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第4話 道具作りと住居造り

あくる朝、やわらかな日差しがスカシとサルモノクレタの頬をやさしく
照らす。「コケコッコー」とニワトリの鳴き声が響き、やわらかな風が
吹き抜けていった。

スカシが目を覚ますと、サルモノクレタが腕枕していた腕をやさしく
もんでくれていた。

スカシ
 「サルモノクレタ、おはよう。 腕をマッサージしてくれてたん
 だね。 ありがとう。」

サルモノクレタ
 「スカシ、おはよう。 腕枕してくれたおかげで気持ち良く眠れた
 よ。 俺の方こそ、ありがとう。」

スカシもサルモノクレタも心が通じ合って、念話で通じ合えることを
ともに喜んだ。

氣分が良くなったスカシが、よく歌っていたなつかしい歌を口ずさむ。

  やわらかな 風が吹く この場所で~ ♪

スカシ
 「そうだ。 そのうち、ここでの暮らしを詩にして歌ってみようかな。」

サルモノクレタ
 「うん、聴きたい。 楽しみ~。」

  この物語を描きながら浮かんできた詩があります。
  ~ 愛と調和の丸い楽園へ ~
  (https://note.com/joumon888/n/n696d16acfbe7

二人はため池に向かい、そこで顔を洗って水を飲み、喉を潤した。
そしてスカシはナイスナイフでリンゴを枝から切り取ると、そのリンゴを
半分にカットして、サルモノクレタと朝食をともにした。

島の時間はゆっくりと流れていた。スカシはここでの暮らしをもっと楽しみたいと思っていたので、住居、お風呂、畑、調理場、土鍋や器や“かめ”とかも造ってみたいから“かまど”も造ろうと考えた。

それには道具が必要になる。そこでスカシは意思の力で、必要な道具を鮮明にイメージして、切れ味抜群の『ナイスナイフ』も活用しながら石を次々に加工していった。

岩をも削ったりくりぬくことができるノミ、名付けて『ノミネート』(これがねぇとって感じ)。
どんな大木でもスパッと切り倒すオノ、名付けて『オノコマチ』。
材木加工用の石ノコ、名付けて『ノッコニオマカセ』。
オールマイティなハンマー、名付けて『キアイダハンマー』。
土を自在に掘ったり固めたりできるスコップ、名付けて『ドスコップ』。
畑仕事に欠かせないクワ、名付けて『オオクワハタ』。
どんなものも滑らかに削るヤスリ、名付けて『ヤスリキヨシ』。

木材調達用の樹木を探すスカシだったが、木を切り倒すことに申し訳なさを感じ始め、立ち止まって考え込んでしまった。
 そのスカシの思いが届いたのが、1本の老木がスカシに話しかけてきた。

老木
 「スカシ、そんなに悩まなくともよい。 わしらはお前のような、
 自然を尊び、感謝し、自然と調和する暮らしを望む者を待ち望んでいた。
 わしの氣がこもったこの木をスカシにゆだねるから、存分に活用して
 くれないか?」

スカシ
 「老木さん、本当にいいの? ありがとう。 大切に使わせて
 もらうね。」

そういうと、スカシはオノコマチを振り抜いた。
「すぱぁぁぁぁぁ~ん」と快心の一撃で老木が切り倒された。
スカシは感謝と畏敬の念を込めて、その木を加工していった。

木の葉は掻き集めた草と一緒に束ねてタワシ『ハナシノオチタワシ』を
作った。
 切り倒した木の表面をナイスナイフで薄皮を剥くように切りだした表皮を『ヤスリキヨシ』で滑らかにしてトイレットペーパーを作った。
 さらに、切り倒した木を輪切りにしたまな板や洗濯板、水を汲んで
運搬するための桶、洗濯用と食材を洗うためのタライも作った。
 そして大工職人も驚くような、木ネジや板を組み合わせて作るログハウス(居間・寝室・台所と倉庫)、屋根に登れるハシゴ、寝室にはベッド、居間には囲炉裏、台所には調理台とかまど(粘土質の土でこさえて“焔硝”と
材木を有効利用した薪を用いて焼き固めた)を作った。
 そしてトイレの囲いと屋根も造り、浴場(脱衣場、湯船、粘土質の土でこさえて“焔硝” と材木を有効利用した薪を用いて焼き固めた風呂だき用のかまど)までも作っていく。
 余った木材は建築資材や薪用として倉庫に棚を造って保管した。(老木さんとの約束を守って、余すことなく、無駄にすることなく、感謝をこめて使いきるための工夫も忘れなかった)

スカシがログハウスの屋根にハシゴを使って昇り、かやぶき屋根にしようと草を並べていると、そこに「ひゅーるりー ひゅーるりーららー ♪」と、美しいメロディーを奏でながら、越冬ツバメの群れがやってきた。

    テレレレッテレー♪
  スカシの無人島クエストに、越冬ツバメの群れが加わった。
  新しい仲間に名前をつけましょう。

スカシは越冬ツバメのリーダーに「モリノウタヒメ」と名付け、その群れを「森の妖精コーラス隊」と名付けた。

モリノウタヒメたちはスカシが造ったログハウスの屋根に巣を造り始めた。その見事なコーラス隊との連携とチームワークと草や土を巧みに使う
職人芸を、スカシはただただ黙って見つめていた。
 氣づくと、ツバメたちはスカシが造ったログハウスのかやぶき屋根づくり、そして壁にも草や土を板の隙間に器用に敷き詰めてくれていった。

  この物語はフィクションであり、作者である私の妄想から
  産まれた空想物語です。したがって、登場する人物や名称などは
  実在のものとは異なりますので、ご注意願います。

        つづく

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