【創作長編小説】悪辣の魔法使い 第2話
第2話 レイオル、そしてレイオル
逃げ出したほうが、いいのかな。
レイは、ぼんやりとそんな可能性を考えてみる。
逃げ足には、自信があった。実際、追いかけてくる町の人間たちから、逃げ切れていた。
なにせ、人間ではなく小鬼。
身体能力は人間よりはるかに優れており、さらに怪物としての特殊能力も、生まれたときから――ボーナスポイントのように――きちんと付与されていた。
イケる。きっと。このレイオルって人間、魔法使いとしての力があるみたいだけど、所詮人間。俺の全力に