南江 幾乃

人生の折り返し点をとうに過ぎ、日々ささやかな笑いを求め続けています。四コマ漫画のエッセ…

南江 幾乃

人生の折り返し点をとうに過ぎ、日々ささやかな笑いを求め続けています。四コマ漫画のエッセイを目指し「クスッ」と届けられたら満足です。

記事一覧

いちご白書

♪ 僕は無精ヒゲと髪を伸ばして    学生集会へも時々出かけた  就職が決まって髪を切ってきた時   もう若くないさと    君に言い訳したね ♪  iPhoneから流れ…

南江 幾乃
7日前
15

記憶の断片

 夢の中で一人のおばちゃんが出て来た。 『誰だっけ?』 顔や体がボヤ〜とするのだが、一体、何処の誰だったのかはっきり思い出せない。 何処かの店の店員さんのようだが…

南江 幾乃
2週間前
9

飲み放題、食べ放題

「南江、一杯飲みに行くか?」 「いいですね!どこに行きます?」 「この前新しくできた駅前の居酒屋に行こう。飲み放題や」  居酒屋に着き、メニューを見てまずツマミを…

南江 幾乃
3週間前
14

すべて純国産

百貨店の1階に、女性化粧品や美容商品が豊富に陳列されている。 エレベーターに乗ろうとすると、その横に1台の自動販売機が目に入る。 シックな色あいで高級感溢れるラ…

南江 幾乃
4週間前
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一生渡れない横断歩道

横断歩道  episode-1 出勤途中、家を出て直ぐの所に、見通しのいい片側一車線の道路がある。 そこは、信号機が付いてない横断歩道がひとつ。 朝のラッシュ時で、左右から…

南江 幾乃
1か月前
14

いつの間にこんなにシミやシワが?!

鏡に映っている自分の顔を見て、急に気づく。 アレ?こんなにシミがあったっけ? 女性のように、じっくりと鏡に向かい入念に化粧をするわけでもない。 が、毎日鏡はみてい…

南江 幾乃
1か月前
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天才の席

 教室の席は、名前のあいうえお順に出席番号がつけられ、その順に並んでいる。  黒板に向かって左側前列から後ろにいき、次の右列に移っていく。  中学からの腐れ縁の…

南江 幾乃
1か月前
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散歩に連れて行かなくていいの?

 薄桃色の梅は既に散り、白色の木蓮も散りかけ、今、赤色の木瓜と黄色のレンギョウが咲いている。 他の木々も一斉に緑の芽を吹き出した。 春やなあ 百姓をしている友人…

南江 幾乃
1か月前
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夏がくれば 思い出す はるかな♪

夏がくれば 思い出す はるかな尾瀬 遠い空 霧の中に うかびくる やさしいかげ 野のこみち ミズバショウの花が 咲いている 三月の末、水芭蕉がたくさん咲いているとい…

南江 幾乃
2か月前
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家が、家が、燃えちゃう!

あれは、30数年前になる。 日々、うだるような酷暑が続く真夏の昼下がり。  一軒家の8畳ばかりのリビングには、床に固定された高さ1メートルの吹き出し口から冷気を出す…

南江 幾乃
2か月前
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時限タイマー付き?電気製品の保証期間

 一週間前からオーブントースターの調子が悪くなった。  食パンの表側は焼けているのだが、裏側が焼け無くなった。 まあ、それでも片面だけでも焼けているからいいかと思…

南江 幾乃
2か月前
11

ワンシーン

なぜか、記憶に出てくるワンシーン。 いつもの生活を送っていて、ある行動をした時、ふと映画のワンシーンが脳裏をよぎることがある。  驚くような強烈なシーンや、感動…

南江 幾乃
2か月前
15

つくし誰の子、スギナの子?

春うらら。 川土手を散歩していると土筆を発見した。 おっ!懐かしいと思っているとその横には、もうスギナの木になっているものもある。 早く取らないとスギナになってし…

南江 幾乃
2か月前
14

父親からのバレンタイン

 久々に息子が帰省する。 といっても盆に帰ったから半年ぶりか。 ゆったりした夫婦二人の生活から慌ただしくなる。 ま、それはいい。 息子が帰ってくると、母親は妙にテン…

南江 幾乃
3か月前
18

note ぴりっと小粒でおもろい柿の種

「南江、おまえ俺のスマホにメッセージを送った?」 「メッセージ?ショートメールのこと?」 「ショートメールかなんか知らないけど、お前のアバターの似顔と名前でどこか…

南江 幾乃
3か月前
19

ミックス

「ミックス?」 柴犬、ダックスフンド、ブルドック、トイプードル、チワワ、ダルメシアン、ヨークシャーテリア、セントバーナード等々まあよくも純血犬が多種あることか。 …

南江 幾乃
3か月前
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いちご白書

いちご白書

♪ 僕は無精ヒゲと髪を伸ばして
   学生集会へも時々出かけた
 就職が決まって髪を切ってきた時
  もう若くないさと
   君に言い訳したね ♪

 iPhoneから流れる懐かしい歌を聞きながら、近くのスーパーで買い物をしている。
と、どこかで見たことのある顔の人物を見かけた。
確か、自分より、一つか二つ上で大学時代によく見かけた先輩だった。
 久しぶりに見た顔は、色は黒く、シワは増え、まさに年

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記憶の断片

記憶の断片

 夢の中で一人のおばちゃんが出て来た。
『誰だっけ?』

顔や体がボヤ〜とするのだが、一体、何処の誰だったのかはっきり思い出せない。
何処かの店の店員さんのようだが、何の店だったか名前が出てこない。
会話の記憶もない。
 ただ、店に似合わず、品があって逆に愛想が無い。
はっきり言って苦手なタイプ。
何処の店だったか、昔からの色々な店の様子を思い出すが顔と一致しない。

たかが夢に出てきたおばちゃん

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飲み放題、食べ放題

飲み放題、食べ放題

「南江、一杯飲みに行くか?」
「いいですね!どこに行きます?」
「この前新しくできた駅前の居酒屋に行こう。飲み放題や」

 居酒屋に着き、メニューを見てまずツマミを選ぶ。
「先輩、ツマミはこれぐらいで、あとの酒は、何飲んでも飲み放題ですよね?」
「そうよ、何でも好きな酒頼んだらええわ」
「いくらなんですか?飲み放題で、2時間ですか」
「ん?金?そりゃあわからん。まだ飲み終わってないし、飲んだ分だけ

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すべて純国産

すべて純国産

百貨店の1階に、女性化粧品や美容商品が豊富に陳列されている。
エレベーターに乗ろうとすると、その横に1台の自動販売機が目に入る。
シックな色あいで高級感溢れるラッピングなので、最初は下着か何かの自販機かと思った。
が、よく見れば、

『美容と健康の昆虫食』
とある。
「?」
自販機の中をよく見ると、決してゲテモノ感はないのだが、
『タガメ2匹1,500円、バッタ、こおろぎ、ミミズ昆虫ミックス1,

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一生渡れない横断歩道

一生渡れない横断歩道

横断歩道  episode-1

出勤途中、家を出て直ぐの所に、見通しのいい片側一車線の道路がある。
そこは、信号機が付いてない横断歩道がひとつ。
朝のラッシュ時で、左右から来る車が多い。
車が切れるのを立って待っていると、
「え?渡らないの」
と後から来た老婆が、私の横を通り過ぎながら話しかける。
「だって車が止まってくれないでしょう」
 ちなみに、どこかの優秀な県とは違い、信号機の無い横断歩道

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いつの間にこんなにシミやシワが?!

いつの間にこんなにシミやシワが?!

鏡に映っている自分の顔を見て、急に気づく。
アレ?こんなにシミがあったっけ?

女性のように、じっくりと鏡に向かい入念に化粧をするわけでもない。
が、毎日鏡はみていた、はずだった。
美男という大それた作りでもなければ、今更天下の一大事という顔でもない。
しかし、顔のシミが多くなっていない?

今まで、シミのひとつや二つ気にもかけなかったが、気になれば、なぜかますます増えていくようだ。
昨日より増え

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天才の席

天才の席

 教室の席は、名前のあいうえお順に出席番号がつけられ、その順に並んでいる。
 黒板に向かって左側前列から後ろにいき、次の右列に移っていく。

 中学からの腐れ縁の青木は、高校に入学した時も左側の一番前の席にいた。
 最初の授業で、教師が当てるのは、ほぼ出席番号の最初の方からなので、どの教科の教師も、まずは青木を当てる。
しかし、当の青木は毎度のことなので、質問の答えがわからなくても妙に焦ることもな

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散歩に連れて行かなくていいの?

散歩に連れて行かなくていいの?

 薄桃色の梅は既に散り、白色の木蓮も散りかけ、今、赤色の木瓜と黄色のレンギョウが咲いている。
他の木々も一斉に緑の芽を吹き出した。

春やなあ

百姓をしている友人が、実を付けない草木は植えないと言っていた。

そんなもんか。

というわけでもないが、夏に向けて、何か野菜を植えようと狭い庭で土を耕した。
やっぱり、プランターばかりじゃ味気ない。
 たかが一畳の広さだが鍬を持って耕すのは意外としんど

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夏がくれば 思い出す はるかな♪

夏がくれば 思い出す はるかな♪

夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 遠い空
霧の中に うかびくる
やさしいかげ 野のこみち
ミズバショウの花が 咲いている

三月の末、水芭蕉がたくさん咲いているという。
この時期、どう見ても、桜の季節である。
その桜ではなく、水芭蕉が咲いていると、新聞に掲載された。

ミズバショウ?
花は思い出せないが、なぜか直ぐに歌は口ずさめる。

夏がくれば 思い出す、、、ミズバショウの花が、

ただ、どん

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家が、家が、燃えちゃう!

家が、家が、燃えちゃう!

あれは、30数年前になる。

日々、うだるような酷暑が続く真夏の昼下がり。

 一軒家の8畳ばかりのリビングには、床に固定された高さ1メートルの吹き出し口から冷気を出す、当時としては結構高そうな冷房専用のエアコンが設置されていた。(借家の備え付けである)
 数日前から、このエアコンの効きが悪くなった。あまりに暑いので効かないのだと思いながらも、フルの最強モードで運転し続けていた。

 腕枕をしなが

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時限タイマー付き?電気製品の保証期間

時限タイマー付き?電気製品の保証期間

 一週間前からオーブントースターの調子が悪くなった。
 食パンの表側は焼けているのだが、裏側が焼け無くなった。
まあ、それでも片面だけでも焼けているからいいかと思っていたが、とうとうスイッチさえ付かなくなり、表も裏も全く焼け無くなった。

 買った電気屋に問い合わせると、保証期間の5年が丁度2か月前に終わっていた。
ほんとうにうまいことできてるわ。
 先日の印刷機の時もそうだったが、機械の底に、5

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ワンシーン

ワンシーン

なぜか、記憶に出てくるワンシーン。
いつもの生活を送っていて、ある行動をした時、ふと映画のワンシーンが脳裏をよぎることがある。
 驚くような強烈なシーンや、感動した場面ではない。
どちらかというと、映像の中のほんの些細な目の表情や指先の動き、どちらかというと何気ない一言が多い。

 寒い冬の朝。
起きて、洗面台に行く。
 蛇口を開く。
流れ出てくる水に手を付ける。
「ひやっ!」
思わず手を引っ

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つくし誰の子、スギナの子?

つくし誰の子、スギナの子?

春うらら。
川土手を散歩していると土筆を発見した。
おっ!懐かしいと思っているとその横には、もうスギナの木になっているものもある。
早く取らないとスギナになってしまうと、ポケットを探る。
丁度、一枚のビニール袋があったので、土筆を取ってみることにした。
 いつの間にか夢中になり、小一時間もすると、ビニール袋が一杯になった。
 どうにか摘むのを止めて家に持って帰る。
今日の酒のつまみになると奥様に見

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父親からのバレンタイン

父親からのバレンタイン

 久々に息子が帰省する。
といっても盆に帰ったから半年ぶりか。
ゆったりした夫婦二人の生活から慌ただしくなる。
ま、それはいい。
息子が帰ってくると、母親は妙にテンションが上がる。
既にいっぱしの社会人である。
「何が食べたいだろうか。平生、大したものを食べていないだろうから、栄養のある物を食べさせないといけない。何が食べたい?」
と聞くがきまって
「なんでもいい。」
だよな。俺だってそういう。

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note ぴりっと小粒でおもろい柿の種

note ぴりっと小粒でおもろい柿の種

「南江、おまえ俺のスマホにメッセージを送った?」
「メッセージ?ショートメールのこと?」
「ショートメールかなんか知らないけど、お前のアバターの似顔と名前でどこかのサイトにいくらしい」
「ああ、ラインでnoteの俺の作品にとぶQRコードなら送ったよ」
「そうなの。お前の名前があったから本人かどうか聞いたんだ。よくある怪しいサイトに導入するようなものかと思った」
「おれおれ、おれが書いたエッセーを読

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ミックス

ミックス

「ミックス?」
柴犬、ダックスフンド、ブルドック、トイプードル、チワワ、ダルメシアン、ヨークシャーテリア、セントバーナード等々まあよくも純血犬が多種あることか。
 犬の散歩をみていると、たまにでかいゴールデンレトリーバーやチャウチャウを見かけることがある。
明らかに、飼い主を引き連れている。
と言って小型犬もたまに、飼い主の腕にだっこされて散歩しているが、まあこれも飼い主より上か。

 しかし、

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