかったね。それがどうした?もしかして、今の俺なら宝くじにでも当たるようなラッキーが憑いてるとでもいうのかい?刑事さんよ!」

捜査官「ふむ。やはりそうか。あー、今から凄くバカみたいなことを言うぞ。」

主人公「さっきからバカみたいな質問ばかりだろ!?もういい加減に開放してくれ!!」

バンッ!!(机を叩く音

捜査官「いいから黙って話を聞くんだ!!君は…"誘導"されてる…。」

主人公「"誘導"だって?」

捜査官「そうだ、"誘導"だ。君は自分自身が選んだ情報にアクセスしていると思っているが、それらは全て撒き餌だ。言い方を変えれば呼び水だ。」

主人公「一体誰に?どうせさっきみたいな広告屋がうったCMのことを言ってるんだろ?それなら俺に限らず、この世の誰もが毎日毎分毎秒、そのクソみたいな宣伝に巻き込まれてるよ。くだらねぇ。」

捜査官「君は、何かを隠しているな?」

主人公「知らねーよ!俺に隠すことなんてなにもねぇ!今ここでアンタに俺のストリップショーを見せてやったって良いんだぜ!良いから早くここから出してくれ!」

捜査官「君を"誘導"しているのは"ROOT"だ。君のSNSのフォロワーも目についたニュースもポストも雑誌も画像も動画も音声ですら、全てROOTが仕込んでおいたネットワークに紐づいている。」

主人公"ROOT"だって…?」

捜査官「…、何か知っているな?」

主人公「いや、別に…。」

捜査官「取引をしよう。君をこのまま不正アクセスの罪でブタ箱にぶち込んでもいい。ただ、君のありのままのアクセスログを一か月モニターさせてもらうこと、そして我々のホワイトハッカーとして働いてもらうことを条件に今すぐここから出してやってもいい。どうする?」

主人公「くだらねぇ。俺からは何も出てこねぇよ。指示されたとおりにアクセスしていっただけだ。それにアンタラのホワイトハッカーだなんて実質拘束されているようなもんだろ!!」

ペッ(唾を吐く音です

捜査官「わかった。よかろう、ならば今すぐブタ箱行きだ!」

ガンッ!!(机を蹴る音かな
グイッ!!(捜査官が主人公の髪を掴んで顔を無理矢理上げさせる擬態語
バタン!!(捜査官が主人公を無理矢理立たせた拍子に、主人公の座っていたチェアーが倒れる音だと思う

主人公「わかった!わーったから!離してくれ!飲むよ!その話を飲むから!!」

捜査官「ったく手を煩わせやがって。最初からおとなしくこっちの要求に従ってろ。」

主人公「ったく協力しろってわりには手荒な真似すんな。わかったよ。どんんなことでも聞くから、もう解放してくれ。」

捜査官「いい心構えじゃないか、ネイサン。これから馬車馬のように働いてもらうぞ」

主人公「ったくクソがよ。それにしても刑事さん、アンタの名前は?それくらい教えてくれねーとフェアじゃねぇだろ?」

捜査官「俺はアーノルドだ。よろしくな。」

ガシッ!(かたく握手



SSFとはScience spiritual fictionの略で作者の造語


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