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失恋の痛みは薬で軽減できる?

失恋の痛みは体の痛みと匹敵します。しかしこの痛みは脳科学的にはどのようなものとして捉えることができるのでしょうか。今回取り上げる論文は、社会的な痛みと身体的な痛みの関係について論じたものになります。

失恋と骨折:社会的痛みと身体的痛みの類似点に関する神経的観点Eisenberger, N. I. (2012). Broken hearts and broken bones: A neural perspective on the similarities between social and physical pain. Current Directions in Psychological Science, 21(1), 42-47.

この論文によると、仲間はずれなどの社会的排斥で生じる痛みは、身体的な痛みと共通の神経基盤があることが述べられています。

具体的には全帯状皮質と前部島皮質と呼ばれる主観的感覚(痛み、嬉しさ、美味しさなど)と関連する領域が活動することが示されています。

また身体的痛みへの感受性が強い人は社会的痛みに対しても感受性が強いこと、これには同じ遺伝子が関わっていること、さらに鎮痛薬で社会的痛みが和らぐことも述べられています。

Eisenberger, 2012 Fig.1

これは社会から排斥されることが生存上のリスクを引き上げるため、進化の過程で身体的痛みのシステムが社会的痛みの感受に転用されたのではないかと論じられています。

明日読む論文:

社会的愛着、 愛、中毒の間の行動的、解剖学的、薬理学的な類似点
Burkett, J. P., & Young, L. J. (2012). The behavioral, anatomical and pharmacological parallels between social attachment, love and addiction. Psychopharmacology, 224, 1-26.



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