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02,誰が為の水底研究所

何かに、迷った。
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シリーズもの2曲目です。
寂しさと淡々と流れていく時間をイメージして書きました。失われる切なさと寂しさ、ぼんやりとした水底から届く地上を思う、そんな曲です。
別シリーズの"深海に沈殿する思い"のアレンジとなっております。
以下この曲の物語。
「部屋の扉が音を立てて開かれる。食事時には早い気がして視線をそちらに向けると、そこには見た事の無い白衣の女性が笑顔をこちらに向けていた。
"初めまして、今日からあなたの担当になったレンカです。"
ゆっくりと柔らかな口調で話すその人物は、扉を閉めることなく私に近づいてきた。
他の白衣の人は私に話しかけてくることは基本的にはない。"食事だ"とか"検査だ"とか、会話と呼べるものはほとんどなかった。まともに会話をしたことのない私は言葉が口から出てこなくて固まっていると彼女は笑って私の手を握る。
"まずはこの部屋から出ましょうか、それからゆっくり話しましょう。"
彼女の手に導かれるまま立ち上がると、流れる様に部屋の外へ連れ出された。狭い通路をひたすら進んだ先、いくつもの扉が並ぶ開けた場所に出る。
天井と床が透けたその場所は、まるで青い水の中に浮いているように見えた。
"改めましてようこそ、私たちの研究所へ。今は色々な事情で海底に沈められてしまっているけれど、ここはとても良い所ですよ。"」

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