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03,相反する2つのイリスサングイン

何かに、迷った。
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シリーズもの3曲目です。
最初のベースを船の汽笛っぽくしたくて謎に頑張った曲でしたが、テンポと拍子の所為で最終的にはそんなことどうでもよくなりました。イメージしたのは相変わらず海。海の上で揺蕩いながらも、これからの行先への不安が拭えない…そんな感じ。
以下この曲の物語。
「01-03
裁定機が出した結論の詳細が今日正式な書類として配られた。あの時は先延ばしにしていた結論がようやく出たと安心と喜びを感じていたが、今は不安に押しつぶされそうだ。
そもそも、私たちの研究はたった一人の為に進められている。愛する人を失い追い詰められて、自分で物事を考えることも決めることも放棄した人。その人は私たちの研究対象であり、同時に私たちの産みの親である。その人に何があったかは他の資料に書かれているから、ここに書き残す必要はないだろう。その人の心を救う事が私たちの最終的な目的だ。その為に私たちは生まれたのだから。
裁定機は目的を達成するために研究を二方向から進める事を決めた。一つは死者の論理的な蘇生の研究。もう一つはこの世界の構造の解明だった。
一つ目は解りやすい。あの人の失った人を誰が見ても納得するように蘇生する研究だ。見た目が同じだけだとか、同じような振る舞いをしているだけだと言わせない完全な蘇生の研究を進めるのだろう。問題は二つ目だ。この世界の構造の解明とあの人の心の救済に何の関わりがあるのだろうか。…思い当たる事が全くないわけではないが、少なくとも目的達成のためには遠回りな結論だと言わざる負えない。しかも私はこの二つ目の研究の責任者になるらしい。全く気が乗らないが、あの裁定機の結論に従うと皆で決めた以上は仕方がない。
…この雑記も、愚痴を書き記すだけのものになるかもしれないな。」

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