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積ん読note

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あとで読もうと思ったnoteたちの保管庫。積ん読は崩してもお気に入りは再度積んでおくかも。
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風がすーっと吹き、詩の葉がわたしのもとへやってきた。―映画「タゴール・ソングス

わたしが生まれ育った新潟は、とにかく風が強かった。 冬の日本海は荒れ狂い、信濃川にかかる橋を歩くのも一苦労だった。 向かい風では息ができず、追い風では足がとられる。 風が強過ぎて、電線が絡まりあい、大停電なんてこともあった。 高校生の頃は、制服のスカートをわざわざウエストでたくしあげてミニスカートにしていた。よく、あんな強風の中を、足を真っ赤に染めながらガシガシ歩いたものだなあと、当時の自分に感心する。そう、ガシガシ歩かないと、新潟の強風の中では生きられない。曇りと雨が新潟

ゲームの選び方

この長期間の休みで、子供たちがゲームを長時間することを心配されている親御さんに少し考えていることをお話しします。私は小学生ぐらいからファミコンをやり始めた世代でして、その後はずっとゲームと共に生きてきました。少しはゲームに親しんできた身としてその弊害と利点をお話しします。 まず、どのゲームを選べばいいかの判断に、重要なのは楽しんでいるか、楽しまされているのかの違いです。楽しんでいるのであれば弊害は少なく利点もあります。一方で楽しまされているのであれば弊害は大きいです。違いは

【はてブロに移行しました】スマートフォンだけでコピー本つくる

こちらの記事は、情報をアップデートの上、はてなブログに移行しました。 https://shimizuakila.hatenablog.com/entry/2021/12/11/191402 長らくの閲覧ありがとうございました。 他の記事も順次移行予定です。

今日から使える文章技法覚書、リズムについて

つまりはそういうことなのだけれど、読点というのは文章においてリズムを調整する役目を担っている。この「リズム」という概念はわりと難しいものになってきて、文章の場合音楽におけるそれのような記号的整理があまりされていないから、結局のところ「リズムがいい」とか「悪い」みたいな表現をするしかないところがある。  …というのが「グルーヴ感が強めで一呼吸が長めの文章」というのが僕の定義で、この場合「書き出し」がリズムを強く規定している。「意味は無いに等しいけど、この書き出しは必要」と言え

【ネタバレ注意】『ミッドサマー/ミッドソマー』考察、解説ᛞᚱ

はじめまして。 ミッドソマー好きな余り、ノートでアカウント作って、初めてちゃんとまとめた考察を投稿するほどのミッドソマーオタク、漁火です。 ミッドソマー観た人向けのネタバレ満載考察です。 伏線&ディティールや、運用されたルーン文字、北欧神話にまつわる話、北欧文化......などについて解説します!順番ばらばら。 過激・残酷描写シーンの画像も一応入れてあるので注意! では、大丈夫な人はどうぞご覧ください。 冒頭の絵 開幕で最大級のネタバレをしてくるという。でもまあ、ち

ヒトに意識は必要か? 稲葉振一郎『銀河帝国は必要か?』読書会【闇の自己啓発会】

 闇の自己啓発会は2月8日、都内某所で稲葉振一郎『銀河帝国は必要か?』読書会を行いました(都合により、予定していた課題本を変更しました。楽しみにしていた方には申し訳ありません…)。調子の悪い人が多く、いつも以上に具合の悪い話が多くなった気もしますが、その模様をお伝えしていきます。 ※これまでの活動についてはこちらをご覧ください。 https://note.com/imuziagane/m/mbd28cf65025b ※【闇の自己啓発会】は読書会記事を募集しています。

「オタクはなぜ、”推し" や自ジャンルを他人から褒められた時に(ありがとう!)という言葉がまず口をつくのか」問題。

「オタクはなぜ、”推し" や自分の好きなジャンルを他人から褒められた時に(ありがとう!)という言葉がまず出てくるのか」問題。 以前、2年ほど前に気になっていたことだが、昨日、友人からLINEであらためてこの問いを投げかけられて、そういえばやっぱり、なんでなんだろう…?と疑問になった。 LINEは、友人A・女性(某ドラマ作品や2次元系のオタク)、友人B・男性(バンドとか漫画が好きだけどたぶんオタクではない)、自分(声優さんやアニメは好きで呼吸するようにイベントとかも行ったり

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いつかがだれかのわかる日

道化の民俗学/山口昌男

現代の社会の倫理性を考える上でとても示唆に富んだ一冊だ。 山口昌男『道化の民俗学』。 1969-1970年にかけて2つの雑誌に連載された論文をもとに1975年に単行本として刊行された50年前に書かれた論だが、いまのようにコロナウィルスが世界中を巻き込んで人々の危機感を募らせた状況になると、いともたやすく互いに互いを蔑視し罵倒するようなことが当たり前のように起こってしまう、過度に繋がりすぎた現代社会にこそ、たくさんの学びを提供してくれる内容だと思いながら読んだ。 それにして

「速く・上手く」原稿を書くために必要なこと。

先輩編集者の「5つの教え」 文章を書くことを仕事にしている人にとって、大切なスキルのひとつが「速く書く」ことだ。じっくり時間をかけて大作を書き上げる仕事にも、もちろん意義はあるが、僕も含む「組織ライター」にとって、そういう仕事は稀である。というか、ほとんどない。なぜならば、大抵の書き仕事の場合、僕ら自身のクリエイティビティなど求められていないからだ。  当たり前だが、創作性よりも、締め切りや納期のほうが優先だ。その他の仕事も山積しているし。さらに言えば、土日はちゃんと休みた

この絵描きに注目!2020

2019年を振り返りつつ、主観で特にすごかった絵描きを独断と偏見でまとめました。特に今年注目したいイラストレーター選です。 記事の最後に総括。 →前回(2019) サムネイラスト:米山舞 オルタナティブちゅーたな とにかくアニメがすごい。絵は普通に上手で可愛いが、アウトプットは尖ってます。ミニマムなループが気持ちいい。 𝕳♡𝕷 ゴス、パンク+MOE、的なアプローチはちょいちょいあったけど、圧倒的に上手い。現在のスタイルになったのはここ1年くらいのようだが、表現や絵作

【マーケティングトレース】鬼滅の刃に見る集英社のマーケティング

大ヒットを記録している鬼滅の刃。 かれこれ少年ジャンプを20年上読み続けている私ですが、あれよあれよという間に人気漫画の仲間入りを果たしたこの作品の成功を全く予想できませんでした。 入れ替わりの多い作品群の中において尖った魅力に感づけなかった私。 いつ本誌の後ろに追いやられ 「ご愛読ありがとうございました。吾峠先生の次回作にご期待ください。」となるのかと心配していた見る目のない一人でした。 ここ数年、ジャンプの毛並みがすごく変わってきていて例えば 「約束のネバ

他人の言葉はあなたのものではない

他人の言葉はあなたのものではない。 これ、本来は当たり前のことだと思うんだけど、現実には、結構多くの人が他人が書いたものを読んで、そう思ってた的な発言を自然にしてしまう。 「共感する」と言えば聞こえはいい。 でも、本当に最初にそう思ってたのだとしたら、何故自分が先に同じことを書かないのかという話でもある。 それに本当に最初からそう思ってたら「私もそう思ってた」なんてことをうれしそうには言わないだろう。あっ、先に言われた!くらいのちょっとした悔しさが起こる方が自然な反応では

プロゲーマーの一歩手前

子供の頃からゲームは好きだった。最初にやったゲームは確か64のスマブラ。何回かするうちに周りでは一番強くなっていた。どんなゲームでも。 小学生のある日に従兄弟の家を訪ねると、全く知らない、想像もできないゲームをパソコンでしていた。俯瞰じゃない自分の視点も分からないし、どうやって銃を撃っているのかも分からない。何もかもが分からなかった。それがネットゲームとの出会いだった。 最初にやったゲームはFPS。何回やっても勝てない。ゲームも好きだが何より勝つことが好きだったんだと思う