兼友さん! 小説徒然草① (全3回)
これは、徒然草を書いた兼好法師の弟、兼友(けんゆう)さんと兄上や愉快な仲間たちとのお話。
角川ソフィア文庫 『新版徒然草』(小川剛生訳注)を元に書いています。
序
「兼好兄上へ。お元気ですか、僕も元気です。僕が仁和寺に来てからひとつき。もうすっかりここでの生活にも慣れ、毎日楽しく過ごしています。兄上は『大寺院なんて男色坊主ばっかりだぞ。そんな所に行ったらお前も狙われてしまうぞ。なんと言ってもお前はかわいい十二歳だからな。悪くすると染まってしまうかもしれん。いや……むしろ