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第3話 三人だけ



 ○○が啓太の家に泊まった翌日。



🚪ガチャ


○○:・・・

美月:あ・・・おかえり。

○○:・・・🚶

○父:○○。話がある。来い。

○○:・・・説教なら聞かない。

○父:それは・・・今回は連絡していたから良いだろ。

○○:じゃあ何?

○父:荷物置いたら、リビングに来なさい。

○○:・・・分かった🚶



○○の部屋


👜ボスッ


○○:はぁ~。めんどくせぇな。


リビング


🚪ガチャ


○父:其処に座りなさい。

○○:・・・ソファに座る。

○父:・・・明日、泊まりで出張に行くことになった。

美母:泊まり・・・

○父:うん。帰りは明後日の夕方になると思う。丸二日居ないと思ってくれればいい。

美月:じゃあ・・・

○父:うん。二日間は、三人で過ごすことになる。

○○:・・・ちっ。スッ


🚪ガチャ


○父:○○!話は終わってないぞ。

○○:・・・なんだよ。

○父:母さんの言うことを聞いて、ちゃんと手伝いをしろ。美月ちゃんにも迷惑を掛けるな。良いな?

○○:誰がそいつの言うことなんか聞くか。言っとくが、手伝いなんかしない。分かったな!


🚪バタン


○父:まったく。すまないが、宜しく頼む。

美母:分かったわ。

美月:・・・



翌日


○父:じゃあ、行ってくるよ。

美母:いってらっしゃい。

美月:気を付けてね。

○父:うん。・・・○○は?

美月:多分、まだ寝てると思う。

○父:そっか。じゃあ、後はお願いね。

美月と美母:うん。いってらっしゃい!

○父:いってきます。


🚪ガチャ


美母:ご飯にしよっか。

美月:うん。あ、○○君・・・

○○:・・・

美月:お父さんなら今・・・

○○:知ってるよ。


 ○○君はそう言って、靴を履き始めた。


美月:どこ行くの?朝ご飯は?

○○:いらん。


🚪ガチャ バタン


美月:・・・

美母:・・・食べましょう?

美月:うん。


○○side


○○:ちっ。

啓太:おはよう。

○○:ああ。

啓太:なんだ、元気ないじゃん。何かあったか?

○○:親父が出張行った。

啓太:?夕方には帰るんだろ?

○○:泊まりなんだとよ。

啓太:え、マジ?

○○:ああ。最悪だよ。アイツ等と三人だけなんて。

啓太:それで元気無いわけか。てかお前、今更ながら、食事はどうしてんの?

○○:コンビニのおにぎり。

啓太:お前それ・・・一人暮らしの大学生の食事じゃねぇか。

○○:アイツの飯なんか食えるか。

啓太:そんなにあの二人が嫌なら、バイトすれば?

○○:バイト?

啓太:ああ。バイトなら、家に居なくても怒られることは無いだろ?

○○:・・・女が居るから無理だ。

啓太:うーん・・・そうだ!厨房とかどうだ?

○○:厨房?

啓太:そう。接客とかじゃなければ、女が駄目なお前でもいけるんじゃないか?

○○:あのな。女が駄目なんじゃない。女が大嫌いなんだ!

啓太:一緒だろ。

○○:・・・厨房か・・・

啓太:料理は得意だろ?

○○:まあ・・・ずっと父さんに作ってたからな。

啓太:だから、その料理の腕を活かすんだよ。

○○:分かった。やるだけやってみる。

啓太:おう!俺も一緒にやって良いか?

○○:・・・バイトをか?

啓太:ああ。一緒に、同じ職場で働こうぜ?

○○:・・・分かったよ。

啓太:じゃあ決まり!


学校・美月side


美月:はぁ~~。

史緒里:成る程ね。それで、二日間、三人だけなんだね。

美月:うん・・・後、○○君が倒れないか心配なの。

史緒里:え?どういうこと?

美月:それがね?○○君、お母さんのご飯食べてないの。

史緒里:え!?嘘でしょ?

美月:勿論、全然食べてない訳じゃないよ。でも、コンビニのおにぎりを食べてるみたいなの。

史緒里:何その・・・一人暮らしの大学生みたいな食事。

美月:うん。それに、ストレスとかもあるだろうし。

史緒里:まあ、嫌いな人とずっと一緒に居れば、ストレスも溜まるもんね。

美月:う、うん・・・はぁ~。

史緒里:美月・・・


昼休み・○○side


啓太:○○!飯食おうぜ?

○○:ああ。ちょっと待ってろ。購買行ってくる。

啓太:おう。


購買


おっちゃん:お、○○じゃねぇか。お前、毎日のように来るな。

○○:良いじゃん。ここのメロンパン、絶品なんだし。

おっちゃん:はははっ。嬉しいこと言ってくれるね!ほい!三百円ね!

○○:ほーい。じゃあ、五百円で宜しく。ほい!

おっちゃん:おう!五百円ね。じゃあ、二百円のお釣りだ。

○○:どうも。毎度!


屋上


啓太:買えたんだな。

○○:ああ。

啓太:いただきます。パクッ

○○:パクッ

二人:うん。美味い。

啓太:ちょっと頂戴?

○○:無理。パクッ

啓太:ちぇっ。パクッ

○○:パクッ

啓太:で、どうする?バイト先。

○○:ファミレスとかじゃねぇの?

啓太:ファミレスかぁ・・・どっか有るかな。

○○:パクッ・・・此処は?

啓太:これ?

○○:ああ。

啓太:えっと・・・キッチンスタッフ、ホールスタッフ、両方募集中。年齢問わず。面接無し。来たら、直ぐに働けます。マジか?!

○○:大丈夫なのか?

啓太:お前が言ったんだろ?

○○:とりあえず行ってみるか。

啓太:ああ、そうだな。


放課後・ファミレス


啓太:此処だな。

○○:ああ。今は休憩中みたいだな。

啓太:とりあえず入ってみようぜ。


🚪ガチャ


啓太:すいませーん!

?:おりゃあ!

啓太:!?

○○:フッ!

?:!?

啓太:・・・○○。サンキュー。

?:やるな。お前。

○○:なんのつもりだ・・・貴様。

?:・・・よし。お前等、バイト希望か?

○○:そうだが・・・

?:うん。合格だ。

二人:は?

?:いや、悪いな。たまに、たちの悪いクレーマーが居るからさ。

○○:それで、強い奴を探してるって訳か。

?:そういうこと!お前は弱いな?

啓太:・・・あ、あれは!いきなりだったからで・・・

?:ははっ。冗談だよ。お前も合格だ。

啓太:あ、はい!

?:で、お前達名前は?

○○:あんたが先に名乗るもんだろ。

?:あ、そうだな。俺は、高村悠斗。このファミレスの店長だ。

啓太:俺は啓太です。

高村:名字もだよ。

啓太:あ、すいません。村岡啓太です。

高村:村岡啓太か。じゃあ、啓太だな。

啓太:はい!宜しくお願いします。

高村:で?

○○:山下○○だ。

高村:○○だな。早速だけど・・・希望は有るか?

○○:俺は厨房で頼む。ホールはこっちがやる。

啓太:はい!

高村:できれば、○○にホールやってもらいたいんだが?

○○:接客は嫌いなんだ。

高村:なんじゃそりゃ。でも、ホールの方が向いてるような気がするけど・・・

○○:・・・警察呼ぶぞ?

高村:え!?

○○:さっき啓太に襲いかかったこと、立派な犯罪だぞ?

高村:うぐっ!はぁ・・・分かったよ。じゃあ、○○は厨房な。

○○:物分かりが早くて助かる。

高村:一応、俺店長なんだけど?

○○:細かいことは気にすんな。

高村:・・・

啓太:すいません。

高村:いや、気にすんな。じゃあ、いつ入れるとか有るか?

○○:毎日で頼む。

高村:毎日!?それって・・・土日もか?

○○:ああ、そうだ。平日は夕方から、土日は一日中で頼む。

高村:気持ちは嬉しいけどよ。そんなに働いたら、倒れるぞ?

○○:構わんさ。むしろ・・・(心:その方がありがたい。)・・・

高村:むしろ、なんだ?

○○:いや・・・なんでもない。兎に角、それで頼む。

高村:・・・(心:何か訳ありだな。)分かった。で、啓太は?

啓太:俺は・・・じゃあ、平日なら何時でも。

高村:そうか。じゃあ、全平日の夕方からで良いか?

啓太:大丈夫です!

高村:じゃあ、今日から頼むな。

啓太:はい!

○○:ああ。


営業時間


啓太:いらっしゃいませ。ご注文お決まりでしたら、其方のボタンでお呼びください。

客:あ、スパゲッティ一つで。後、ドリンクバーも。

啓太:かしこまりました。チケット、お預かりします。ドリンクバーはセルフとなっておりますので、ご自由にお飲みください。それでは、少々お待ち下さい。

客:はい。


厨房


啓太:スパゲッティ一つです!

○○:分かった。

高村:ホントに大丈夫か?ひとりで厨房やって。

○○:あんたは今まで、全部一人でやってきたんだろ?

高村:ああ。

○○:だったら、これぐらい苦じゃないさ。それに、料理してる時は無心になれるんだ。嫌なこと全部忘れられる。

高村:・・・良く分からんが、助かるよ。

○○:ああ。啓太!三番テーブル。オムライスだ。

啓太:おう!

○○:店長。五番テーブル、ハヤシライス。

高村:了解。後、敬語使えよ。

○○:・・・善処する。

高村:・・・



○○:啓太!七番テーブル、スパゲッティ。

啓太:了解!

高村:○○!イチゴパフェ一つ。

○○:分かった。これ。十番テーブル、スパゲッティ。

高村:了解!


閉店時間


高村:ありがとな。助かったよ。明日も頼むな。

啓太:はい!

○○:ああ。

高村:あ、そうだ。ちょっと待っててくれ。

啓太:あ、はい!

○○:泊まり込みとか出来ないのか?

啓太:無理だろ。諦めろ。

○○:ちっ。


10分後・・・


高村:お待たせ。ほい!食べてくれ。

啓太:うわぁ~!美味しそうですね!

高村:ははっ。旨いぞ!食ってみな!

啓太:いっただっきまーす!パクッ

○○:これって、賄いってヤツか?

高村:ああ。あれだったら、毎日作ってやっても良いぜ?

○○:ホントか?!それは助かる。宜しく頼む!

高村:お、おう。分かった。

○○:ははっ。バイトって最高だな。

啓太:ん~~!うめぇー!このカレー、すっげえ旨いです!店長!

高村:ははっ。なら良かったよ。

○○:パクッ

高村:どうだ?旨いか?

○○:ああ。旨い・・・

高村:!?おいおい!なんで泣くんだよ?

○○:あったかいんだ・・・グスッ😢久しぶりだ・・・こういうの。

高村:・・・何か有ったら、何時でも此処に来い。賄い飯、食わしてやるよ。

○○:グスッ😢はい・・・

啓太:ふふっ😊


 俺はこの時、久しぶりに人の温かみを感じた気がした。


自宅・美月side


美月:○○君、遅いね。

美母:そうね。


🚪ガチャ バタン


美月:あ、帰ってきた。


🚪ガチャ


二人:おかえり。

美母:ご飯は?

○○:・・・

美月:こんな遅くまで何してたの?

○○:アンタらには関係ない。

美月:関係あるよ。

○○:家族だから。とか言うんだろ?

美月:そうだよ。だって・・・

○○:言っただろ。お前等なんか家族じゃない。気安く話しかけるな。


🚪バタン


二人:・・・





To be continued……








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