見出し画像

臨床推論 Case52

Cureus 16(1): e52954.

【症例】
72歳 男性

【既往歴】
高血圧 メラノーマ 冠動脈疾患

【主訴】
皮疹

【現病歴/現症】
⚫︎ 3日前より水疱性、赤紫色の皮疹が出現した
⚫︎ 初めは前腕に出現し、急速に四肢、体幹部、手掌足底にまで広がった
⚫︎ 皮疹は少し痒みはあるが、圧痛はない
⚫︎ 先行感染のエピソードはない

⚫︎ 採血は以下の通り

⚫︎ 皮疹は小さく、浮腫っぽく、紫色のプラークで一部に水疱を形成している

⚫︎ 病理では好中球有意に浸潤し、浮腫を認める


What's your diagnosis ?








【診断】
水疱性Sweet症候群

【経過】
⚫︎ ステロイドと塗布薬で皮疹は速やかに消退した
⚫︎ 癌検索のためPET検査を施行したところ食道に集積を認め、食道癌が判明した
⚫︎ 食道癌stageⅡbの診断で手術と抗癌剤治療をした

【考察】
⚫︎ Sweet症候群は発熱、白血球上昇、圧痛を伴う紅斑が特徴である
⚫︎ 古典的/特発性Sweet症候群は30-50歳の女性に多く、上気道炎やIBD、妊娠と関連する
⚫︎ 薬剤性Sweet症候群は抗がん剤、免疫関連薬、抗生物質などが関連する
⚫︎ 癌関連Sweet症候群は既存or未診断の癌に関連して生じる

⚫︎ 52例のSweetにおいて、27例51%が癌関連であった
・固形腫瘍よりも血液腫瘍の方が多かった
・固形腫瘍は食道や大腸、胃などの消化管の癌が多かった

⚫︎ 癌関連Sweetは通常古典的な皮疹を呈する
⚫︎ 水疱性のパターンはレアである
  他に潰瘍性、壊疽性膿皮症っぽい皮疹を呈することもある
⚫︎ 水疱性Sweetは血液癌と強く関連する報告もあればそうでもなかったという報告がある
⚫︎ 年齢・症状に応じた癌検索が必要 
  また血算に異常があれば骨髄検査を積極的に施行する

⚫︎ 血液関連 vs not 血液関連 (Front Med(Lausanne). 2020; 7: 20.)

⚫︎ AML vs MDS vs not 血液関連

⚫︎ 癌関連Sweetは癌の抗原に対する過敏反応と言われている
  癌を治療したらステロイド抵抗性のSweetも改善するため、その仮説を支持している

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?