脳科学リサーチ【オフィスワンダリングマインド】

オフィスワンダリングマインド代表。脳科学・心理学に関するコンサルティング業務を行う傍ら…

脳科学リサーチ【オフィスワンダリングマインド】

オフィスワンダリングマインド代表。脳科学・心理学に関するコンサルティング業務を行う傍ら、大学院で脳科学の研究をしています。趣味は人間観察と考えること全般。執筆依頼はオフィスワンダリングマインド:https://what-is-man.me

記事一覧

脳内麻薬と報酬系の関係とは?

人間を動かすにはアメかムチかのどちらかになると思うのですが(自己成長もある意味アメです)、これには性格的なものがあることがわかっています。 アメで動く傾向は行動…

アメとムチのどちらで動かすべきか?BIS/BAS尺度でわかる性格傾向

人間は何の理由もなく行動しません。そしてその理由には大きく分けて2つあります。何かが欲しくてそれをするのか、あるいは何かを避けたくてそれをするのかです。 異性に…

報酬系と性格傾向:何がその人にリスクを取らせるのか?

私達は日々様々な判断や行動を行っていますが、大きく分ければそのタイプは2つしかありません。一つは接近行動であり、もう一つは回避行動です。例えば可愛い赤ちゃんが目…

意思決定の脳科学:選択は2段階で行われる

金融投資が一般的になって時間が立ちましたが、投資で頭を悩ませたことがない人はいないのではないでしょうか。 ハイリスク・ハイリターン商品を取るか、あるいはローリス…

思春期のこどもはなぜ強い刺激を求めるのか?

思春期の子どもは何かと強い刺激を求めます。冒険心があるといえば言葉はいいのですが、それを見ている親としては、何かとヒヤヒヤすることもあるのではないでしょうか。今…

薬物依存と報酬系の関係とは?

薬物依存というのはだいぶ厄介なもののようですが、これは一体どのような仕組みで引き起こされるのでしょうか。今回取り上げる論文は、薬物依存と脳内報酬系の関係について…

報酬系とその仕組み

仕事にしても教育にしても、あるいは買い物にしても問題になるのは私達の心です。しかし、その心とは一体どのようなものなのでしょうか。今回取り上げる論文は、心の根幹に…

楽しい思い出が多いほど、失恋の悲しみは大きい

失恋は手痛いものですが、一体どのようなものがこの痛さに関係しているのでしょうか。今回取り上げる論文は、大学生の失恋の苦痛と、付き合っていた頃の思い出の関係につい…

失恋評価尺度

失恋の痛みは人それぞれですが、それは一体どのようにして評価できるのでしょうか。今回取り上げる論文は失恋の痛みの評価と他の心理的要因との関係について調べたものです…

失恋と痛みの脳科学

若い頃の感情は時間がたてばたいてい忘れてしまうが、失恋の痛みは例外である。これはおそらくその痛みの大きさゆえだと思うのだが、これは脳科学的には一体どのように説明…

恋愛心理学:受け入れと拒否の脳活動

営業は恋愛と似ているという言葉がありますが、どちらのほうも相手のリアクションに一喜一憂するという点では共通点があります。 今回取り上げる論文は異性から拒否される…

社会的拒絶を和らげる生理活性物質とは?

失恋は手痛いものですが、私達の脳はどのようにしてこの痛みを和らげているのでしょうか。今回取り上げる論文は、社会的拒絶に関わる脳の仕組みについて調べたものです。 …

アンチ・ラブ・バイオテクノロジーとは?

愛は喜びももたらすが、同じくらい悲しみも連れて来る。やりきれない悲しみは怒りや抑うつなどを引き起こし、時に社会問題へとつながることもある。では、この愛は「治療」…

社会的愛着と薬物依存の関係とは?

あなたに夢中、というような言い回しはよく聞きますが、実際のところ、誰かに夢中になっているときには身体の中でどのような変化が起こっているのでしょうか。 今回取り上…

失恋の痛みは薬で軽減できる?

失恋の痛みは体の痛みと匹敵します。しかしこの痛みは脳科学的にはどのようなものとして捉えることができるのでしょうか。今回取り上げる論文は、社会的な痛みと身体的な痛…

恋愛の終わりについての現象学的記述

いろんなものには形のないカタチというものがある。例えばアメリカであればアメリカらしさがあるが、それはカタチとしては見えない。しかしアメリカのすべての事象の根底に…

脳内麻薬と報酬系の関係とは?

人間を動かすにはアメかムチかのどちらかになると思うのですが(自己成長もある意味アメです)、これには性格的なものがあることがわかっています。 アメで動く傾向は行動活性化システム(BAS)、ムチで動く傾向は行動抑制システム(BIS)と呼ばれ、これを評価する尺度もあります。 今回取り上げる論文は、これらの傾向が脳の特徴とどのように関連しているかについて調べたものです。 行動活性化システムの感受性は脳のμオピオイド受容体の利用可能性と関連している Karjalainen, T.

アメとムチのどちらで動かすべきか?BIS/BAS尺度でわかる性格傾向

人間は何の理由もなく行動しません。そしてその理由には大きく分けて2つあります。何かが欲しくてそれをするのか、あるいは何かを避けたくてそれをするのかです。 異性にモテたいので車を買う人もいれば、時間を失うのが嫌で車を買う人もいるかも知れません。いずれにしても私達が何かをする理由は得たいか、失いたくないかのいずれか一つになります。 何かを得たいと思って動くのはBAS(行動活性化システム)、何かを失いたくなくて動くのは(あるいは動かないのは)とBIS(行動抑制システム)と呼ばれ

報酬系と性格傾向:何がその人にリスクを取らせるのか?

私達は日々様々な判断や行動を行っていますが、大きく分ければそのタイプは2つしかありません。一つは接近行動であり、もう一つは回避行動です。例えば可愛い赤ちゃんが目の前にいれば近づきたくなり、怖い犬がいたら逃げたくなりますが、人間は欲しいものに向かって近づきたくなり、害するものからは離れたくなる傾向を持っています。 今回取り上げる論文は、その行動パターンと性格傾向の関係について論じたものです。 動機と性格: 神経心理学的観点 Corr, P. J., DeYoung, C.

意思決定の脳科学:選択は2段階で行われる

金融投資が一般的になって時間が立ちましたが、投資で頭を悩ませたことがない人はいないのではないでしょうか。 ハイリスク・ハイリターン商品を取るか、あるいはローリスク・ローリターン商品を取るか、などなど、商品が多いだけに選ぶのもなかなか大変になってきます。しかし、こういった時、私達の脳はどのようにして商品を選んでいるのでしょうか。今日取り上げる論文はこの意思決定のメカニズムについて触れたものになります。 人間の健康な参加者における報酬、モチベーション、脳画像処理 – ナラティ

思春期のこどもはなぜ強い刺激を求めるのか?

思春期の子どもは何かと強い刺激を求めます。冒険心があるといえば言葉はいいのですが、それを見ている親としては、何かとヒヤヒヤすることもあるのではないでしょうか。今回取り上げる論文は、思春期の報酬系の発達について論じたものになります。 思春期の 報酬系の発達 Galván, A. (2010). Adolescent development of the reward system. Frontiers in human neuroscience, 4, 1018. 報酬系と

薬物依存と報酬系の関係とは?

薬物依存というのはだいぶ厄介なもののようですが、これは一体どのような仕組みで引き起こされるのでしょうか。今回取り上げる論文は、薬物依存と脳内報酬系の関係について論じたものになります。 報酬システムと依存症:ドーパミンが何をし、何をしないか Di Chiara, G., & Bassareo, V. (2007). Reward system and addiction: what dopamine does and doesn’t do. Current opinion i

報酬系とその仕組み

仕事にしても教育にしても、あるいは買い物にしても問題になるのは私達の心です。しかし、その心とは一体どのようなものなのでしょうか。今回取り上げる論文は、心の根幹にある欲望に関わる脳の仕組みについてです。 Dopaminergic reward system: a short integrative review Arias-Carrión, O., Stamelou, M., Murillo-Rodríguez, E., Menéndez-González, M., & Pö

楽しい思い出が多いほど、失恋の悲しみは大きい

失恋は手痛いものですが、一体どのようなものがこの痛さに関係しているのでしょうか。今回取り上げる論文は、大学生の失恋の苦痛と、付き合っていた頃の思い出の関係について調べたものになります。 恋愛上の別れた後の苦痛の深刻さは、新興成人の間でポジティブな恋愛記憶と関連している del Palacio-Gonzalez, A., Clark, D. A., & O’Sullivan, L. F. (2017). Distress severity following a romant

失恋評価尺度

失恋の痛みは人それぞれですが、それは一体どのようにして評価できるのでしょうか。今回取り上げる論文は失恋の痛みの評価と他の心理的要因との関係について調べたものです。 大学生の失恋の悩み。 Field, T., Diego, M., Pelaez, M., Deeds, O., & Delgado, J. (2009). Breakup distress in university students. Adolescence, 44(176). この研究ではBreakup D

失恋と痛みの脳科学

若い頃の感情は時間がたてばたいてい忘れてしまうが、失恋の痛みは例外である。これはおそらくその痛みの大きさゆえだと思うのだが、これは脳科学的には一体どのように説明できるのだろうか。 いくつかの研究では失恋の痛みは体の痛みと同じような脳反応を引き起こすとされてきたが、今回取り上げる論文はそれに異を唱えたもの。 社会的 拒絶の機能イメージング研究の定量的メタ分析 Cacioppo, S., Frum, C., Asp, E., Weiss, R. M., Lewis, J. W

恋愛心理学:受け入れと拒否の脳活動

営業は恋愛と似ているという言葉がありますが、どちらのほうも相手のリアクションに一喜一憂するという点では共通点があります。 今回取り上げる論文は異性から拒否されるときと受け入れられるときで脳活動がどのような違いがあるかについて調べたものです。 健康な成人における恋愛の拒絶と受容に対する一般的な神経反応Hsu, D. T., Sankar, A., Malik, M. A., Langenecker, S. A., Mickey, B. J., & Love, T. M. (

社会的拒絶を和らげる生理活性物質とは?

失恋は手痛いものですが、私達の脳はどのようにしてこの痛みを和らげているのでしょうか。今回取り上げる論文は、社会的拒絶に関わる脳の仕組みについて調べたものです。 社会的拒絶と受容に対するμ-オピオイドシステムの反応 Hsu, D. T., Sanford, B. J., Meyers, K. K., Love, T. M., Hazlett, K. E., Wang, H., ... & Zubieta, J. K. (2013). Response of the μ-opi

アンチ・ラブ・バイオテクノロジーとは?

愛は喜びももたらすが、同じくらい悲しみも連れて来る。やりきれない悲しみは怒りや抑うつなどを引き起こし、時に社会問題へとつながることもある。では、この愛は「治療」できるのだろうか。 今回取り上げる論文は、愛を抑制する技術とそこから生じる問題について論じたもの。 あなたを愛するのをやめられたら: 反愛バイオテクノロジーと化学的別れの倫理 Earp, B. D., Wudarczyk, O. A., Sandberg, A., & Savulescu, J. (2013). I

社会的愛着と薬物依存の関係とは?

あなたに夢中、というような言い回しはよく聞きますが、実際のところ、誰かに夢中になっているときには身体の中でどのような変化が起こっているのでしょうか。 今回取り上げる論文は、社会的愛着と薬物依存の共通点について論じたものになります。 社会的愛着、 愛、中毒の間の行動的、解剖学的、薬理学的な類似点 Burkett, J. P., & Young, L. J. (2012). The behavioral, anatomical and pharmacological para

失恋の痛みは薬で軽減できる?

失恋の痛みは体の痛みと匹敵します。しかしこの痛みは脳科学的にはどのようなものとして捉えることができるのでしょうか。今回取り上げる論文は、社会的な痛みと身体的な痛みの関係について論じたものになります。 失恋と骨折:社会的痛みと身体的痛みの類似点に関する神経的観点Eisenberger, N. I. (2012). Broken hearts and broken bones: A neural perspective on the similarities between s

恋愛の終わりについての現象学的記述

いろんなものには形のないカタチというものがある。例えばアメリカであればアメリカらしさがあるが、それはカタチとしては見えない。しかしアメリカのすべての事象の根底にある「らしさ」は、ある。それはあなたらしさかもしれないし、男らしさなのかもしれないが、物事の基盤にある何かがある。 哲学の一分野である現象学では、それを「基底」という言葉で呼ぶ。今回取り上げる論文は、結婚生活における愛の終焉について現象学的立場から記述し論じたもの。 明日読む論文: ロマンチックな愛からの脱落に関す